7月14日に全国の新規感染者は2日連続で9万人を超え急激な拡大が続いています。7月14日に記者会見を開いた岸田総理大臣は流行の第7波への対応を問われ、新たな行動制限は現時点で考えていないと述べ、コロナ対策と経済の両立を目指す姿勢を強調しました。こうした中、政府の分科会で提言された新たな感染対策が効率的な換気の強化です。一体どんな内容なのでしょうか。
新型コロナ2日連続9万人超!"爆発的な感染"警戒へ
2日連続で新型コロナの新規感染者が1万6,000人を超えた東京都。午後、都庁で開かれたモニタリング会議では専門家から強い危機感が示されました。
国立国際医療研究センター
大曲貴夫医師
感染拡大のスピードが急激に加速している。
今回の増加比が継続すると1週間後には第6波のピークを超え、これまでに経験したことのない爆発的な感染状況になる。
東京都では1週間前に比べて感染者がおよそ2倍に増加。専門家は同じペースで感染が続くと来週には1日の感染者が2万3,000人以上に、2週間後には5万人以上になると警鐘を鳴らしています。
入院患者は2週間前に比べおよそ2.5倍の増加です。
こうした中、小池知事は7月14日に都庁内で4回目のワクチンを接種。若い世代で進んでいない3回目の接種を改めて呼びかけました。
小池都知事
若い人は活動量が多い、行動範囲が広いということも感染をしたり、させたりという課題があるので、ぜひ若い人に打ってもらいたい。
また急激な感染拡大を受けて政府はこれまで60歳以上の人などに限定してきたワクチンの4回目接種の対象者を拡大することを発表。来週以降、医療従事者や高齢者施設で働く人などにも接種を進めるとしています。
これに先立ち開かれた政府の新型コロナ対策の分科会では専門家が新たに5つの対策を柱とした緊急の提言を取りまとめました。盛り込まれたのはワクチン接種の加速や検査のさらなる活用に加え、夏場に重要となる効率的な換気などです。
第7波に向けた対策
- ワクチン接種の加速化
- 検査のさらなる活用
- 効率的な換気
- 効率的な医療機能の確保
- 基本的な感染対策の再点検と徹底
分科会の尾身会長は…
新型コロナ対策分科会
尾身会長
換気の重要性については今までも言ってきたが具体的にどういう換気の方法が良いのか必ずしも提言してこなかった。
「効率的な換気」とは?
政府分科会が提言した効率的な換気とはどのようなものなのか飲食店を例にとって説明してみます。
向い合せの席でパーティションで1人ずつ区切られた席をよく見かけます。現在は3方向から飛沫対策をしているため安心感はあるかもしれませんが、今回の提言はこうした席ではうまく換気ができなくなる可能性を指摘しています。空気が流れている場合、パーティションがあると壁のように立ちはだかってしまって座席の目の前の空気を換気できなくなってしまうということです。
そこで分科会は提言したのはパーティションの配置換えです。空気の流れを止めてしまっているパーティションを外してしまいます。そして空気の流れに沿って平行なパーティションのみを残し、空気の通り道を確保します。
ただ隣同士のパーティションをなくしたことで隣の席から飛沫を浴びるリスクがあります。ですから十分な距離を取るため席の間隔を空けることが推奨されています。
こうすることで換気はよくなりますが座席は少なくなるわけです。こうした換気に関する今回の提言、飲食店はどう受け止めているのでしょうか。現場の声を取材しました。
「効率的な換気」どう対応?飲食店からは戸惑いも…
こちらの店「もつやき優貴」、もつやきが自慢です。
もつやき優貴
五十嵐貴オーナー
空気の流れだけはよくしようとしている。
出入り口を常に開けているほか、空気清浄機も導入。さらにカウンター席には感染対策として2席ごとにお客さんの間にパーティションを設置しています。
オーナーに政府分科会が提言する効率の良い換気について聞いてみると…
もつやき優貴
五十嵐貴オーナー
ちょっとこうなると難しい。
多分、風の流れが全部向こう、換気扇に向かって置くと斜めになる。
この店では入り口の正面に排気口がありますが、ほかに換気扇も2ヵ所にあります。空気の流れが一定ではないため空気の流れの沿ってパーティションを設置するのは難しいといいます。
もつやき優貴
五十嵐貴オーナー
流れに対して置いたら席自体の配置を変えなきゃいけない。
現実的に難しい。全部一から作り直さないと。