シリーズ、日産ゴーン事件から1年。
今回はゴーン会長が去った後の日産の経営について検証します。
業績の不振や連合を組むフランス・ルノーとの関係のこじれなどカリスマなき後の巨大自動車メーカーにはいま課題が山積しています。
日産はこの1年で何を失い、代わりに何を得たのでしょうか?

日産自動車株式会社
10月の東京モーターショー。

日産自動車は次世代コンセプトカーを初公開しました。

スマホを使って自動的に駐車ができる機能や近未来的なモニターが注目を集めました。

日産自動車の中畔邦雄副社長、
本日紹介するコンセプトカーは非常に近い将来に日産が向かう方向を明確に示している。

9月に発売されたオールドファンにはお馴染みのスカイラインの新型。

今回は進化していました。
カーナビと連動し高速道路を一定のスピードで自動走行している時にはハンドルから手を離すことが可能。

売れ行きは目標を大きく上回っているといいます。
しかし、いま視界の先の日産の未来ははっきり見えません。
カリスマ後の迷走

日産自動車の西川廣人社長(当時)、
長年にわたるゴーン統治の負の側面と言わざるを得ない。

番組は先月、日産の内部文書を入手しました。

トータル1万2,500人。リストラ計画の人数が書かれていました。

九州や栃木の工場も対象となっています。
日産自動車九州株式会社
取材班はリストに書かれていた福岡の工場へ向かいました。

期間従業員を中心に450人を削減するとされています。

従業員を直撃しました。
テレビで何人削減するというのを見たときにどうする?辞める?という話が出た。

残業は間違いなく無い。

以前はあった。忙しかった。

「給料は減った?」
月で3~4万円減った。

有限会社宮西コスモス
城下町の部品メーカーにも悪影響が・・・
日産車に使われるシートの素材などを製造する宮西コスモス。売り上げのおよそ7割が日産向けです。

宮西コスモスお宮西健司代表、
日産向けは1年間で1割くらい減った。

トヨタ向けなど他が増えているのでうちの会社としては仕事量は減っていない。

アメリカ市場
ゴーン事件後、日産の企業業績は悪化しています。
直近の決算では本業の儲けを示す営業利益は316億円と1年前と比べて85%減りました。

特に不振だというアメリカに向かいました。
アメリカ南部ジョージア州。

日産車を売る販売会社を覗いてみました。
すると販売している新車のドアにこんな表示が・・・
1万ドルオフ。

ピカピカの新車が日本円でおよそ108万円の値引き。

こちらには更に上回る値引き表示が。およそ120万円引きです。

一体何が起こっているのか?
「なぜ1万ドル(108万円)の値引きを?」
日産車を取り扱う販売店オーナーは、
なんとか売ろうとしているからだよ。

大幅な値引きをしていたのは19年モデルのSUV「ムラーノ」。

販売価格はおよそ500万円で、ここから100万円以上値引きしますが、それでも売れないといいます。

「損失は?」
新車のほとんどは売ると損失が出るよ。

日産はアメリカ市場での販売拡大のため多額の奨励金を出してきました。
消費者には安売りのイメージが浸透してしまい、めぼしい新型車がない今は大幅な値引きをしてもなかなか車が売れなくなってしまったといいます。

トヨタは100年先を考えているが日産は1ヶ月先を考えているようだ。

私たちは1年先はおろか3ヶ月先の計画すら分からない。

西川廣人前社長
視界不明瞭となってしまっている日産。
今年9月に退任した西川廣人前社長を直撃しました。
「ゴーン前会長の逮捕以降、日産自動車は何を得て、何を失ったのか?」

総括するのは難しいが、経営的にもゆがんでいたところもある。例えば拡大至上主義とか。

経営のあり方、少しゆがんでいた部分がある。

伸ばすものは伸ばす、修正するものは修正する。

宿題を急に突きつけられたということだと思う。

内田誠新社長
西川氏の後任の新社長には中国事業で成功を収めてきた内田誠氏が12月1日就任し新体制がスタートします。

それに先立ち今月、新体制の首脳が表舞台に顔を出しました。

新たなCFOとなるスティーブン・マー氏。

7月に発表した事業改革プランについては新CEO、新経営陣が説明する。

自らの考えを述べることなく慎重な言い回しに終止しました。
販売をどう建て直すのか、筆頭株主であるフランス・ルノーとの関係をどうするのか、100年に1度の変革期を迎えている自動車業界で日産の改革は待ったなしです。
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