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[WBS]感染対策の「切り札」!?コロナ飲み薬 供給の実態は[MSD株式会社]

2022年1月25日

ワールドビジネスサテライト(WBS)

1月25日に全国で新たに確認された新型コロナの感染者は初めて6万人を超えました。

政府が治療の切り札として期待しているのが飲み薬です。

ただ、医療現場からはこの飲み薬の供給体制に疑問の声も上がっています。どういうことなのか実態を取材しました。

"切り札"コロナ飲み薬!

「在庫は3人分」に現場は困惑

ふじみの救急病院の鹿野晃院長。

駐車場がいっぱいです。

ここ数日は1,000件以上の検査をしている。

奥までずらりと並んだ車。ここは埼玉県にあるふじみの救急病院の駐車場です。

実はこれ…

今までの第5波とは全く違う。

入院はゆっくりとした立ち上がり。外来が急速にひっ迫して…

外来患者が急増していたのです。発熱外来に来る患者は去年12月は1日100人以下でしたが今は1,200人以上。そのうち400人ほどが新型コロナの陽性者だといいます。

感染者が増加する中で期待されているのが…

重症化リスクのある人にモルヌピラビル。飲み薬を投与します。

新型コロナウイルスの飲み薬。国内ではアメリカのメルクが開発したモルヌピラビルが去年末から使われ始めています。

現状では高齢者や基礎疾患のある人など重症化しやすい人に使用が限られていますが、この病院でもすでに複数の入院患者に投与したといいます。

新型コロナ治療の切り札ともいわれる飲み薬ですが事情は複雑なようです。

1日400人以上も陽性者が出て、投与の対象を洗い出して、連絡をして、薬を配送する。

対応しきれていない。

目の前の押し寄せる患者に対応するのが精いっぱい。

モルヌピラビルはウイルスの増殖を抑えるため発症から5日以内に飲む必要があります。そのため迅速な診断が求められますが、ひっ迫する医療現場での対応は困難を極めるといいます。

さらに供給量が限られているため現在は病院や薬局ごとに3人分しか在庫を持てないという制約も。

1日何百人と陽性者が出て、リスク評価をして投与するときに在庫が3では話にならない。

本来であれば100人分くらいストックで置いてほしいというのが本音。

供給体制の強化は?

日本政府はモルヌピラビルを製造するメルクと160万人分の供給を受けることで合意。ただ今のところ供給された薬は20万人分にとどまります。

メルクの日本法人MSDは1月25日、2月と3月にそれぞれ20万人分ずつ供給し、、残りの100万人分については年内としていた目標を前倒しし、9月までの供給を目指したいと明らかにしました。

その上で…

MSDの白沢博満上級副社長。

国と契約した内容に関してはミニマム。絶対それは達成するということ。

オミクロン株もあるし、それ以上のことができるか、詳細は明かせないができる限りの努力をしながら国とも調整している状況。

アメリカの製薬大手ファイザーも新型コロナの飲み薬「パクスロビド」の承認を厚生労働省に申請中。

承認されれば軽症者が使える飲み薬としてはメルクのモルヌピラビルに続く2種類目で200万人分が確保される見通しです。

国際医療福祉大学の松本哲哉主任教授。

内服薬がいくつも必要かと問われればイエス。理由は供給の問題。

患者に応じてどっちの薬を使えるのかを考えられる。2つの薬剤はあったほうがいい。

全国感染者 初の6万人超!「受診せず自宅療養」容認

1月25日、全国で新たに感染が確認されたのは6万2,610人。初めて6万人を超えました。

東京は過去最多の1万2,813人。大阪では8,612人など30の都府県で過去最多を記録しています。

爆発的に拡大するオミクロン株の感染者。

緊急の課題となっているのが社会機能の維持です。

そこで政府は医療従事者が濃厚接触者になっても毎日の検査で陰性が確認されれば勤務を認めることに。

また沖縄県は特例として高齢者施設に勤務する介護職員もその対象に含むことにしました。

さらに…

後藤厚労大臣。

社会的機能維持の要請が感染拡大につれて強くなってくるので濃厚接触者の件、その他も含めてしっかり検討していく必要がある。

後藤厚生労働大臣は特例の対象を沖縄の介護以外の職種にも広げる検討を行う可能性について言及しました。

また政府は医療のひっ迫が想定される地域に限り、重症化リスクの低い若者が自ら行った検査で陽性が確認された場合、医療機関を受診しなくても自宅療養に入ることを認める方針も新たに示しています。

新型コロナ対策分科会の尾身茂会長。

元気な若い人はほとんど重症化しないというデータがある。

しかし外来に全員行ったり、検査したりすると医療機関に負荷がかかり深刻な状況になる。

これは非常に難しい問題だが誰かが言わないといけないのではないか。

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