今年もあと僅かですが、実は年末に増える傾向にあるのが「オレオレ詐欺」や「還付金詐欺」など特殊詐欺と呼ばれる被害です。去年の被害額でお金をやり取りする機会が多い12月が突出して多かったことがわかります。そんな特殊詐欺の被害を減らそうとコンビニ大手や金融機関など民間企業がいま相次いで取り組みを始めています。
「特殊詐欺」防止に企業の力
セブンも協力
先月、警視庁は民間企業とタッグを組んである実証実験を始めました。
カギを握るのはカメラ。一見普通のカメラのようですがこれが詐欺被害の防止に役立つといいます。一体どんな仕組みなのでしょうか?
ビズライト・テクノロジー
田中博見社長

電話をしている動作をしてください。
だんだん数字がタイムアップする。
画面に表示されている数字が徐々に上がっていき、あらかじめ設定した秒数を超えると「TEL」というマークが付きます。
実はカメラに搭載されたAI(人工知能)がATM利用者の骨格の動きを分析し、一定時間携帯電話を操作していると判断すると店内に設置されたアラームが鳴ります。
警視庁
犯罪防止対策本部
髙﨑光警視

還付金詐欺は携帯電話をかけながらATM操作をさせられる。
店員が携帯電話をかけている姿を見た段階で即110番してもらう。
しかも、このカメラに搭載されているAIは1台1台の端末ごとに判断できる"エッジAI"と呼ばれるもの。映像を別のサーバーに転送したり、録画したりする必要がなく、プライバシーやセキュリティの問題を軽減できるといいます。
すでに都内のセブン-イレブンの一部店舗で運用されていますが、コンビニが協力に乗り出したのには理由があります。
還付金詐欺
大門銀行の上田と申します。
先ほど桜田市役所から累積医療費の件で連絡があり…

警視庁が公開している注意喚起の動画。最も多い手口は医療費や税金の還付が受けられるなどといって現金をだまし取る還付金詐欺。
その最大の特徴は…
還付金詐欺
まずATMにキャッシュカードを入れてください。

犯人側が高齢者などの被害者に対し電話でATMの操作を指示し、還付金を受け取る手続きを装って現金を振り込ませる点にあります。
コンビニなどでは店員がチェックし続けるのが難しいため、こうしたAIカメラの活用に期待がかかっているのです。
この装置を開発したのは運転中の居眠りや脇見運転をAIで検知するドライブレコーダーなどを製作している2社、「JVCケンウッド」と「ビズライト・テクノロジー」。今回、その技術を転用しました。
ビズライト・テクノロジー
田中博見社長

特殊詐欺被害は社会課題でもあるので、そこにテクノロジーで参加できるのは光栄。
"客の目"で未然防止
一方、技術ではなく周囲の人の力を生かすというユニークな取り組みも。
東京を中心におよそ80店舗を構える多摩信用金庫。通称「たましん」。
先月から始めたのが…
多摩信用金庫
金融犯罪・マネロン対策室
松澤一博室長

詐欺が防止できたと警察が判定したら「犯罪が起きなくてありがとう」と記念品を用意する。
ATMの前で携帯電話を使っている人を見かけて通報し、詐欺を未然に防いだ人にカタログギフトを贈呈するという取り組みです。
警視庁によると都内では一般の人による声掛けなどで詐欺を未然に防止したケースは去年より増えていて、周囲の目による被害防止も期待されています。
多摩信用金庫
金融犯罪・マネロン対策室
松澤一博室長

「ATMで電話をやめてください」と言うのは本来うちの職員などがやるべきことだが、、店外ATMになると人目が届きにくい。
地域みんなで犯罪が起きないように協力しあってやっていく。
その取り組みで信用金庫が主体となることに意義がある。