美味しそうなパンが並んでいますが、高級食パンブームなどもあってパンの人気が続いています。
そんな中、日本初という全国パン共通券が12月9日に発売されました。
ビール券やお米券のようにギフト券として使えるものですが、導入の背景にはいまベーカリー業界が抱える深刻な事情がありました。
苦境のベーカリーを救う!?「全国パン共通券」導入のワケ
全国におよそ250店舗を展開するヴィ・ド・フランス。
この店の人気はカリカリのチーズカレーパンやウインナーロールなどの調理パンです。
店員が何やら貼っていたのは「全国パン共通券」のステッカー。12月9日から始まった日本初というサービスです。
良いのでは、パンを食べる機会も多いし、家で食べる人も増えているから喜ばれる。
会えない友人が多いので手軽に使えるプレゼントとして贈れたら。
パン共通券は200円、500円、1,000円の3種類。
専用サイトで購入してメールやLINEなどでギフトとして送ることができます。
受け取った人はスマホをレジ横のQRコードにかざせば商品を購入できる仕組みです。
各種キャッシュレス決済が使えるのにパン共通券を導入した理由は?
ヴィ・ド・フランスの森れい佳さん。
客足が戻ってきていない状況。
デジタルギフトなので若いお客様にも使ってもらえればと期待。
新たなお客様を取り込めれば。
ヴィ・ド・フランスのほかにもPAULや神戸屋など全国およそ350店舗で使えます。
仕掛けたのはパンフォーユーというベンチャー企業です。
パンフォーユーの矢野健太代表。
当社の使命は新しいパン経済圏を作り、地域経済に貢献する。
5年前にパンフォーユーを立ち上げた代表の矢野さん。これまで地方の小さな店のパンを特殊な技術で冷凍し、首都圏の消費者に届ける「パンスク」という通販サービスを手掛けてきました。
特殊な袋を活用するとパンをおいしく冷凍で保存できる。
今回なぜパン共通券を始めたのでしょうか?
コンビニに続いて「パン屋のギフト券」はもらって嬉しいという結果に。
すごく期待されている。
パンフォーユーが独自に調査したところ、パンのギフト券を作って欲しいという声がコンビニに次いで多かったのです。
一方、ベーカリー側にも事情が…
コロナで人通りが多いオフィス街や商業施設ほど人が少なくなった。
パン屋への影響は大きい。
ベーカリーとしては通販のパンスクで店頭外の売り上げができるのは嬉しいが店頭の売り上げをもっと大事にしたいと。
パンフォーユーとして何かアプローチができないか。
これまで右肩上がりで拡大してきたパンの市場規模はコロナの影響で500億円も減少。経営破綻に追い込まれる店も少なくありません。
この日、矢野さんが訪ねたのは東京郊外にある地元のパン屋さん「ブーランジェリー道」。
店主の冨永佳道さんは有名店で修行を積み、3年前に念願だった自分の店を開きました。
しかし…
なかなか消費も落ちている。大変。
コロナ禍で人が外に出なくなった。その中で戦っている。
美味しいパンをつくっても店に足を運んでくれる人が減っているというのです。
そこで矢野さんが取り出しのが、あのパン共通券のスマホ画面。
おいしいベーカリーは「パン共通券」をやっているとブランディングに使えたら。
店のブランド化に使えるのではと提案。
素敵だと思う。
面白い。
お店に来て雰囲気と香りを味わってもらいたい。
パン共通券を大手チェーンだけでなく、町の小さなパン屋にも広げる狙いは…
ベーカリーの店主は自分の店の魅力に気づいていない人も多い。
「パン共通券」を通じて個人店の魅力を知ってもらえたら嬉しい。
ゆくゆくは全店舗で、まずは3年以内に3,000店舗を目指したい。