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[WBS] VS日韓対立の真相!元徴用工問題とは!?

2019年8月17日

ワールドビジネスサテライト(WBS)

日本と韓国の間で繰り広げられた知られざる経済の歴史を独自に入手した重要資料と証言で紐解きます。いま輸出管理の厳格化を巡って日本と韓国の対立が続いていますが、そもそも日韓関係が悪化するきっかけとなったのがいわゆる元徴用工の問題です。

元徴用工問題

安倍総理は謝罪せよ!

安倍総理の写真を踏みつけ、思いっきりパンチ。

元徴用工問題で日本に抗議をする集会です。

徴用工とは日本の統治下にあった朝鮮半島や日本本土で企業の募集・徴用により働いた朝鮮半島出身労働者のことで推定70万人~80万人いるといわれています。

ソウル中心部の駅前広場。ここに徴用工像が立っています。

去年、元徴用工の4人が日本企業に損害賠償を求めた裁判。

韓国の最高裁にあたる大法院は新日鉄住金に1人あたりおよそ1,000万円の支払いを命じました。

そして今年、新日鉄住金と三菱重工が持つ韓国国内の資産が差し押さえられました。

この元徴用工の問題で重要なカギを握っているのが過去に日本と韓国の間で結ばれた協定です。

1965年に国交を正常化する「日韓基本条約」とともに締結されたのが「日韓請求権協定」です。

日本政府から韓国政府に5億ドル、現在のお金で換算するとおよそ7,500億円が支払われました。そのうち個人への補償金を支払う場合については韓国政府の手で行うということが両政府の間で確認されています。

そのため日本政府は韓国政府付に支払った5億ドルで「請求権に関する問題が完全かつ最終的に解決」したとして日本企業に賠償金の支払いを命じた去年の韓国大法院の判決を受け入れないという考えです。

番組では韓国に支払った巨額なお金の行方を知ろうと重要な資料を入手しました。

請求權資金白書と書かれています。これは44年前に韓国政府が発行したもので、今回特別に入手しました。

中を見てみると朴正煕大統領の写真、そして5億ドルの使い道が詳細に書かれていて、現在の対立の原点を読み解くことができます。

日韓の問題を解決するはずだった5億ドルの行方、そして水面下で進んでいる新たな解決策について独自に取材しました。

5億ドルの行方を追う!

1965年、日韓基本条約が締結され国交が正常化しました。

この基本条約とともに結ばれたのが日韓請求権協定。当時の韓国の国家予算を大きく上回る5億ドル、現在の価値にするとおよそ7,500億円を日本が経済協力金として支払うというものです。

その5億ドルの使い道が明記された請求權資金白書。

中を開くと、

日本から無償3億ドル、有償2億ドル、合わせて5億ドルの請求権資金を1966年から1975年まで10年間にわたって受け入れることになりました。

農業や水産業、さらに原子力研究などの科学技術に至るまで日本の資金は様々な分野に使われたことが分かります。

中でも多く使われたのが…

あれが漢江鉄橋、日本の支援で作られました。

ソウル市内を流れる漢江にかかる全長およそ1キロの漢江鉄橋。ここには89万ドルが投じられました。

この他にもソウルと第二の都市、釜山を結ぶ京釜高速道路の建設にはおよそ690万ドルが注ぎ込まれました。

白書には5億ドルのうち2割近くがインフラ設備に使われたと書かれています。

この日本からの資金により韓国は急速な経済発展を遂げました。

これを韓国では「漢江の奇跡」と呼びます。

こうした日本の資金を使った経済発展について国民は知っているのでしょうか?

