日本のとある過疎の町で地域の活性化に一肌脱いだのは自治体でも地元企業でもなくインドからやって来た世界的なIT企業でした。
そこには深い理由がありました。
ゾーホージャパン株式会社
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静岡県中部にある山間の町、川根本町。
一面に広がる茶畑と、もう一つの売りが吊り橋です。
橋の真ん中で願うと恋が叶うといわれ、夢の吊り橋といわれています。
かつては活気に溢れた温泉街ですが、いま目立つのは廃業した旅館。
近年は過疎化に苦しんでいます。
去年10月、その川根本町にインド人の一行が訪れました。
向かった先はこの古民家。
もともとは駐在所だった建物ですが…
おはようございます。
いまではインドのIT企業、ZOHO(ゾーホー)のコールセンター。
彼らは本社から視察に来た技術者たちでした。
ゾーホーの本社があるのはインド南部のチェンナイ。
主力の商品は顧客管理などのクラウドサービス。
従業員数は世界で7,000人を超えます。
取引先にはアマゾンやNetflixなど世界的な企業が名を連ねます。
サテライトオフィス
そのゾーホーが一昨年、ここを日本本社がある横浜と結び、サテライトオフィスにしていたのです。
町が導入していた高速ブロードバンド網がオフィスの設置を後押ししました。
町の空き家を中心に規模を拡大。
例えば子の元書店の建物は…
いまソフトの開発部門などが利用しています。
こうした変貌ぶりに地元の人は、
ゾーホーの川根本町愛がすごい。こちらもゾーホー愛を前面に出していく。
ITALIAN BAR RONNOBAR(ロンノバル)
[blogcard url="http://ronnobar.com/"]
昼時、インド人の技術者たちがランチに向かったのはこちらのイタリアンバー。
しかし出てきたのは、なんとインドカレー。
地元産の野菜を11種類のスパイスで仕上げました。
とてもすばらしい。インドスタイルだ。
故郷の料理を食べられるようにとオーナーがメニューに加えました。
ロンノバルの鈴木諭代表は、
初めて出したときはグッドとリアクションをもらった。
その夜…
インド人の技術者たちがある場所に向かいます。
そこでは地元の秋祭りの準備が行われていました。
地域住民と一緒に踊りの練習。
地域のコミュニティーに溶け込むのがゾーホー流なのです。
シュリダー・ベンブCEO
川根本町に来るのが3度目だというシュリダー・ベンブCEOに大江キャスターが理由を尋ねました。
この町に高いスキルのいい仕事を生み出す手助けがしたい。
それがわれわのミッションだ。
町が会社を支えてくれている。われわれも町の助けとなりたい。
瀧尾かのこさん
先月、そのサテライトオフィスに1人の女子高生の姿が。
瀧尾かのこさん(18歳)、この春、地元の高校を卒業します。
緊張した面持ちである発表を待っていました。
実は瀧尾さんは去年8月に2週間、ゾーホーがインドに持つ社内大学に体験留学していました。
学費は無料で専門的なプログラマーを育成する学校です。
ベンブCEOがこの教育システムに川根本町の若者を受け入れ、サテライトオフィスで働いてもらおうと考えたのです。
瀧尾さんたち川根高校の生徒4人が体験留学を終え帰国しました。
「海外初めてだった人は?」
去年10月、帰国後高校で行われた報告会では、
ご機嫌いかがですか?
私は絶好調です。
これから英語で話します。インドでは英語で話していたからです。
川根高等学校の増田章江教頭は、
まさか英語で感想を言うと思わなかった。
自分の視野を拡げるためにと留学に参加した瀧尾さん。
帰国後、入社の意思を固めました。
そして1月末、ゾーホーの採用面接を終えた瀧尾さん。
この日、面接の結果が伝えられます。
ゾーホージャパンの迫洋一郎社長、
きょうはご苦労様です。
面接の結果は合格ということで、先ほど学校にも連絡をしました。
支えてくれた人たちに感謝でいっぱいです。
オフィスの開設に続き、ゾーホーが始めた地元の高校生の採用。
瀧尾さんはその第1号となりました。
早速、母親に報告です。
ゾーホーに合格しました。
川根本町の企画調整室、北村浩二室長は、
若い子は大学進学を機に都会に出て、そのまま都市部で就職してしまう。
働いてみたい、働きたい職場が一つでも増えることを望んでいる。
過疎地での人材育成
なぜゾーホーは日本の過疎地で人材育成に力を入れるのか?
いい仕事があれば有能な人材は出ていかない。
いい仕事をこの町につくることが人材の流出を防ぐのに重要だ。
「川根本町で培ったビジネスモデル、どのように生かすか?」
とても重要な質問だ。
世界的に、特に先進国では人口減少が深刻な問題だ。
すべての国が日本のようになっていくだろう。
ここでそうした問題を学ぶことは世界にとって有益だ。
ベンブCEOは少子高齢化をはじめ、課題先進国の日本でこそ今後世界で通用する解決策を見出だせるといいます。
「なぜこの町を選んだのか?」
運命だよ。
川根本町のような場所は長期的に見れば重要だ。
IT企業がこうした田舎に腰を据えることで将来的に活気が出る。
それが日本人の田舎への考え方が変わることにつながる。
私たちはその役割ができることをうれしく思う。