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[モーニングサテライト]東証 4月に市場再編!上場企業にもたらす「変化」とは[新田ゼラチン株式会社]

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今年4月に控えているのが東京証券取引所の市場区分の再編です。東証1部、2部、マザーズなど現在5つの市場が3つに集約されます。

グローバル企業向けのプライム市場、中堅企業向けのスタンダード市場、そして新興企業向けのグロース市場です。

それぞれ上場維持の基準ですが最も厳しいプライム市場では流通株式時価総額、つまり市場に流通している株式の時価総額で100億円を確保する必要があります。これは現在の東証1部の基準の10倍です。またプライム市場ではより高い水準のガバナンス、つまり企業統治が求められます。例えば取締役会では独立した社外取締役を3分の1以上確保することや英語で情報開示することが求められています。

このように厳しい基準が設定されたため、現状ではプライム市場に移行する1,841社のうち296社が基準を満たしていません。そこでこうした企業は基準の達成に向けた計画書を提出すれば経過措置としてプライム市場に移行できるとしています。

この市場再編は日本の株式市場、上場企業にどのような変化をもたらすのでしょうか。

東証再編 企業の選択

基準未達でもプライム市場へ!

東証1部に上場する新田ゼラチン。

牛の骨などを原料とするゼラチン粉の製造が主力事業です。

グミなどのお菓子だけでなく、コンビニのラーメンなど汁物にも多く使われています。

新田ゼラチンの尾形浩一社長。

ラーメンの下に固まった部分があるが電子レンジでチンすれば溶けてスープになる。

この4月、東証1部からプライム市場に移行します。しかし現時点では上場維持基準を満たしていません。

スタンダード市場を選択すれば何もしないわけではないが、やはり現状に満足してしまう。

真のグローバル企業を目指したい。そのためプライム市場にいることが大事。

新田ゼラチンが基準を満たせていないのが市場に流通する株式の時価総額です。

基準の100億円以上に対し、新田ゼラチンは63億円。

株価を現在のおよそ2倍にあたる1,140円前後に引き上げるのが目標です。

営業利益をもっと上げていく。

そのためには付加価値の高い製品に力を入れていく。

利益を伸ばすために力を入れるのが医療分野です。

例えば細胞移植手術を行う際に人の細胞を包んで安全に運ぶためのゼラチンの実用化などを進めています。

今年の秋には医療分野のための新たな研究所も完成する予定で海外展開を見据えた技術開発の拠点としたい考えです。

さらにこんな取り組みも…

ここでとろみとコク出しのためにか粒タイプのゼラチンを入れていきます。

去年から公式Twitterで動画を配信。ゼラチンを使った料理のレシピを紹介しています。

新田ゼラチン ヘルスサポート事業本部、山川友一係長。

BtoBのお客様には当社を知ってもらっているが、一般のユーザーにも知ってもらいゼラチン、コラーゲンのことを知ってもらえれば。

知名度やブランド力を高めることで投資家の注目を集め、より活発に株式を売買してもらう狙いです。収益力の向上と合わせて流通時価総額100億円を目指します。

一番上の市場を選ぶことになるから、それにふさわしい企業になる。

持続的に成長できる会社になりたい。

上場企業に価値向上への取り組みを促すこと、これこそが東証の大きな狙いのひとつだといいます。

東京証券取引所の山道裕己社長。

われわれの意図はあくまでも上場会社に持続的な成長を目指してもらうのと投資家によりわかりやすい市場区分になることを目指した。

変化の兆しは相当あるのでは。

「あえてスタンダード」の狙いは

その市場再編であえてめずらしい選択をした東証1部上場企業があります。焼肉のタレでおなじみのエバラ食品工業です。

今後の経営課題を検討する役員会議を取材すると…

エバラ食品工業の森村剛士社長。

事業を成長させることを優先させ、スタンダード市場を選択しました。

流通時価総額などの項目でプライム市場の基準を満たしていながらあえてスタンダード市場を選んだのです。

新規事業・海外事業・設備投資という商品・質・サービスの向上に経営資源を投下していきたい。

プライム市場を選択するとより高い水準のガバナンスが求められます。

エバラの場合、独立した社外取締役を1人増やして取締役会の3分の1以上とすることや英語での情報開示を増やすため社内システムの改修や新たな人材を確保する必要があります。

年間2,000万円以上のコストがかかるといいます。

エバラがスタンダード市場を選んだ理由のひとつが限られた経営資源を商品開発に集中するためです。

少し塩味が強いかな。

この日、エバラの研究室では和えるだけで1人前の料理が作れる「プチッとうどん」シリーズの新商品の開発が進められていました。コロナ禍で高まる手軽に料理を作れる商品のニーズを逃さず取り込む狙いです。

開発に資源を割いてもらえればチャレンジしやすくなるので、面白いものをより作れる環境になるのでは。

スタンダード市場を選んだもうひとつの理由が上場廃止のリスクを避けるためです。

プライム市場で上場を維持するためには1日の平均売買代金2,000万円以上を維持する必要があります。

しかし、エバラの場合は多くの個人株主が長期保有を希望していることもあり、プライム市場で上場すればこの基準を維持できず上場廃止となるリスクがあるのです。

株主に安心して当社の株式を保有・売買してもらうにはスタンダード市場を選択肢、安定した環境で売買してもらえれば。

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