いま日本の産業界、なかでも特にIT業界の悩みのタネがエンジニア不足です。
各社ともさまざまな採用方法を駆使して人材の確保にしのぎを削っています。
そうした中、今回のイノベンチャーズ列伝で取り上げるのは、ある採用方法のイノベーションによって日本企業の人材獲得のあり方を変えようとしているベンチャー企業です。
freee株式会社
[blogcard url="https://www.freee.co.jp/"]
東京・品川区。
ここはクラウド会計ソフトを開発するIT企業。
フリー・採用担当の栗林由季さん、
ここはエンジニアのフロアです。
ここで働くおよそ60人のエンジニアたち。
彼らが開発する会計ソフトではクレジットカードなどの取引データからAIで自動的に会計管理ができます。
これを開発する優秀なエンジニアをある珍しい採用方法で獲得しているといいます。
リファラル採用というものです。
去年12月に入社した上原さん。
紹介者の泉さん。
元々社員だった泉さんが前の会社で同僚だった上原さんを会社に紹介し採用につなげました。
社員が会社に知り合いを紹介する。これがリファラル採用です。
フリー・ソフトウェアエンジニアの泉祐一郎さんは、
仕事ができるのは知っていたので興味があれば紹介したいと思った。
フリー・ソフトウェアエンジニアの上原徹さんは、
知っている人からの情報はそれなりに安心して聞ける。入社した後のギャップもなく、思った通りの会社で、思った通りの仕事ができている。
今や社員の20%ほどがリファラル採用での入社だといいます。
ベンチャーの会社にいくのは不安だったり聞いた事のない社名だったりした時に自分の先輩が働いていると安心材料になる。私たちの中でも大切な採用方法のひとつ。
この会社のリファラル採用、実はあるシステムが成功に導いていました。
それを開発したベンチャーとは?
株式会社リフカム
[blogcard url="https://jp.refcome.com/"]
リファラル採用のシステムを提供するベンチャー企業「リフカム」。
創業者は清水巧社長(27歳)。
「潜在層」と言われる転職市場に出る前の人を採用できるのがメリット。
リファラル採用
そのシステムの特徴は利用の簡単さにあります。
まずは採用担当者が現在会社で必要としている役職、技術などを入力し、それを社員がメールやアプリで確認する。
そして社員はその条件に合いそうな知り合いに求人情報をメールやSNS経由で送る。
例えば知り合いにこのようにメッセージが届きます。
そこに書かれてURLをクリックするとその人向けの求人情報が表示される仕組みです。
そこからは知人と採用担当が直接やり取りするため紹介する社員の手間は最小限。
だから多くの社員の協力が得られます。
「縁故採用みたいですね。」
リファラルという言葉は新しいが、やっていることは古くて新しい。人事だけでなくて社員全員でやる。主語が人事から現場に変わっただけ。
清水巧社長
実は清水社長、22歳の時に一度起業し失敗しています。
人材確保が難しいベンチャー企業向けに採用サービスを始めようとしましたが…
思いはよかったが事業として結局立ち上がらなかった。オフィスの家賃も払えなくなって一度実家の金沢に帰る経験をした。
資金が底を尽きやむなく故郷の石川県に戻った清水社長。
しかし、
どうしても企業の採用を変えるような事業がしたい…
夢を諦めきれず度々上京してはベンチャー企業向けの採用イベントを開催。
ヒントを探り続けました。
そんな時、あるITベンチャーが清水社長のイベントに参加。
登壇した担当者の言葉が妙に胸に刺さった。
採用は社員全員で行うものだと思っています。
採用を全員で…?
プレゼンの後、その企業は現場の営業担当が営業の希望者に声を掛け、システム担当がエンジニアをと突っ込んだ話をしていました。
営業側はスゴイ経歴の人がいたよ。
システムにも欲しい人材を見つけました。
本当に社員一丸となり各々の部署ごとに採用活動をしていたのです。
そうか…現場の社員が欲しいと思う人こそ、その会社にあった人材なんだ!
そして2016年、清水氏はリフカムを創業。
ベンチャー企業の「仲間集め」が大きい企業でもできなかいと。海外では「リファラル採用」と言われているのを知り目を付けた。
現在では500社以上にシステムの提供と活用方法のコンサルティングを行っています。
株式会社はなまる
[blogcard url="https://www.hanamaruudon.com/"]
そして新たに導入が進んでいるのが高い離職率に悩む飲食業界です。
2017年6月にリフカムを導入したうどんチェーンのはなまるうどん。
彼は今年、リファラル採用で入社。
こちらが紹介した先輩社員。
その後、彼の中である変化が…
塚見悠記さん、
一人で頑張っているのではなく、紹介した後輩が頑張ってくれている。それが励みになって頑張ろうと。
リフカムの導入後、紹介した社員たちの士気が高まっているといいます。
はなまる・スーパーバイザーの永井美也子さんは、
一緒に働きたい仲間に声をかけるので社員のモチベーションも上がるし、辞めない。思ってもいなかった社員が何人も紹介してくれたり会社を大事に思っているのがわかる。
採用に携わることで職場を良くしたいという意識が生まれる。
それこそがリファラル採用のメリットだといいます。
社員が自分の会社を紹介したいと思えるようないい会社を増やす力に僕たちがなれればと思っている。