お寺や神社の境内にある宿泊施設「宿坊」に泊まって座禅や写経を体験するという人が増えています。
なかでも日本の文化体験を重視する外国人観光客に人気となっていますが、積水ハウス株式会社は4月11日に新しい宿坊を報道陣に公開しました。
檀家の減少などで経営に苦しむ寺社が増える中、宿坊が新たな収入源として注目されています。
和空 下寺町
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全国有数の寺社密集地、大阪市天王寺区に建てられた宿坊型の宿泊施設「和空 下寺町」
まず目に入ってくるのが畳ですね。奥にはベッドもありますよ。和と洋がミックスされたようなお部屋ですが。
和風の作りですが外国人観光客の利用を意識して寝床はベッド、ユニットバスも付いています。
食事は肉や魚を使わない精進料理です。
1泊の料金は2食付きでシングルで2万8,000円から。
また周辺の寺の協力を得て僧侶を派遣してもらい、座禅や写経の体験もできます。
日本の文化体験を意識した作りですが、実はプレハブ。
積水ハウス株式会社は全国展開も視野に入れ、比較的安定した価格で短期間での施工が可能なプレハブを選びました。
この宿坊施設を管理運営する株式会社和空プロジェクトと積水ハウス株式会社は今後、全国各地の寺や神社と手を組んで2017年に主要都市にさらに10棟を建設する予定です。
すでに候補地を探すまでもなく寺や神社から問い合わせが殺到しているといいます。
株式会社和空プロジェクトの熊澤克己社長は、
全国に宿坊をつくっていきたい。そうすることで日本の伝統文化を継承し、世界的に宿坊というジャンルを確立させたい。
曹洞禅宗 正覚寺
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宿坊の需要は観光以外にもあります。
都心から電車とバスを乗り継いで2時間半、埼玉県飯能市の山間部に建つ正覚寺。
およそ530年続く、この寺で27代目の石井早苗住職が33年前に宿坊を始めました。
この日は隣町で運輸業を営む会社の新入社員研修。
株式会社奥井組の人材開発課、岸正之課長は、
心を落ち着けて仕事をしてもらいたい、その練習になれば。
座禅は、線香1本が燃え尽きる時間とされる約40分間。普段の喧騒を忘れじっくり自分と向き合います。
また食事の作法では、出された精進料理は全ては食べきらず、最後にたくあんを一切れ残すといいます。
お湯が注がれたら自分の漬け物で洗う。食器を洗ってください。
食器にお湯を注いで、たくあんを使って食べ残しを洗います。そして、そのお湯を飲むまでが食事です。
こうした非日常の体験を求める人は多く、こちらでは年間約1,000人が宿坊体験に訪れるといいます。
最近では檀家の減少などで財政難の悩みを抱える寺社が新たな収入源として宿坊に注目しているのです。
石井早苗住職は、
山寺ですから、ある程度維持しなければならない。維持経営。それから禅を通して学んでいただきたい。