歴史問題をめぐる日本との関係が悪化する韓国では8月15日に尹大統領が演説し、日韓関係の改善に意欲を見せました。しかし、その尹大統領はいま支持率が急落し、政権が揺らいでいて先が見通せない事態に陥っています。日韓関係は今後どうなっていくのでしょうか。
歴史問題で揺れる日韓関係!韓国 支持率急落でどうなる?
韓国では8月15日は日本の植民地支配からの開放を祝う光復節。その式典に初めて臨んだ尹大統領。
韓国
尹大統領
日本は今や世界市民の自由を脅かす挑戦に立ち向かい、共に力を合わせて進むべき隣人だ。
普遍的価値を基盤に両国の未来や時代の使命に向かって進むなら歴史問題もきちんと解決できる。
歴史問題を乗り越え、日韓関係の改善に意欲を示した尹大統領。しかし、足元では逆風にさらされています。
5月に発足したばかりの尹政権、物価高対策などでの批判や失点が相次ぎ、当初50%を超えていた支持率は就任からわずか3ヵ月あまりで危険水域にいるのです。
ソウル近郊に住む男性、案内してくれた住まいは映画でも話題となり低所得者が住む場合が多いいわゆる半地下住宅です。
8月8日、歴史的な大雨で半地下住宅が浸水。子どもを含む4人が死亡しました。
崔錫朝さん
怖かった。ニュースを見てびっくりした。
幸い被害はなかったという男性の半地下住宅。しかし、過去には浸水やトイレの水が逆流したことがあるといいます。
尹大統領は8日の大雨の際、自宅で災害対応にあたっていたことに対しても国民から批判の声が上がっていました。
崔錫朝さん
事情があったのでしょうけど国民が考えると無責任な面があります。
さらにアメリカのペロシ下院議長が韓国を訪れた際に自らの夏休みを理由に対面での面会を見送り、外交手腕への懸念も出ているのです。
8月15日に尹大統領の支持基盤である韓国南部の都市「大邱」では…
デモの参加者
尹政権を打倒せよ!
午後7時頃に始まった市民デモ。横断幕には「尹大統領夫妻は国民全ての敵」との文字が。
デモの参加者
政治が下手で無能すぎる。
デモの参加者
対日政策は屈辱的。もちろん良い関係を築くべきだがギブ・アンド・テイクの関係であるべき。尹大統領の主張はそうではない。
韓国 支持率急落で"反日"!どうなる今後の日韓関係
支持率の下落が止まらない尹大統領。懸念されるのが日韓関係への影響です。
今から10年前、島根県竹島に現職の大統領として初めて上陸した李明博元大統領。就任当初は日韓関係の改善に意欲を示していましたが支持率が急落した際には一転、対日強硬路線に。反日カードを切り指示のつなぎ止めを図ったのです。
一方で尹大統領が8月15日に言及したのは…
韓国
尹大統領
韓日関係の包括的未来像を提示した金大中。小渕共同宣言を継承し、韓日関係を早く回復・発展させる。
日韓政府が初めて双方の歴史認識を盛り込み1998年に取りまとめた日韓共同宣言。対立に終止符を打つ未来志向のこの宣言を継承すると訴えました。
支持率が下がる中でこうした姿勢を変える可能性はあるのでしょうか。
専門家は…
韓国政治に詳しい
東京大学大学院
木宮正史教授
今回の演説も最初に掲げているのが日本との関係。
日本との関係改善についての強いメッセージというのはうかがえる。
反日路線にすぐに舵を切る可能性は低いと分析する一方、いわゆる元徴用工の問題を含め日韓関係の改善は簡単ではないと話します。
韓国政治に詳しい
東京大学大学院
木宮正史教授
日本に対しては特に歴史問題に関して厳しい世論がある。
ただ現状の支持率ではとてもではないが大胆な提案や妥協案を出すことは大変難しい。
韓国旅行キャンセル相次ぐ!民間交流に水を差すコロナ対策
一方、民間の交流でも黄色信号が。
ハナツアーは主に韓国から日本への団体旅行を扱う会社です。
ハナツアー
金尚昱取締役
訪日外国人客受け入れの岸田さんの発表があって韓国から期待もあり行けるかなと思ったが7月8月と予約が減ってきた。
番組スタッフ
キャンセルが多発している?
ハナツアー
金尚昱取締役
そう。
岸田総理が水際対策を緩和し、外国人観光客の受け入れ再開を表明した当初、旅行の申し込みが多くあったといいますが今月に入りキャンセルが相次いでいるといいます。
ハナツアー
金尚昱取締役
団体のパッケージでないといけない。観光ビザを取らないといけない。
個人のお客様はビザも取れない。
PCR検査を日本に入る時もやらないといけない。
水際対策などによる手続きの複雑さで日本への旅行を敬遠。この旅行会社では韓国からの訪日客はコロナ前の5%ほどしか戻ってきていないといいます。
実際、韓国の市民からもこんな声が…
韓国
市民
日本は個人旅行のビザが出なくて旅行できないのが残念。
韓国
市民
手続きが複雑だから行きたくない。簡単になったら行く。
さらに6月下旬に2年3ヵ月ぶりに羽田-金浦間のドル箱路線を再開したANA。客足が伸び悩んでいるといいます。
全日空
小山田亜希子執行役員
乗客数はコロナ前の7月は1割程度、8月は2~3割程度。
日韓の往来が再び活発化するには水際対策のさらなる緩和が必要だと指摘します。
全日空
小山田亜希子執行役員
ビザをコロナ前と同じように緩和するとか、個人旅行の認可、日本入国に際しての上限数が2万人、その撤廃をお願いしたい。。