
アメリカのフロリダ州から打ち上げられたのは日本の宇宙ベンチャー「ispace」が独自に開発した月着陸船です。民間企業としては世界で初めてとなる月面着陸を目指します。今こうした日本の企業が宇宙ビジネスに続々と参入していて、国も支援に本格的に乗り出しています。その理由を取材しました。
日本宇宙ビジネス活況
民間世界初の月着陸へ
12月11日の日本時間午後4時半すぎ、アメリカ・フロリダ州から打ち上げられた月着陸船。日本の宇宙ベンチャー「ispace(アイスペース)」が月への着陸を目指すプロジェクトです。
およそ50分後には打ち上げ用ロケットから着陸船の切り離しにも成功しました。
アメリカで打ち上げを見守ったispaceの袴田CEOは…
ispace
袴田武史CEO

この打ち上げが民間で月の探査をする世界で初めてのミッションになっていく。
素晴らしい打ち上げが実行できて本当にうれしく思っている。
来年4月ごろに月に到着する予定で成功すれば民間企業としては世界初。
見据えるのは地球から月への輸送ビジネスの実現です。
ispace
袴田武史CEO

宇宙に経済ができて、産業として確立していくことが重要だと思ってきた。
技術だけではなく、資本と経済をしっかり両立させ実現していくことが自身の大きな関心で、世界の宇宙の産業に貢献できるような位置にしていきたい。
損保大手の月保険も登場!
民間初の商用宇宙ステーション
今回の打ち上げについては自動車メーカーのスズキなど複数の民間企業がサポート。
なかにはこんな支援も…
三井住友海上火災保険
航空宇宙ユニット長
林洋史さん

今回の打ち上げに合わせて世界で初めての月保険を開発した。
三井住友海上火災保険が開発した月保険は打ち上げから月面探査までさまざまな段階で起きたトラブルに対応するというもの。
三井住友海上火災保険
航空宇宙ユニット長
林洋史さん

宇宙に挑戦する企業が増えてくると支援をするわれわれもビジネスチャンス。
非常に大きな魅力を感じている。
いま宇宙関連ビジネスが賑わいを見せています。
12月12日、都内では宇宙ビジネスに取り組む企業が技術を披露し合う展示会が開催。
参加団体は去年よりも5割近く増えました。
なかでも注目されていたのは…
デジタルブラスト
堀口真吾CEO

本日発表させてもらった商用宇宙ステーション。国内初。
発表したのは民間企業として国内初となる商用宇宙ステーション建設の構想です。
構想では宇宙空間での実験を行う棟、滞在者のための居住棟、そして民間ならではのエンターテイメント棟の3つで構成されます。
デジタルブラスト
堀口真吾CEO

例えば宇宙でのスタジオ。そこから中継をしたり、宇宙と地上をVR(仮想空間)でつないで空間を再現する。
今後、協力企業を募って資金を確保し、2028年までに最初のモジュールの打ち上げを目指します。
デジタルブラスト
堀口真吾CEO

これまでは国際的な規則にしたがっていた。
自由に使おうと思ってもNGが出ることがあった。
民間主体ならば自由な使い方ができる。ビジネスの幅が広がる。
日本宇宙ビジネス活況
政府の狙いは経済安保!?
現在、およそ30兆円規模の宇宙産業の市場。2040年までには100兆円規模にまで成長すると見られています。
国も民間企業の支援に乗り出しています。
12月12日に行われていたのは経済産業省とNEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)が共同で開催したコンペ。
1位の賞金は1,000万円。懸賞金を出すのは政府が関わる事業としては初めてです。
条件には経済産業省が開発した「Tellus(テルース)」を使うこと。衛星で得られたさまざまなデータを高速処理し、無償で企業などに提供される衛星データのプラットフォームです。
こちらの企業が提案したのは…
Synspective
小串聡彦さん

船舶混雑、コンテナ混雑、トラック混雑の3つを通じて想定顧客に売っていく。
悪天候で雲がかかっても地表を観測できる独自の画像解析技術を使い、船舶やトラックなどの港湾における輸送の混雑状況を常に把握し、スムーズな物流をサポートします。
この企業は港湾部門で2位に選ばれ、500万円を獲得しました。
Synspective
小串聡彦さん

これまで使われていなかった衛星データが今後使えるようになって、ソリューションもどんどんでてくると新しいサービスがでて、産業の構造が少しずつ変わっていく。
スペースシフトという企業が発表したのが災害時に活用できるシステム。
大規模洪水の時に衛星データを活用して、浸水域をAIで自動解析。道路情報や工場、住宅、商業施設の情報を重ねることで被害状況をリアルタイムで可視化して提供するというものです。
災害部門で見事1位を獲得。スペースシフトの川上さんは衛星のデータ解析では日本は世界に遅れを取っていない分野だと話します。
スペースシフト
事業開発部
川上勇治部長

SAR衛星、レーダー衛星は人の目で見ると解析は難しい。
ここに特化して解析している会社は多くない。まだまだ優位性、世界で十分に戦える。
宇宙ビジネスをめぐっては今、国同士の競争が激化しています。日本政府も今後発展が見込まれる宇宙ビジネスを国としてバックアップしていく考えです。
NEDO
久木田正次理事

これまで安全保障として大きな声で実施してこなかった。
防衛とか内々でやっていた。
ここから経済安全保障として宇宙産業がおおきなうねりになるのでは。