これまでもヨーロッパの脱炭素の動きをお伝えしていますが、今回はこの戦闘機のように見える設備です。
シリーズ企画「欧州グリーン革命」。
イギリスのウィリアム王子も注目するという新エネルギー技術をイギリス・スコットランドで取材しました。
Orbital Marine Power Ltd
[blogcard url="https://orbitalmarine.com/"]
イギリス・スコットランド。最北の地にあるオークニー諸島。
人口およそ2万2,000人。70の小さな島で構成されています。
風力発電などが盛んで実はイギリスの新エネルギーを象徴する場所になっています。
なかでも特徴的な施設がこの海に…
取材班がその場所に向かいました。
あれが「O2(オーツー)」?
海に浮かぶO2と呼ばれる黄色い物体。
中村航記者。
こちらスコットランドのある海の上です。
ここに浮かんでいる珍しいものがあります。潮を使った潮力発電の施設ということです。
7月に稼働を始めたのは全長73メートル。海に浮かぶO2。潮の流れの早いこの海の特性を生かした潮力発電施設です。
海中にある羽根が潮の流れを捉え、エネルギーに変えていきます。
潮に合わせ羽根の向きが自動に変化し、効率的に発電。
出力は2メガワット。およそ2,000世帯の電力を賄う世界最大級の潮力発電施設なのです。
さらに…
オービタル・マリンパワーのダニエル・ワイズさん。
この潮力発電は浮体式なので海中に沈む施設と違って普通の商業船でもメンテナンス作業できて維持費を安くできる。
運用時のメンテナンス費用を押さえる工夫もあります。
5月、イギリスのウィリアム王子夫妻が訪れました。
気候変動の潮流を変えうる再生エネルギーのタービンだ。
と潮力発電に引っ掛けた表現で称賛し、国を挙げて推進しています。
潮力発電がなぜここまで評価されるのでしょうか。
普段は入れない発電施設の司令塔「O2コントロールセンター」で理由がわかりました。
海の上に人を置かず、遠隔で全てチェックできるのですが、そこで見せてくれたのは…
この数日の発電量をみるとかなり予想しやすい形になっている。
潮力発電で使う潮の流れは太陽と月の動きによるもので予測しやすいため、風力や太陽光など他の再生エネルギーより安定するのです。
海に囲まれたイギリスは商業化に向けた環境が整っていて研究開発が進みました。
設計だけでなく多くのパーツもイギリス製でO2を展開するオービタル・マリンパワー社はEUの潮力発電の推進事業の先導役になっています。
イギリスにも雇用で貢献して、潮力発電は地元経済にも好影響だ。
ヨーロッパの潮力発電を引っ張るオークニー諸島ですが、海のエネルギーに特化した研究施設まであります。
欧州海洋エネルギーセンターのエイリーン・リンクレーターさん。
世界でも珍しい潮力と波力の研究施設だ。
これまで11ヵ国から21の会社が34種類の技術をテストしてきた。
フランス、スペイン、オランダ、シンガポール、オーストラリア、それにカナダなど世界各国がすでに潮力発電などのテストを行っています。
潮力を含む海の力は世界の10%の電力を満たすともされ、意外にもエネルギー源としての規模も大きいのです。
なかでもイギリスは特に力を入れていて、国の電力需要の20%を海のエネルギーで賄おうという計画もあります。
新たなグリーン技術、潮力発電ですが今後は海の多い日本でも…
日本ともいい関係を築いている。特に長崎県と。
素晴らしい海の資源があり海洋産業のエンジニア技術も高い。
日本には素晴らしい海洋エネルギーの潜在能力がある。