アメリカが主導して開幕した民主主義サミットでは日本を含むおよそ110の国と地域が参加しています。
結束することで権威主義と位置づける中国やロシアと対抗する狙いです。
バイデン大統領は世界の繁栄は人権を守っていくために民主主義の理念を共有する国などが結束していくことが必要だと強調しました。
民主主義サミット開幕!
バイデン大統領 結束を強調
アメリカ・バイデン大統領。
私はずっとこのサミットを考えていました。その理由は簡単です、民主主義が脅威にさらされています。普遍的な人権の懸念があります。自由と生命を尊重する民主主義は偶然に作られたものではないというのが私の考え方。いま我々が見ているデータは誤った方向に進んでいます。協力してこうした懸念に対抗しなければいけません。専制主義の脅威があります。世界中に影響力を広げようとしています。
中国・ロシアの権威主義に対抗
この民主主義サミット、掲げるテーマの一つが権威主義への対抗です。
招待リストにはイギリスやブラジル、日本などおよそ110の国と地域が並び、首脳級の会合としては異例の規模です。
中でも注目を集めているのが台湾を招待したこと。IT政策を担当する閣僚が出席します。
台湾のIT担当大臣、オードリー・タン氏。
招待されていない国は民主主義を発展させれば次回は招待されるのではないか。
一方、台湾は不可分の領土とみなす中国とロシアは招待されていません。アメリカとしては民主主義陣営を集め結束を示したい狙いです。
中国は連日、アメリカへの非難を強めています。
中国外務省の汪文斌副報道局長。
サミットは世界の民主主義のためではなくアメリカの覇権維持のためだ。
政治的な操作をしても国際社会から反対を受けるだけだ。
こうした中、8日には…
カナダのトルドー首相
中国政府が繰り返す人権侵害を非常に懸念している。
北京五輪に外交使節を派遣しない。
カナダがアメリカの外交ボイコットに同調すると表明。
中国との対立がさらに鮮明になっています。
中国が批判を強める中でバイデン政権が民主主義サミットを開催する狙いは一体何なのでしょうか?
ワシントン支局の中村寛人記者。
今回のサミットについて政府高官からは特定の国に焦点を当てたものではないとの声も聞こえてきますが、アメリカ政府としては外交や経済、そして軍事の面で中国やロシアに対抗する姿勢を鮮明にした形です。
アメリカ国内に目を向けると特に中国に対して強い姿勢で対応すべきという点では与野党超えて一致しています。8日には与党民主党が多数を占める議会下院で中国の新疆ウイグル自治区からの輸入を制限する法案を可決したほか、野党共和党のルビオ上院議員が来年開催予定の北京オリンピックのスポンサーに対し広告の撤退を求める書簡を送るなどサミットを前に党派を超えて中国を牽制する動きが広がっています。
今回のサミットで中国やロシアとの対立姿勢が一層深まる事態に発展するのでしょうか?
中間選挙を来年に控えるバイデン大統領としては中国やロシアに対し、弱腰の姿勢は見せられないわけですが互いに喧嘩腰になるのも避けたいというのが本音です。このような背景からバイデン大統領はサミット直前に習主席やプーチン大統領とオンラインではありますが画面越しで顔を突き合わせて対話の扉は閉ざさないという姿勢を打ち出しました。
バイデン大統領は民主主義サミットを1年後をめどに対面式で開催したいとしていて、結束して民主主義をてこに世界で影響力を高める中国などと向き合っていく考えです。