利用者が急拡大しているキャッシュレス決済。日本のマネーの流れをどのように変えようとしているのでしょうか。大型キャンペーンを次々と打ち出すPayPayの戦略に迫ります。
PayPay効果で「売り上げ倍」
お客さんを呼ぶお得キャンペーン
川崎市にあるソフトバンクの販売店「ソフトバンク溝の口」。
店の奥で開かれていたのはキャッシュレス決済のPayPayの使い方を学ぶ教室です。
この日、参加していたのは70代前後の高齢者たち。お金のチャージや支払の方法などをおよそ45分間にわたって学びました。
参加したきっけかを聞いてみると…
参加者(86歳)

世の中の流れについていきたい気持ちだけ。
参加者(76歳)

孫が「じいじ PayPayで買って」と言う。
お金からの脱出、財布さんよ、さようなら。
2018年にサービスを開始したPayPay、100億円還元など大型のキャンペーンを打ち出して利用者数を拡大。現在5,300万人を超えています。
いまも様々なキャンペーンを実施中。
久木和人記者
あちらに貼っています。
PayPayでお支払いをすると最大20%戻ってくると書いてあります。

東京・港区と連携して実施している「みな得ポイント還元キャンペーン」です。対象は港区内のおよそ1万店舗。
ラーメン店でも…
来店客

PayPayで。
男性客がPayPayでお支払い。800円をPayPayで支払いましたが、その20%にあたる160円分のポイントが戻ってきます。
来店客

大きい。20%戻ってくると助かる。
20%に加えてさらなるポイント還元も…
化粧品を購入した女性。
来店客

当たった。初めて当たった!
こちらはPayPayが単独で展開する全てのユーザーを対象にしたキャンペーン。支払い後の抽選に当選すると3等は0.5%、1等だと100%、さらにポイントが還元されるのです。
エルメ・ド・ボーテ新橋店ではキャンペーンの効果で売り上げが例年のおよそ2倍に拡大しているといいます。
エルメ・ド・ボーテ新橋店
清水絵美子店長

遠方からも今まで来たことがないお客様がキャンペーンめがけて来る。
千葉県や埼玉県からも土曜日など休日を使って来る人が多い。
港区での20%還元分は区が負担しています。予算はおよそ14億円、70億円の消費につながると期待しています。
港区 産業振興課
中林淳一課長

物価の高騰によって消費マインドが低下することも考えられる。
今回のポイント還元キャンペーンで消費を刺激する。
大型キャンペーンを立て続きに打ち、急拡大するPayPay、次に仕掛ける一手とは…
大型キャンペーン連発の狙いは
佐々木明子キャスター
キャッシュレス決済PayPayのマーケティングを統括する藤井博文さんに起こしいただいています。
PayPayという文字を街中でよく見るようになりました。
PayPayの登録者数はおよそ5,300万人を超えているといいますが、この数字の伸びをどう受け止めている?

PayPay
マーケティング本部長
藤井博文さん
いま日本のスマホ人口がおよそ8,000万人と言われている。その3分の2を占めている状態。
われわれは4年前にサービスを開始したが、その時の計画と比べても3年以上早く目標を達成している。
非常に順調に成長していると思っている。

佐々木明子キャスター
残り3,000万人の人にも使ってもらわないとという意気込みですか?

PayPay
マーケティング本部長
藤井博文さん
そうですね。どうやって詰めていくかがこれからの課題になっていくと思います。

佐々木明子キャスター
規模を広げることが大事だと思うが、QRコード決済のシェアはPayPayが半分以上を占めている。
サービス開始当時の大型キャンペーンが印象に残っていますが、その効果が大きかったですか?

PayPay
マーケティング本部長
藤井博文さん
起爆剤としては大きかったと思う。
当時われわれは一定の品質のサービスと一定の規模の加盟店を持っていたので、あとはどうやってユーザーを増やすかという局面だった。
いろんなアイデアがあったが、思い切って世の中に打って出ようということで大規模なキャンペーンを打つことでユーザーも増え、さらに加盟店も増え、またユーザーが増えるという好スパイラルが生まれた。

佐々木明子キャスター
あの時は採算度外視ですか?

PayPay
マーケティング本部長
藤井博文さん
最初はそうです。
われわれを知ってもらうためのコストと考えれば十分採算は取れると思っていた。

佐々木明子キャスター
いまもPayPayジャンボというキャンペーンをやっているが、1等が当たれば全額戻ってくるということですが、ちゃんと当たります?

PayPay
マーケティング本部長
藤井博文さん
当たります。いまであれば4回に1回の確率で当たるようになっています。
何回か決済をしていただければ当たると思います。

佐々木明子キャスター
どうしてルーレットが回る仕組みを作った?

PayPay
マーケティング本部長
藤井博文さん
現金での決済だと味気ない会計だと思っていた。
そこに面白みやうれしさを加えたいと思って、その場でルーレットが回って、その場で当たりがわかるのは決済のあとに楽しみがある。
現金と比べたときの大きな差別化につながる。

佐々木明子キャスター
エンターテイメントを決済に持ち込んだということ?

PayPay
マーケティング本部長
藤井博文さん
そうです。
お客様だけじゃなく、お店の人も一緒に喜んでくれるような一体感がお店に生まれるのも新しい文化。

佐々木明子キャスター
お得なキャンペーンをやっているときだけという人もいるんじゃないですか?

