森友学園を巡る国有地の売却問題。
この問題が明らかになってから1年半余りが経ちますが国有地の8億円もの値引きは適正だったのかなどいまだ疑問は残ったままです。
こうした中、関係者がその重い口を開きました。
こちらは財務省近畿財務局などのOBの皆さんです。
この問題を風化させてはならないとお集まり頂きました。
そして一方、こちらは公文書の改ざんをさせられ自ら命を絶った近畿財務局の職員の父親です。
今回始めてテレビのインタビューに応じました。
テレビ東京の単独取材です。
自殺職員の父が語る遺書
岡山県のある町。
ここに自ら命を絶ったAさんの父親が一人で暮らしています。
1人で責任を負う必要はないのに、なんで死ななければならなかったか。
日にちもたったから薄らいできたけど、改ざんを指示した相手ははっきりわかりませんけど腹が立って、そればっかり頭から離れなかったです。
4年前に妻が亡くなり、Aさんが心の支えだったといいます。
親がいうのもなんですけど曲がったことが嫌いで、まっすぐな性分。小さい時から。
Aさんが体調を崩し仕事を休んでいると聞いたのは去年の秋頃のことでした。
「夜中の1時か2時に帰ってくる」と嫁が言っていました。
この頃がまさに公文書の改ざんをさせられていた時期だったのです。
そして今年3月、自ら命を絶ったAさんは遺書を残していました。
上司に言われることを反対するわけにもいかないし、上司に言われた通りに書き換えたと遺書に書いてありました。
7枚か8枚のレポート用紙に書いてありました。
「改ざんをさせられたことで亡くなったと考えているか?」
そうそう。
それを書いたことは本人の負担になったと思います。
父親が大切にしているものがあります。
書道が趣味だったというAさんの作品。見ると思いがこみ上げます。
わけのわからないことに巻き込まれた感じでしょう。
下っ端の方で仕事していたものにとっては。
財務省に入った自慢の息子はなぜ死ななければならなかったのか、いまも問い続けています。
財務局OBが決意の告白
一方、大阪に集まったのは近畿財務局のOBなど6人。
顔出し、実名で取材を受けるのは今回が初めてです。
2年前まで近畿財務局で働いていた田中朋芳さん、
国会が閉会したら皆さん関心持たなくなってくる。
そうなってほしくないということでインタビューに答えた。
伊藤邦夫さん、
本省の幹部が一切責任を取らない中で現場の職員だけが苦しんでいる。
そして最悪の事態。仲間が自死に追い込まれた。
Aさんの同僚だった喜多徹信さんは亡くなる前の様子を現役の職員から聞いていました。
2人の職員から電話をいただいて、彼が改ざんの仕事をやらされる中で100時間を超えるような残業。
追い詰められて顔が変わってしまった。
Aさんが亡くなった後、近畿財務局では異例の対応がなされていたといいます。
通常、亡くなられたら通夜はどこでやるとか情報が流れるが、それがなかった。
当局としても異常な扱い、特別な扱いをしていた。
2017年2月、安倍総理、
私や妻が関係していたということになれば総理大臣も国会議員も辞めるということははっきり申し上げておきたい。
森友学園への国有地売却問題、小学校の名誉校長は安倍昭恵総理夫人でした。
鑑定価格9億5,600万円の土地が地下のゴミを理由に値引きされ1億3,000万円余りで売却されていたのです。
当時の財務省の佐川宣寿理財局長は、
交渉記録はございませんでした。
記録は残っていない。
財務省OBは佐川氏らの国会答弁を複雑な思いで見ていたといいます。
佐川さん、うそついたらあかん、文書っていうのはそんなもんじゃない。
記録が全然ないなんてうそつくな、歯がゆい思いがして。
財務省は残っていないとしてきた交渉記録、およそ950ページを公表。
驚くことに決裁文書のおよそ300ヵ所が改ざんされていたのです。
OBたちはやむを得ず情報を非公開にすることはあっても文書の改ざんは考えられないといいます。
普通は「のり弁」ですよね。黒塗りにする。
情報開示請求されたら黒く塗ってコピーをとって情報開示してました。
たとえベタ塗りでも元を変えてしまうのは考えられない。
内藤宗助さん、
記録文書ですから、あとから直したら歴史が全然つながらないことになる。
だから、それを直すのはわれわれの常識ではありえない。
森友問題「野党合同ヒアリング」
9月18日、国会内で行われた会合。
いまも野党による財務省などへの追求は続いています。
国民民主党の山井和則議員、
安倍昭恵夫人の話が初めて籠池氏から出た時の交渉記録はいつになったら出てくるんですか。
財務省理財局の嶋田俊之課長、
まだ見つかっていない。
事実解明が進まない中、野党が情報公開を求めた森友問題に関する文書について先月、役所が次々と不開示という決定を出したのです。
9月5日、財務省を訪れたのは立憲民主党の川内博史議員。
国有地売却の際の打ち合わせ記録や国会の答弁書などの公開を求めたものの何一つ開示されなかったことを不服だとして申し立てを行ったのです。
何も答えない、資料も出さないと政府として決めているのかもしれないが少しでも真実を明らかにしたい。
財務省は記録を公表するべきか否か審査会が調査し90日以内に判断を示すとしています。
財務省OBは異例の土地取引や文書改ざんにはある力が働いたと見ています。
8億円の値引きは自分の仕事と照らしても極めて異常すぎる。
政治家の関与はありうる。私も実際体験した。
できることとできないことがある。そこはきちっと使い分けてきた。
今回は底が抜けてしまった感じ。
「公務員の判断で文書の改ざんはありえないか?」
ありえない。
財務省は改ざんは「国会が紛糾するのをさけるため」だったと結論づけました。
およそ20人を処分したものの麻生太郎大臣は続投。
処分を受けた当時の岡本官房長は事務方トップ、次官に昇進しました。
安田滋さんは、
処分の内容は思っていたより軽い。処分された幹部が人事異動で出世をしていく。
財務局の職場の締め付けはどんどん厳しくなってくるだろう。
最強官庁といわれる財務省による前代未聞の不正はいまだ多くの疑問が残されたまま…
現役の職員は固く口を閉ざしています。
内部告発をやれという声もあるけれど、現役の職員はこれからの公務員人生をすべて捨てるくらいの勇気がなければできない。
OBたちがいま懸念しているのは今後の公文書の扱われ方だといいます。
小濱達男さん、
今後はおそらく公文書を改ざんしないと思う。
しかし作るときの公文書そのものが、うその公文書を作ることになる。
私たちは行政がゆがめられるという危険性を感じる。
疑惑をすべて明らかにし、二度とこのような問題が起きないために6人は全国の財務局OBに協力を呼びかけています。