いまこの夏の電力不足をどう乗り切るかが大きな課題となっていますが、そんな中注目されているのが火力発電です。
老朽化などで運転が停止されてきた火力発電所を来月から再稼働させることが決まり、その内部が公開されました。
これ夏の電力不足は回避できるのでしょうか。
夏の電力 安定供給がピンチ…!"老朽火力"再登板のワケ
千葉県市原市にある姉崎火力発電所。
東京電力ホールディングスと中部電力が共同出資するJERAが運営しています。
6月22日に報道陣に公開されました。
建物に近付いてみると…
村上航大記者

見ていただくと至るところにサビなどが見て取れます。
5号機は運転開始から45年が経過。老朽化などを理由に2021年4月に運転が停止されました。
しかし今年初め、冬場の電力不足に対応するためおよそ2ヵ月間だけ再稼働。
そしてこの夏、再び注目を集めることに。
経済産業省は来月にも東京などで電力の安定供給が非常に厳しくなると予想。
そこでJERAは老朽化した5号機の修理と点検を繰り返し、再登板させることにしたのです。
しかし、発電所の責任者は…
JERA 姉崎火力発電所
亀井宏映所長

トラブルというか、直さなくてはいけない部分が明確に分かったので、そこをできるだけ早く直して早く復旧する。
古い設備なので運転中に振動が発生してしまった。
修理を行った。
JERAは夏の停電回避に向けて愛知県にある知多火力発電所1基も再稼働させ、合わせて最大で370万世帯分の電力を発電する計画です。
JERA 姉崎火力発電所
亀井宏映所長

絶対に電気を止めてはならないという強い気持ちはある。
なんとか電力がひっ迫している時に無事運転できるよう頑張っていきたい。
再生可能エネルギーなど新たな発電方法が広がる中であえて老朽化した火力発電所の再稼働に踏み切った理由は…
東京電機大学
工学部電気電子工学科
加藤政一教授

再生可能エネルギーがどんどん入ってきて、旧式の火力発電所が休止、廃止している。
再生可能エネルギーがきちんと出力すればそれほど問題ではないが、何らかの理由、例えば太陽光発電が思ったように出力しないとか、そういうことがあると供給力が足りなくなる。
非常に古い、老朽化した火力発電所だがもう一度発電してもらいたい。
一方、専門家はピンチを火力発電で乗り切るだけでは電力不足の解決につながらないと警告します。
東京電機大学
工学部電気電子工学科
加藤政一教授

冬の方が怖いと思う。
古くなった電源(火力発電所)が休止や廃止される可能性があったとしても新しい火力発電所を作る可能性が非常に少ない。
結果的に需給ひっ迫の状態は全然改善されない。これはしばらく続くと思う。