コロナクライシス「トップの決断」という新しいシリーズ企画。
コロナ禍で企業のトップが下す重大な決断に注目します。
1回目となる今回はマスクの国内生産を即断即決したアイリスオーヤマの大山健太郎会長です。
アイリスオーヤマ株式会社
[blogcard url="https://www.irisohyama.co.jp/"]
4月下旬、街からマスクが消えた頃…
生活用品大手のアイリスオーヤマでは重要な会議が開かれていました。
開発担当者、
グループ全体ではマスクを月3億枚生産まで引き上げたい。
大山晃弘社長、
スピードが命だからな。
じゃあやろう。
国内最大級のマスク工場の新設を決めたのです。
そこに大山会長の姿も…
新型コロナの拡大後、中国政府がマスクの輸出管理を強化し、アイリスオーヤマの中国工場でもマスクを日本へ輸出できない状況が続きました。
マスク製造の国産化へ。7月、工場を訪れると新たな生産ラインが稼働し、出荷を目前としていました。
先週発売された「ナノエアーマスク」。
今までにない息のしやすさを追求した。
蒸気をあてる実験。従来品に比べて通気性がよく蒸れにくいのが特徴です。
一方、特殊なフィルターでウイルスを防げるといいます。
わずか3ヵ月で国産マスクを市場に投入したアイリスオーヤマ。何故こんなことができたのでしょうか?
そこにはピンチをチャンスに変えるトップの決断がありました。
「国内のマスク工場はいつから着手したのか?」
5月から機械を導入している。
これだけの大規模でやろうとすると普通は工場から作らないといけない。
メインの角田工場にスペースの余裕があった。
そこをクリーンルームに改造するだけで2ヵ月で工場ができた。
アイリスオーヤマは国内外に32の工場を持っています。
新規の需要をキャッチすると余剰のある工場に従来の設備を移転し、空いたスペースに新たな生産ラインを作ります。
需要予測を超えた需要が来た時にチャンスロスが発生する。
チャンスロスを発生しないことを優先し事業をやっている。
常に新しい工場・大きな工場を全国各地に作り続けた。
この「余力」が瞬発力につながった。
「余力は平時には「ムダ」と捉えられる?」
当社はグループで今年7,000億円ぐらいの売り上げになるが実は上場していない。
もし上場するとムダな余力を持つことは株主からなかなか受け入れられない。
それがオーナー企業なので常に先を見た経営をするところがお役に立てたと思っている。
経営者としての手腕が試されるのはピンチの時だといいます。
父の死後、わずか18歳でプラスチックの成形工場を受け継いだ大山会長。
70年代のオイルショックでプラスチック需要が激減すると倒産の危機に陥りました。
しかし、このピンチにプラスチックの新たな需要を徹底的に研究し、プランターや収納ボックスなどプラスチック用品のヒットを連発します。
そして東日本大震災の時には電力危機の中で節電需要に着目。
既存の家電メーカーが停滞する中、省エネLEDを足がかりに家電事業に初進出しました。今では1,000億円の売り上げを稼ぐほどの主力事業に急成長させたのです。
「コロナ以降、新たに見つけた需要は?」
災害国家。
お水もやろうとしている。
首都圏で水道が止まったり電気が止まった時に飲み物がなければ、水がなければ生きられない。
実は我々、新しいミネラルウォーターの工場を作ります。
富士山の麓の水を使った初めてのミネラルウォーター事業。
次のピンチをチャンスに変える準備が進んでいます。
工場ではすでに生活用品用の生産ラインが取り除かれ来月の稼働に備えています。売り上げは年間50億円を目指します。
「経済回復のスピードが気になる。V字回復?U字?L字?」
はじめは政府が230兆円の経済対策をする。
一時的に経済は横ばいでいく。
それが切れてくるとじわじわ下がってあとは底ばい。
大山会長が描く日本経済回復への道。厳しい見通しですがその中でも生き残る秘策とは?
「コロナのピンチをどう乗り越えるか、そのために必要なものは?」
新生活様式。
今までの生活様式とこれからの様式が変わる。
勤務だけではなく、家庭の中も、人が集まってやることもそう。
大きな変革がある。
この変革を的確につかんでそれに対応した企業は伸びる。
ビッグチェンジ=ビッグチャンス。