2月24日、大きく下落した日経平均株価は2月25日に500円近く上昇し、3万円の大台を回復しました。
新型コロナワクチンが普及することへの期待などから24日のアメリカの株式相場が大幅に上昇したことを受け投資家心理が上向いたようです。
その株価ですが、今月およそ30年半ぶりに3万円台を突破してから、この大台が定着しつつあります。
歴史的な株高の舞台裏を追跡するとスマートフォンとSNSを駆使した新たな投資家の姿が浮かび上がってきました。
株式会社スマートプラス
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2月15日。
今日の東京株式市場、日経平均株価はおよそ30年半ぶりに3万円の大台を回復しました。
長い低迷が続いた日本経済にとって歴史的な瞬間でした。
1989年の年末に3万8,915円の史上最高値をつけた後、バブル経済崩壊やリーマンショックを経て、株価は7,000円台まで下落。
その後、第二次安倍政権が発足し、日銀による異次元の金融緩和策で株価は上昇。去年、コロナ禍で落ち込むも、財政出動と金融緩和により1年足らずで8割上昇しました。
これは序章にすぎない。日本株は上昇を続けると確信している。
こう語るのはロンドンで日本企業に投資するファンドのアドバイザー、ポール・デービス氏です。
3万円突破の牽引役となったのはデービス氏のような海外投資家です。実は日本株の売買代金のおよそ7割を占めています。
日本企業の価値は過小評価されている。
日本企業はバブルを経験して非常に保守的。大量の内部留保をため込んでいる。
英米の中小企業より日本株の可能性ははるかに興味深い。
しかし、30年半ぶりの株高の舞台裏を追跡すると海外投資家だけではない新たな株の買い手の存在が浮かび上がってきました。
「以前株取引の経験は?」
1回もない。
「トピックス」とか名前は知っているけど意味はわかっていない。
なんのこっちゃ。
こう語るのは1年ほど前から株式投資を始めたという霜鳥豊さんです。
職業は料理人。出張シェフのサービスを2年前に立ち上げましたが、コロナで仕事が激減。少しでも収入の足しにしようと投資を始めました。
午後1時、本業の食材買い出しの合間にしていたのは…
100円上がっている。
株価のチェックです。去年3月、7万円を元手に投資を始めた霜鳥さん。
4月、5月は株の売却益で合わせて3万円弱の収入を得ました。前回の緊急事態宣言で収入が激減する中、家計の支えになったといいます。
今月は日経平均3万円突破の勢いにも乗り、過去最高となる6万円以上の利益が出ました。
スマホ1台で完結するのでわかりやすかった。
今後も続けていきたい。
実は今、霜鳥さんのようなスマートフォンだけで株の売買をする投資家が急増しています。
口座開設から取引までスマホだけで完結する、いわゆるスマホ証券を開設した人はおよそ半年で30万人以上増加。
手数料の安さなどから若者を中心に利用が広まっています。
アメリカでも今、手数料ゼロのスマホ証券「ロンビフッド」の利用者が増えていて「ロビンフッター」と呼ばれる個人投資家が市場で影響力を持ち始めています。
こちらは日本で株取引アプリ「ストリーム」を手掛けるスマートプラス。
ロビンフットと同じく手数料ゼロが売りで、ここ1年で利用者は3倍に増えました。
「ストリーム」を運営するスマートプラスの林良太取締役、
勝手に"進化版ロビンフッド"と言っている。
手数料がかからない敷居の低さから半分近くがいわゆるビギナー投資家だといいます。
さらに、
ツイッターのようなコミュニティーサービスもアプリ内にある。
利用者がどんな話をしているか情報収集できる。
例えばこちらは出前館についての掲示板。
取引状況やたわいない感想など自由に意見を交わすことができます。ビギナー投資家が先輩投資家などが発信する情報を参考に相談もできるため安心して取引に挑めると好評です。
しかし、こうしたコミュニティーがもたらすのは安心だけとは限りません。
「ストリーム」のコンプライアンス部、今重皓貴さん、
全部の投稿を1日複数回確認している。
ストリームが最も力を入れているのがコミュニティーの監視作業です。
あたかも注文したい人がいるかのように見せかけて価格をつり上げる。
他の利用者に勧める内容、問題ありと判断して削除した。
先日、アメリカでロビンフッターが結託して株価をつり上げた騒動はSNS「レディット」の掲示板に書き込まれた匿名の投稿がきっかけでした。
ビギナーは間違った情報を信じる可能性も。気を引き締めて監視している。
林さんはスマホとSNSを通じた健全な情報交換が今後、日本の株式市場をより活性化すると指摘します。
情報やマネーはプロのところに集まり、彼らがマーケットを形成する。
400~500年そうだったのではないか。
今はテクノロジーが市場をつくる。
取引の多様性も出てきて健全になっていく。