ウクライナ侵攻を受け、ヨーロッパ各国がロシアへの制裁を強める中、ロシアからドイツに天然ガスを送る巨大パイプライン「ノルドストリーム」が停止されました。一方、日本企業が参加し、日本に天然ガスを供給する「サハリン2」もプーチン大統領の大統領令により無償での譲渡の危機に陥っています。エネルギーで各国に揺さぶりをかけるロシアは今後どう出てくるのでしょうか。
ロシア 天然ガスで揺さぶり!
日本に報復措置を明言
ロシア
プーチン大統領
ご存知の通り、ロシアのエネルギー企業は信頼できる責任あるパートナーだ。
7月8日に誇らしげにこう語っていたプーチン大統領。そんな中、7月11日にロシアとドイツを海底でつなぐ天然ガスの巨大パイプライン「ノルドストリーム」が停止されたのです。天然ガスの4割以上をロシアに依存してきたヨーロッパ、その要となる重要なパイプラインでした。ロシア側は今回の停止は保守点検のためで21日にも再開するとしていますが…
ドイツ
ハベック副首相
誰も何が起きるか分からない。
過去にはよく技術的な理由が政治的決定の言い訳になることがあった。
もちろん再び起こる可能性はある。
豊富な天然ガスを武器に世界に揺さぶりをかけるロシア。プーチン大統領は6月30日に日本の商社などが出資するLNG(液化天然ガス)開発プロジェクト「サハリン2」を無償でロシア側に譲渡させる大統領令に署名しました。その真意をガルージン駐日ロシア大使に直撃しました。
佐々木明子キャスター
「サハリン2」資産の無償譲渡、契約違反では?
ガルージン駐日ロシア大使
そもそも大統領令の理由、作成と署名の理由はどこにあるかというといわゆる集団的西側陣営から不法な不当な制裁を受けているから。
ロシアに対して違法で非友好的な行動をとってしまった。
サハリン2をめぐるプーチン大統領の命令は日本の制裁への報復措置であると明言しました。今後、サハリン2の運営はロシア側が新たに設立する会社に引き継がれることに。日本企業などが出資の継続を求める場合は新会社設立から1ヵ月以内に申請し、ロシア政府がその可否を判断するとされています。
どうなる「サハリン2」
サハリン2を重要視する日本政府も…
萩生田経産大臣
今回発表された大統領令について引き続き外交ルートで照会を行っている。
具体的なやりとりを行っているが中身については控える。
経産省は今週にもロシア側が新会社を設立する可能性があるとみて三井物産や三菱商事などと共同で参画を申請するかどうかの詰めの協議をしています。日本企業はサハリン2の事業に引き続き参加できるのか。
ガルージン駐日ロシア大使
今、何がありえるか、ありえないかという観点から判断・コメントする時期ではない。
まず申請が必要。
参加を認めるかは明言しませんでした。
一方…
佐々木明子キャスター
日本はLNGの供給契約を結んでいるが今の条件のまま続けるか?
ガルージン駐日ロシア大使
もちろん続ける。
大統領令への署名はロシアからの輸出が停止されることを意味していない。
深刻さを増すエネルギーをめぐる駆け引き。G7(主要7ヵ国主要会議)ではロシアへの追加制裁としてロシア産の石油の取引価格に上限を設定することを検討しています。来日したアメリカのイエレン財務長官も7月12日にその重要性を強調しました。
アメリカ
イエレン財務長官
G7の首脳が検討することを合意した石油価格への上限設定についても議論したい。
こうした制裁にロシア側は反発しています。
ガルージン駐日ロシア大使
市場経済の原理を無視している。
市場に残った原油価格が高騰する。場合によっては1バレル300~400ドルまで上がる。
欧米日との関係を抜本的に見直さなければならないし、今まで通り日本との関係ができないのでは。