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[モーニングサテライト]【Marketリアル】紙の技術で"世界的"発見[日本製紙株式会社]

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いまマーケットで起こっているリアルな事柄をお伝えする「Marketリアル」。

今回取り上げるのは日本製紙です。こちらは製紙業界大手4社の2020年度の売上高です。

製紙業界の売上高(21年3月期)
1位王子HD1兆3,589億円
2位日本製紙グループ1兆73億円
3位レンゴー6,807億円
4位大王製紙5,629億円

スコッティやクリネックスなどのブランドでお馴染みの日本製紙は業界第2位。売上高は1兆円を超えます。

その日本製紙の株価です。2年前と比べると大きく下落、半値近くに落ち込んでいます。ペーパーレス化の流れが止まらない中で新型コロナが直撃。立ち直れていない状況です。

厳しい経営を迫られる中でどう業績を回復するのか、野沢徹社長に話を聞きました。

日本製紙株式会社

[blogcard url="https://www.nipponpapergroup.com/"]

1949年に設立された日本製紙グループ。

こちら日本製紙グループが作る製品が並んでいます。コピー用紙はもちろん、コンビニなどでよく見るジュースや牛乳などの紙パック、家庭用のティッシュ、洗って使えるペーパータオルということです。

日本製紙は全国に20以上の工場を持つ業界第2位の製紙メーカー。

洋紙と呼ばれる新聞、書籍、コピー用紙などの分野で生産量が業界トップ。3割以上のシェアを持っています。

しかし、髪の生産量はペーパーレス化の流れを受けて年々減り続け、そこにコロナ禍が直撃しました。

日本製紙の野沢徹社長、危機感を募らせています。

「本業が大きな逆風を受けている?」

リーマンショック前から比べると洋紙事業は日本全体で4割くらい減っている。

今回のコロナでさらに一段と減ったので非常に厳しい状況。

2020年度の営業利益は前の年に比べ45%も減少しました。

連結売上高およそ1兆円のうち紙や段ボールなどの板紙が半分以上占めていたことが痛手に。

コロナの前と比較すると国内大手4社のうち日本製紙の株価だけが3割も下落しています。

「現状の株価をどう評価?」

洋紙の需要減に引っ張られて業績の低迷が続いている。

素直に株価に反映されている。

日本製紙は洋紙を主体にしているが、"違う会社"ということを早く示したい。

今回のコロナではっきり分かった。

いま力を入れている生活に関連する分野はコロナでも需要が落ちなかった。

生活必需品という意味では目指す方向はそこなんだろうと。

急がれる事業構造の転換。

日本製紙は主力の石巻工場にある洋紙の生産ラインの一部を来年5月に停止、ティッシュなどの生活必需品に切り替えることを決めました。

課題は他社との差別化。

例えば5年前に発売した高級ティッシュ「最高級ティッシュ 至高「極」」は柔らかさで違いを打ち出し、今では贈答品として使われるまでに。

柔らかくて肌ざわりが優しい感じ。

そんな日本製紙が注目するのがプラスチックのごみ問題です。

6月、脱プラスチックを後押しする法案「プラスチック資源循環促進法」が成立。

脱プラをチャンスに

これをチャンスにしようとこの分野に積極投資をします。

日本製紙製の防護服を着て、豊島キャスターが向かった場所は…

牛乳やジュースなどに使われる紙パックを製造。

日本製紙は給食用牛乳パックのシェア半分を占めています。

そこでこのパックを使った新たな製品を開発したのです。

一般の給食用牛乳パックと何が違うのか。

「ストローがついていないが?」

日本製紙の紙パック営業部、増田順一さん。

「押す」というマークを押すと、普通の紙パックのように簡単に開けられる。

力がいらず、小学生でも簡単に飲み口が開けられるのが特徴。この独自開発の牛乳パックはすでに高知県の学校給食で採用され、秋には九州エリアでも使われます。

日本全国の学校給食用パックは年間14億本と言われている。

14億本、全てを供給できる設備投資を行っている。

全国14億本のシェアをさらに拡大しようと意気込みます。

厳しい製紙業界。各社がいま研究開発にしのぎを削っているものがあります。

ここは日本製紙の素材開発の研究所。

木材を細かく砕いてできたチップ。

それを1,000分の1に砕いたのがパルプ。

さらに1,000分の1にし、水に混ぜたこれは…

日本製紙のCNF研究所、野々村文就所長。

セルロースナノファイバー。

溶けているのではなくて細長い繊維が中に分散している。

最新の顕微鏡で見てみると…

セルロースナノファイバー。

太さは髪の毛の1万分の1。

セルロースナノファイバーは鉄の5倍の強度があり、高い保水性が特徴です。

水分を飛ばすと粉末に。

すると野々村所長…

食べられます。

味は紙を食べているのと同じ。

実際、地元のどら焼きにも使われています。植物由来のため安全。モチモチ感が高まる上に日持ちもするといいます。

4月、このセルロースナノファイバーをめぐり日本製紙の株価が前の日に比べ一時10%以上跳ね上がりました。

セルロースナノファイバーに高い蓄電効果があることを東北大学と共同開発して、世界的な発見をした。

"蓄電"で世界的発見

蓄電で世界的な発見とは一体…

割り箸をセルロースナノファイバーに見立てて説明してくれました。

積み重ねて膜にしていくと繊維がある所、無い所で凸凹ができる。

これが電子。

電子が凸凹の中に引っかかるようにたまっていく。

世界的に新しい発見。

1本1本が非常に細かいセルロースナノファイバーを大量に作る技術を日本製紙が確立。

そこに多くの電子が貯まることを東北大学との研究で初めて発見したのです。

石巻工場にはセルロースナノファイバーの世界最大規模の生産設備があるのも強み。

蓄電池として実現できればリチウムイオン電池などのようにレアメタルを使う必要はなく、また植物由来のため廃棄しても安全です。

日本製紙では2030年の実用化を目指します。

「マーケットが相当反応した?」

セルロースナノファイバーの期待が高いと改めて実感。

「蓄電はゲームチェンジャーになり得るか?」

なり得る。

モバイル系のスマホとかを狙っている。

かなり画期的な可能性を秘めている。

「世界中のスマホを日本製紙が変えることも?」

それぐらいの夢を持ちたいと思っている。

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