テレ東Bizの会員が選んだ今年の重大経済ニュースをランキングにしました。
5位は中国のゼロコロナ政策、そして4位には値上げラッシュで11月の消費者物価は1年前に比べ3.7%の上昇と40年11ヵ月ぶりの水準となりました。
3位から1位はこちらです。
1位 | ウクライナ侵攻による資源高 |
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2位 | 1ドル151円歴史的円安 |
3位 | 欧米でインフレと金利上昇 |
4位 | 値上げラッシュ |
5位 | 中国ゼロナ政策 |
3位は欧米でインフレと金利上昇、2位が10月に1ドル151円台までつけた歴史的円安、そしてトップがウクライナ侵攻による資源高です。
続いてはこの3位から1位に関連する取材です。海外でのインフレによるさまざまな減少や日本国内では円安やウクライナ侵攻による住宅建設にある変化が起きていました。
ウッドショック加速 対応は…
エネルギーや原材料の価格が高騰する中、大きく影響を受けた業界のひとつが木材業界です。
合板メーカー「キーテック」、合板とは薄い木を張り合わせたもので住宅建設から家具、DIYまで幅広く使われています。
キーテック
安徳保木更津工場長

ロシア材が輸入禁止になってから現在90%は国産カラマツを購入して生産している。
木材の価格は去年のウッドショックで高騰。さらに今年はウクライナ侵攻によりロシア産木材の一部が輸入禁止に。その後、円安の影響もあり価格は高止まりしています。
キーテック
中西宏一社長

円安が急激に進行して、外国資材の価格高騰が著しい1年だった。
約2~3割、価格が高騰したままになっている。
キーテックでは強度の高いロシア産を主に取り扱っていましたが、値上がりしたため手頃な国産のカラマツの中でも比較的強度が高い長野や山梨の木材に切り替えました。
ただ、国産への切り替えに手間取るなど出荷量で3割、利益は7割去年より減りました。
今後は…
キーテック
中西宏一社長

国産材はサプライチェーンの崩壊や為替の問題の影響を受けにくい材料。
日本の国内にある木をもう少し有効活用したい。
住宅建設にも国産木材を使う動きが。
オープンハウス・ディベロップメント
建設部
奥澤俊平さん

この柱が国産スギを使っていて、もともと欧州の木材を使っていたが、スギの集成材にかえてきている。
柱や土台に使われていた輸入材を輸送費が比較的かからず円安の影響を受けない国産材に変更。
土台部分も国産ヒノキに変えています。
資材の高騰は木材以外にも。
オープンハウス・ディベロップメント
建設部
奥澤俊平さん

水道の給水管や排水管のビニール管を使っている資材。
コンクリートの金額も上がってきている。
ビニール管の価格は年始におよそ30%上昇。生コンクリートに関しても値上がりしていて、来年の春にも再値上げの可能性があるといいます。
現在、1棟あたりの工事費は今年の春から100万円以上値上がりしていますが、価格を抑えようとの工夫も。
オープンハウス・ディベロップメント
建設部
戸和寛文部長

柱と柱を等間隔で配置することで柱の本数を減らし、梁のサイズを工夫できるので、トータルで木材の量を減らせる。
安全性は維持しつつも1棟あたり10~15%ほど建材の量を削減できるといいます。
オープンハウス・ディベロップメント
建設部
戸和寛文部長

供給体制に不安な部分がサプライチェーンの中で出てくると思うので、いち早く察知して、先に手を打てるかが一番重要になってくる。
アメリカ 物価急騰で中身が"縮小"
そして、日本よりインフレが進む海外では…
アメリカの11月の消費者物価は1年前に比べ7.1%上昇しました。
ワシントン支局
中村寛人記者
年末年始の買い物で多くのお客さんで賑わっているこちらのお店ですが、この1年でワインが10%ほど値上がりしたそうです。

肉や卵など生鮮食品から日用品まであらゆる商品が値上げに。
お客さん

同じものでも、より安くなるのなら他のブランドのものを買いたいと思う。
店長のロイ・ロッドマンさん。最近では商品にある変化があるといいます。
ロッドマンズ
ロイ・ロッドマン店長

一部の商品はシュリンク(縮小)している。
チョコレートやトイレットペーパーは以前より少し小さくなっている。
価格はそのままに量を減らし、実質値上げをする商品が増えているのです。
消費者問題に詳しい
エドガー・ドウォスキー弁護士

右は少しウエストが細くなった。
スポーツドリンクは容器を変えて中身を少なく、さらに洗剤も…
消費者問題に詳しい
エドガー・ドウォスキー弁護士

わzyかに減っているが全く違いが分からない。
ちょっと厚みが違うようだがどう細工したのだろうか。
韓国名物"食べ歩き"がピンチ!?
日本のお隣、韓国でも11月の消費者物価は5%の上昇。韓国名物の屋台にも異変が…
観光客

おいしい。
こちらは黒砂糖をパン生地で包み、揚げるように焼いた韓国食べ歩きの定番「ホットク」。ここにも値上げの波が…
ソウル支局
武部慎一記者
外国人観光客にも人気のソウルの南大門市場です。
ここにも値上げの波が押し寄せています。

屋台店主

メニュー全て500ウォン(50円)値上げした。さらに上げないと厳しい。
本当に大変、食用油は2倍になった。
小麦粉や中に入れる黒砂糖など値上がっていない物がない。
原材料価格の高騰などで3ヵ月前に全てのメニューを50円値上げしたといいます。
たい焼きの屋台、韓国では日本より小さいサイズが主流で3個100円で販売していましたが、2個に減らしたといいます。
またソウル市内の露天商の数はこの原材料価格の高騰やコロナの影響で5年前は7,000を超えていましたが、今年は5,000程度とおよそ3割減りました。
イギリス光熱費"支払い拒否"暖房提供も
エネルギー危機の震源地ヨーロッパ。イギリスは10%を超える物価上昇に襲われています。
ロンドン市内で暮らすマイケル・マクマラーさん。友人らと4人で住んでいます。
見せてくれたのは電気やガスの料金表です。
マイケル・マクマラーさん

計算したら料金の上限がなければ年間の電気代が1万ポンド(160万円)になる。
電気・ガス代は上限規制がないと年間およそ160万円に。
そこでマクマラーさんが参加したのは「ドントペイ運動」。つまり光熱費の支払いをボイコットする運動です。
燃え盛る炎に焚べられているのが電気やガスなどの請求書。全国的なデモも行われました。
エネルギー危機を受け、増えている施設が…
ロンドン支局
中村航記者
イギリスでは至るところで温かい場所を提供するという取り組みが始まっています。

自治体や民間団体が実施するウォームバンク。食料を提供するフードバンクのように暖かい場所を無償で提供する取り組みです。
建物に入ると扉は二重に。
施設の開放だけでなく電源も用意し、Wi-Fiも無料で使えるようにしています。
さらに温かい料理も提供。食材などは寄付で賄っています。
ウォームバンクはイギリス全土で5,000近くに拡大。「今年の言葉」で最終候補にもなりました。
ウォームバンク利用者

話し相手も見つかるし、金銭面での支援にもなり助かる。
もっとウォームバンクを増やすべき。冬と闘う人のため日本人にも勧めたい。