20代の大学生、

漢江の奇跡。知っていたんですけど…

韓国、ソウルがすごく発展したことを表す言葉だったんじゃないか。

30代の会社員、

漢江の奇跡を習ったことも覚えていません。

日本から経済協力金をもらったことを最近マスコミを通じて知った。

5億ドルめぐる日韓経済秘史

日本から韓国への経済協力金、インフラよりも多くのお金が投じられたのが浦項総合製鉄の建設。現在の韓国製鉄大手、ポスコの建設です。

ポスコは売上高6兆4,000億円、世界第5位の粗鋼生産を誇る韓国を代表する企業です。

その創設には日本からの5億円のうち、実に24%を占める1億1,948万ドルが投じられていました。

1970年、韓国南東の街、浦項で始まった製鉄所建設。

韓国は重工業化を掲げ悲願の製鉄所建設に邁進しました。

そこに投じられた日本の経済協力金。建設を支えたのは金だけではありませんでした。

建設中に撮られた1枚の写真。

左は浦項製鉄の韓国人、右の人のヘルメットには「JG」の文字。ジャパングループの略です。

実は浦項製鉄の建設のために多くの日本の技術者たちが技術指導にやって来ていたのです。

請求権協定で得た資金を経済成長のために使うと決断した朴正煕元大統領。朴槿恵前大統領の父です。

朴大統領らは日本の有力者に製鉄所建設への協力を要請。お金だけではなく技術支援も取り付けたのです。

神奈川県鎌倉市。

日本の商社、トーメンの韓国法人で会長を務めた百瀬格さん。

百瀬さんは当時、現場監督として製鉄所の建設に関わり、工程管理や資材輸入などを手掛けていました。

こうして2人で話すことは多かったのですか?

「浦項に派遣されるきっかけは?」

1968年から70年まで2年間ソウル駐在してた。

ある日突然ポスコから仕事をもらった。

えらいことになった。どうするんだと。

高炉を作るには高い技術力が必要でした。それを持つ当時の新日本製鉄などの日本企業グループが多くの技術者を派遣し、韓国人を指導しました。

当時いた人は「韓国経済がプラスになる」と思ってやっていない。

自分の仕事だ。

そのためには韓国の技術者と「あなた一生懸命やるね、じゃあ俺についてこい」と。

小さなミスが見つかれば一から壊してやり直す。最高の製鉄所を作るためお互い妥協はしなかったといいます。

「ワンチーム」。

けんかをしてやるんじゃなくて、どこか問題があるなら手伝ってあげるという気持ち。

今の日本と韓国とは全然違う。

1973年、日本の資金と技術を基礎として韓国の浦項製鉄所1号高炉が完成しました。

朴正煕元大統領、

過去、われわれの夢だと思っていたのが夢ではなく現実としてわれわれの目で目撃できました。

請求權資金白書ではこう評価しています。

浦項総合製鉄工場建設は民族的な血で獲得した「対日請求権資金」で成し遂げた代表的な事業と見ることができる。

成果を誇る一方である重要なことが記されていました。

民間人への補償について、この資金で国民所得を向上させることが何より至急な課題だったため民間人に対する補償問題を延期した。

白書によれば75年までに個人への補償に充てたのは5億ドルのうち、わずか2,000万ドル。元徴用工への補償は十分とはいえなかったのです。

釜山市。

シン・ヨンヒョンさん(94歳)です。

徴用工として徴収され日本の下関に渡り炭鉱などで働かされたといいます。

朴正煕元大統領が韓国のために資金を使った。

私たち被害者は賠償金をもらっていない。

朴正煕元大統領らが金をもらってきて道路やポスコを作ったんだ。

韓国政府には請求権資金を本来の補償に充ててほしいと主張しています。

キーマン証言「日韓解決案」

そんな中、私たちはある重要人物に接触することができました。

ポスコの元会長、劉常夫さん。

これは私ですね…

会長時代は当時の新日鉄と提携を強化し、ポスコの発展に貢献してきました。

これは請求権資金。

5億ドルの使い道は正しかったのか聞きました。

徴用工の補償についてポスコが出そうと思っている。

ポスコと現代自動車と日本企業と両方で出し合っておさめよう。

劉元会長によれば先月ポスコは韓国企業と日本企業が共同で数十億円規模の補償金を出すことを日本側に提案したといいます。

ポスコは製鉄をつくるのに成功したが、ポスコのために犠牲になった人たち、元徴用工や農民が日韓請求協定の恵みがなかった。

助けあおうと。

劉元会長によれば一部の日本企業側もこの案に同意しているといいます。

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