電話などで言葉巧みにお金を騙し取るオレオレ詐欺やハガキを使った架空請求などは総称して特殊詐欺と呼ばれています。
こちらは都内で発生した被害の認知件数ですが、去年1年間で3,913件と過去最悪の数字を記録しています。
身近に起こる経済事件を取り上げるコーナー「ケーザイ事件簿」。
3回目の今回は特殊詐欺とその被害を防ごうとする最新技術を取材しました。
特殊詐欺
東京・八王子市に住む佐藤さん(仮名・67歳)。
特殊詐欺グループからの電話に騙され銀行のATMに足を運びました。
「どういった電話がかかってきた?」
「還付金のはがきが来ていないか」「みずほ銀行のATMに行って」と言われた。
市役所の職員を名乗る男から電話があり、国民健康保険の還付金の手続きがあるので銀行に行くように指示されました。
私もうかつだった。
娘にも言われた。「おかしいんじゃないのお母ちゃん」「でも行ってみるね」それで行っちゃったからいけない。
最終的にはATMでの慣れない作業に手間取ったことで巡回中の警察官が気づき、佐藤さんは寸前で被害を逃れました。
それでもいま全国では1日1億円近い金が特殊詐欺グループにより騙し取られています。
最近、特に急増しているのが10代の少年たちによる犯行。
テレビ東京は少年院で特殊詐欺グループのメンバーだった少年の話を聞くことができました。
「だました相手はどんな人?」
特殊詐欺グループの元メンバーの少年(19歳)は、
基本的に高齢者がほとんど。
高齢者をだますのは本当に簡単。極端に簡単。
19歳のこの少年は現金を自宅まで取りに行く受け子役をしていました。
8件の事件で530万円をだまし取り、そのうちの一部を受け取っていたといいます。
僕の場合は15%。100万円だまし取れば報酬は15万円。
おいしい仕事としか考えられなかった。
大東京信用組合
[blogcard url="http://www.daisin.co.jp/"]
こうした被害を防ごうと金融機関も対策に乗り出しています。
こちらの信用組合が先月導入した全国初のATM。
その特徴は…
藤田拓也記者、
こちらのATM、電話をしながら操作をしようとするとアナウンスと共に画面が光り、詐欺を警告してくれます。
ATMの音声、
振り込め詐欺など犯罪防止のため、スマホ・携帯電話の利用はご遠慮ください。
利用客は、
すごい。
これが光るとびっくりして止めちゃう。
すごい。
これからこういうATMが増えるといい。
ビジネスサポート株式会社
[blogcard url="http://www.bu-sp.jp/index.html"]
光るATMを開発したのはこちらのIT企業。
もともとは病院内での携帯電話の使用を止める技術を開発していた会社です。
ビジネスサポートの後藤敦社長は、
最初、病院でペースメーカーを使う方に迷惑が掛からないようにするため作った。
これを作った後に振り込め詐欺が多くなって、これが使えないか。
弁護士法人モッキンバード法律事務所
[blogcard url="http://mockingbird-law.com/"]
さらに特殊詐欺を未然に防ぐAI(人工知能)も登場しました。
LINEアプリを使って請求書などを写真に撮って送ると…
詐欺の疑いがあるかを判定してくれます。
AIが自動認識して着目するのが例えばこういった文言。
あたかも公的書類であるかのように記載された訴訟番号という言葉。
しかし、実際に使われる法律用語ではありません。
このAIを開発したのは弁護士の川目武彦さん。
架空請求などの相談が増えたことから被害を未然に食い止めようと考えました。
犯人も試行錯誤して送ってくる。その情報をアップデートしている。
AIではじめる部分は多くなってくる。
形を変えながら増え続ける特殊詐欺と防犯のための最新技術。
知恵比べが続いています。