PayPay
マーケティング本部長
藤井博文さん
そういった声をよくいただきます。
今回、キャンペーンを2ヵ月連続でやっているので、この期間で多くの回数、われわれのサービスに触れてもらいたいと思っている。
われわれの一番のサービスの強みはプロダクツの強さ、使える加盟店の多さなので、何度か決済をするうちにサービスの良さに、使い勝手の良さ、アプリが進化している様、加盟店の多さに気付いてもらえると思うので、そうすると継続してくれる可能性も高くなる。

佐々木明子キャスター
加盟店が多いほどいいというお話ですが、自治体なども参加して一緒にキャンペーンをやるのはどういった効果があるのでしょうか?

PayPay
マーケティング本部長
藤井博文さん
一番最初に多くの予算を使ってキャンペーンをしましたが、ずっと続けることはできない。
注目になるのがユーザー数の多さ、加盟店の多さなの、決済のプラットフォーム、これを自治体や加盟店、メーカーなどに使っていただき、効率的なキャンペーンができることがお客様のお得にもつながる。
そういうスパイラルができていると思う。

佐々木明子キャスター
企業にとっても5,000万人は大きい?

PayPay
マーケティング本部長
藤井博文さん
キャンペーンを知ってもらうために努力が必要だが、われわれのアプリに日々接している人にはアプリ内の接触が一番伝わるので、そういった接触面を持っていることも大きいと思う。

残りの3,000万人のアプローチで重要視しているのが若者の取り込みです。そのカギを握るのがキャッシュレスという強みを生かしてPayPayのユーザー同士を結ぶ新たな活用法のようです。
飲み会幹事の悩み解決!?
PayPay「送る機能」とは
都内の沖縄料理店「沖縄の台所ぱいかじ 新宿新南口店」。
お客さん

カンパーイ!
この日、久しぶりに集まったという28歳の女性3人。学生時代からの友人です。
ゴーヤチャンプルに海ぶどうなど沖縄料理をおよそ2時間堪能しました。
店員
お会計です。

会計はおよそ1万2,000円。幹事の女性がPayPayでまとめて支払いました。
お客さん

じゃあ送るね~
1人3,913円。
すると割り勘の金額を確認し、スマホを操作し始めました。
お客さん

送れた~
PayPayで送金した。
彼女たちが利用したのはPayPayの「送る」という機能。PayPayのアプリに割り勘の金額を入力すると相手のPayPayにお金を送金できる仕組みです。
お客さん

細かい金額を持ち合わせていないことが多かったが、1円単位で割り勘金額が送れるので最近PayPayしか使っていない。
送る方も受け取る方も手数料は一切かからず即時に完了します。
沖縄の台所ぱいかじ 新宿新南口店
山田昌也店長

週末とか土日は特に多い。
QRコードPayPayで決済をされる人。
団体で来るから誰かが先に払い、後からPayPayで送金する形が多い。
手数料なしで即時に完了
"個人間送金"が新常識に!?
銀行などを介してお金を送るのではなく、スマホやパソコンの通信機能を使って個人と個人が電子マネーをやりとりする個人間送金という仕組みです。
例えばこちらの女性は親族へのお祝い金などを送金しているといいます。
女性

プレゼントするとき、誕生日とか、現金で送るより送料かからないので。
ほかにもお小遣いや仕送り、お年玉などを送金する人も。
さらに意外なところでも…
結婚式の祝儀もPayPay
若者に広がる"個人間送金"
都内にある結婚式場「IWAI OMOTESANDO」。
見せてくれてのは結婚式の招待状です。この招待状、PayPayのシステムを利用したある試みが…
CRAZY
吉田勇佑さん

WEB招待状というシステムを案内していて、QRコードやオンラインでお金を送れる仕組みを整えている。
いま結婚式のご祝儀をPayPayで受け取る人が増えているのです。
10月に結婚式を挙げたこちらの夫婦はPayPayを利用しました。
ご祝儀をPayPayで受け取った夫婦

ゲストの負担を減らしたかった。
新札を用意、ご祝儀袋を準備して筆ペンで名前を書くとか、もっと楽な方法があると思って。
PayPayで支払った人は全体の4分の1程度でしたが自分たちにとってもメリットがあったといいます。
ご祝儀をPayPayで受け取った夫婦
早めに受け取れるので結婚式の準備にあたって必要なお金が後からではなく先に入ってくるので支払いに充てられた。

"個人間送金"拡大で何が変わる
PayPayで送金できるサービスについて改めて見てみます。
例えば電気代や水道料金といった公共料金などの請求書払いができたり、海外旅行やドライブの保険に加入できたり、ほかにもポイントの運用やふるさと納税の返礼品としてPayPayの商品券が提供されることなどもあります。
その中でも利用が広がっているのが個人間送金です。
佐々木明子キャスター
ご祝儀の話もありましたが、これからはお年玉などもPayPay活用されそうですね。
個人間送金というのが今後カギになりそうですか?

PayPay
マーケティング本部長
藤井博文さん
われわれの成長のカギのひとつになると思っています。
ユーザー間送金はLINEと同じようにユーザー間のコミュニケーションサービスだと思っている。
使える人が増えれば増えるほど便利になる、そういう類のサービス。
使っていないと周りの人に少し迷惑をかけてしまう側面もある。使っていない方にPayPayを使ってもらうきっかけになると思う。

佐々木明子キャスター
デジタル給与払いも来年から解禁されるが、これはチャンスが広がる?

PayPay
マーケティング本部長
藤井博文さん
もちろん大チャンスだと思っている。
こういった規制緩和に関しては、われわれのような後発のフィンテックカンパニーにとっては大チャンスだと思っている。
まだ検討中ですが準備を始めている状況です。
特にわれわれはユーザーの支払い状況はある程度把握できているが、そこに新しく収入の情報が加わることでユーザーがあとどのくらい使えるのか、使いすぎじゃないのかなどの情報をユーザーに伝えることができる。
また新しいサービス展開ができると思います。
