食料品の相次ぐ値上げがフードバンクや子ども食堂といった生活困窮者を支援する団体の活動を圧迫しています。岸田総理大臣は10月28日に発表する総合経済対策に困窮家庭への支援を盛り込みます。そうした中、民間団体でも持続可能な支援を模索する動きが始まっています。
止まらない食料高
支援活動を直撃!
都内のスーパーで食料品を次々にカゴに入れる人たちがいました。彼女たちは八王子市で活動する「すずらん食堂」のメンバー。
生活に困っている50世帯に食料を配ったり、子ども食堂を運営したりしています。
すずらん食堂
小林節子代表

ちょっと手が出ない、高くて。
食料は自治体からの補助金で購入しているため物価高が彼女たちの活動を直撃しているのです。
スーパーから戻ると1軒1軒に配るため早速小分けにしていきます。
こちらが1世帯分、つゆやドレッシングなど4品です。
すずらん食堂
小林節子代表

物価高ですから、いつもなら6品くらい買っていた。
ここにお菓子が追加されていた。
配れる品数が減ってしまった一方で10月に入って支援を求める人たちは増えているといいます。
すずらん食堂
小林節子代表

いろいろなことを今、苦労している。
私たちが頑張らなければ利用者はもっと大変な思いをしている。
そうした中、東京・府中市のNPO法人が新たな仕組みで生活困窮者を支えようとしています。
カギは"お手製スープ"
持続可能な支援とは
物価高の中、生活困窮者を支える新たな取り組みを始めたのが松本靖子さん。7年前から食料を配るなどの支援活動を続けています。
松本さんが考えた新たな支援策がレトルトスープ。1年以上かけてレシピを開発したといいます。
このスープを困っている人たちに配るのかと思いきや…
NPOシェア・マインド
松本靖子代表理事

売ります。販売します。
スープを買ってもらうことで困っている人に同じ物を渡すことができる。
スープを1袋500円で販売し、1つ売れたら生活困窮者にスープが1袋届くという仕組み。
つまり500円で2袋分のスープを買ってもらい、1袋を寄付に充てているカタチです。
NPOシェア・マインド
松本靖子代表理事

買って、食べて、楽しんでもらう。
それ自体が寄附行為につながると楽しんで社会貢献してもらえるのではないか。
スープは松本さん自ら作っています。
NPOシェア・マインド
松本靖子代表理事

きょうは参鶏湯です。
参鶏湯に入れるのは鶏の手羽元。このスープ事業、自治体から補助金は出ないので肉は自前で購入しています。
NPOシェア・マインド
松本靖子代表理事

これが使う野菜。寄付でもらった。
スープに使う野菜はすべて地元の生協から余ったものを分けてもらっています。
野菜嫌いの子どもにも食べてほしいとスープはペースト状にしています。
NPOシェア・マインド
松本靖子代表理事

野菜の姿がないから食べてくれる。
スープのレシピはシェフや料理研究家が監修しています。
料理研究家
佐藤江身子さん

おいしいと思う。
野菜の栄養たっぷり。松本さんオリジナルの参鶏湯です。
レトルトにすれば3ヵ月ほど保存できます。
NPOシェア・マインド
松本靖子代表理事

この事業を続けていくために売れなくてはいけないから。
まずいものでは買ってもらえない。
7月から6袋3,520円で売り出したところ、少しずつ売れ始めています。
9月下旬、松本さんが訪れたのはフードバンクが学生向けに食料を配布している会場です。松本さん、これまでに売れた分のスープを配りに来たのです。
NPOシェア・マインド
松本靖子代表理事

常温保存ができます。
学生
すごくおいしそう。

NPOシェア・マインド
松本靖子代表理事

本当?うれしいです。
留学生も受け取りました。
大学生

野菜とかも最近高くなっているので。
ありがたい。助かっている。
後日、お礼の動画が送られてきました。
大学生

とても肉がやわらかくておいしい。
NPOシェア・マインド
松本靖子代表理事

少しでも多くの栄養をスープに込めて、困っている人々の役に立てる、喜んでもらえるものを作っていきたい。
松本さんのスープから生まれた新たな仕組み。物価高が続く中、持続可能な支援策として注目されています。