シリーズでお伝えしている「ケーザイのナゼ?」。
こちらは味が染み込んだおでんのダイコンですね、とってもおいしいですよね。
この冬の定番野菜ダイコンにいま異変が起きています。こちらはダイコンの卸値価格ですが以前は1キロ100円前後だったものが、このところ80円台と大きく値を下げているのが分かります。
なぜ価格が下がっているのか取材を進めると天候による豊作、不作だけではない意外な理由がありました。
ダイコンが安すぎる!?
千葉県市原市のJA市原市姉崎集出荷場。
トラックにうず高く積まれているのはこの地域の名産の姉崎大根です。
JA市原市の東城尚幸さん。
姉崎大根の出荷の箱に詰めている作業。1箱10キロ入ることになっています。
東京などへの出荷作業に追われていました。冷え込みが強い姉崎地区で育てられたダイコンは水分量が多く、甘みが強いのが特徴です。
とてもいい出来。
まっすぐで肌の傷がない。
しかし、出荷作業の隣では次々にダイコンがカットされていきます。
本来だったら箱に入れられた物が廃棄に回っている。
農家が大事に育てたダイコンが廃棄に。一体何が起こっているのでしょうか。
年末、多くのお客様で賑わう都内のスーパー「アキダイ 関町本店」。
ダイコンの価格は…
アキダイの秋葉弘道社長。
ダイコンは3割ぐらい安い状態。
この日のダイコンの価格は105円。割安な状態は秋から続いているといいます。
夏から秋の主要な産地は北海道。その北海道では…
天候不順もあり非常に入荷量も少なかった。
品薄だったのに安いまま、一体ナゼなのでしょうか?
すごくわかりやすいところでサンマがすごく少なかった。
サンマとダイコンは密接な関係。
サンマの塩焼きに欠かせない大根おろし。ところが近年、サンマの漁獲量が激減、それに比例するようにその時期のダイコンの販売量が減っているのが分かります。
去年はサンマが歴史的不漁でそれに伴いダイコンの需要も落ち込み、価格が上がってこなかったといいます。
さらに青果市場を取材すると別の理由も見えてきました。
「例年に比べ価格は?」
東京シティ青果の時得太郎さん。
安い。10キロ200円から300円いかないぐらい安い。
例年よりかなり安い価格で取引されていました。
秋の北海道産から東北産から産地が切り替わり、今は千葉県産や神奈川県産が主流です。
天候が安定していた関東ではダイコンが豊作。ただ豊作以外にも価格が安くなっている理由が…
需要は10年前、20年前と比べたら落ちている。
食生活の変化、単身世帯、共働きで家庭で料理をする人が減った。
実際に消費者に聞いてみると…
ダイコンではなくてもいろいろな選択肢があるので、なかなか手を出せない。
持つのに重いのでだいたい半分。家まで持って行くのが大変。
さらに新型コロナが追い打ちをかけています。
コロナ禍のあとコンビニのレジ横のおでんがなくなった。
コロナ禍でレジ横におでんを置くコンビニが激減。
セブン-イレブンは大半の店舗でおでんを展開しているといいますが、ファミリーマートはおでんを置き始める去年9月時点で2割、ローソンでは現在4割の店舗でしかおでんを展開していません。
さまざまな要因が重なり安値となっているダイコン。
出荷量が多ければさらに価格が下がってしまうため破棄せざるを得ない状況となっています。
1ヵ月で出てしまったゴミでこれだけあふれてしまっている。
もう置き場がない。
おいしく余すことなく食べられるので、もしスーパーなどで見かけることがあれば手にとって買っていただけたら。