ゲストを交えて今後、経済の主役を担う若者たちの消費に迫ります。
「平成ギャル文化」の発信地
SHIBUYA109に迫る
パラパラに熱狂する若者たち。20年以上前、街にはギャルと呼ばれる女性たちが溢れていました。

これからマルキューにいく予定。
ギャルの聖地と呼ばれたのが渋谷109。カリスマ店員がギャル文化を発信し続けました。
そして今、109にはギャルブーム以降に生まれたZ世代の若者達が集結。コロナ直前には過去最多の来場者数を記録しました。
SHIBUYA109エンタテイメント
石川あゆみ社長

109で集まるのが楽しいよねと。
その立役者がZ世代の聖地、SHIBUYA109エンタテイメント社長、石川あゆみさん。若者の心をつかむ戦略に迫ります。
109が読む"若者消費の新潮流"
佐々木明子キャスター
109といえばギャルの聖地という印象ですが、現在の109は1990年代半ばから2010年代初頭生まれのZ世代の聖地に変貌を遂げたということで今回は「若者消費の新潮流」というテーマでお話を伺っていきたいと思います。
最近の若者はあんまりお金を使わないと言われていますが実際は109でお買い物をしている?

SHIBUYA109エンタテイメント
石川あゆみ社長

お店を見ても若者が消費をしないということではなく、好きなことには躊躇なくお金を使っている。
佐々木明子キャスター
若者ならではの特徴があるということですね。

田中瞳キャスター

109が若者の消費行動について導き出した4つのキーワードです。
まずは「体験消費」に「メリハリ消費」、そして「間違えたくない消費」「応援消費」を挙げています。
佐々木明子キャスター
体験消費というのは「コト消費」のようなものですか?

SHIBUYA109エンタテイメント
石川あゆみ社長

体験自体はコト消費と同じだと思うが、今の若者の傾向として体験の世界観、体験を通じてSNSにシェアをして友達と共感して分かち合いたい、コミュニケーションを取りたいという傾向が強い。
目指す体験から逆算をして、そこに合うメイクやファッションを逆算的に考えて服を買ったり、コスメを買ったりする消費傾向が強い。
佐々木明子キャスター
行く場所やテーマによって買うものを決めるということですね。
「メリハリ消費」「間違えたくない消費」はどういう特徴ですか?

SHIBUYA109エンタテイメント
石川あゆみ社長

「メリハリ消費」は言葉の通り、自分が本当に価値を感じるものにはお金も時間もしっかりかけて、それ以外のものは徹底して節約するという消費の傾向。
間違いたくないというのは本当に失敗したくないという思いが非常に強いのでお買い物にも非常に慎重になっている消費の傾向。
佐々木明子キャスター
衝動買いはないということですか?

SHIBUYA109エンタテイメント
石川あゆみ社長

衝動買いは少ないと思っていて、お買い物に行く前にはネットで入念に調べたり、骨格診断をしたりとか、準備をして、来店をして、試着をしてもまだ購入しない。
そのあとお家に帰ってネットで同じもので安いものがないかと探して、最後にようやく購入に至るという形。
私たちに選べると非常に慎重な傾向はあるかと思います。
そういった若者の消費行動の変化を受け、109が実践する独自戦略を取材しました。
謎のキャラが大人気!?
その裏に109の独自分析
週末のSHIBUYA109。若い女性で賑わっています。
その109に先週、ある店がオープンしました。売られていたのは見慣れないキャラクターのグッズ。
お客さん

ちょっとかわいそうで守りたくなるキャラクター。
お目当てはZ世代のクリエイター「可哀想に!」さんが手掛ける「んぽちゃむ」。SNSで配信する動画の再生数は軒並み100万回以上。特にZ世代の間で人気を集めています。
こちらの女性が購入したのは…
お客さん

推し!
「きみまろ」さんめちゃめちゃイケメンで好き。
特定のキャラや人物などを応援する「推し」。Z世代の8割以上が推しを持つといいます。
グッズやショップの写真をSNSに投稿。
こうした推し活に関連した消費はZ世代の平均で年間4万6,000円以上に上ります。
推し活ショップとも呼べる先程の店、実は109の直営店で毎月その内容が変わります。
Z世代のトレンドにいち早く対応し、推し活消費を狙う戦略です。
それを支えている109の心臓部が本館近くの本社内に。4年前に設立した「SHIBUYA109 Lab.」。主に20代の社員や学生アルバイトがここで日々、Z世代のトレンドを分析しています。
ラボの所長が長田麻衣さん。
SHIBUYA109ラボ
長田麻衣所長

109の館内で毎月聞き取り調査をしていて、今人気のインフルエンサーとかカフェとか。
ほかにもInstagramの写真から流行りのファッションテイストを分析。いま好まれている色味から文字のフォントまで最新の動きを研究しています。
109分析で掴む若者消費
"Z世代の聖地"その舞台裏
推し活など日々変化するZ世代特有の消費トレンドを分析しているSHIBUYA109。
その舞台裏にカメラが入りました。
集まっていたのは日頃109を利用するZ世代の女性客。
SHIBUYA109ラボ
長田麻衣所長

髪色変わった?
女性客
いや、きょう初めて来ました。

これは最新の推しや流行を直接聞き出すインタビュー調査。彼女たちがいま気になる話題を書き出してもらいます。
SHIBUYA109ラボ
長田麻衣所長

そばかす?
女性客
そばかす、いっぱいある女の子がエモい。

お客さんの生の声からZ世代のトレンドを炙り出します。
女性客
遊ぶ時も小さいバッグで持ちたいけど、荷物が入らない時はかわいいショップバッグに入れる。

SHIBUYA109ラボ
長田麻衣所長

どこのとかある?
女性客
ディオールとか。

109ラボではこのインタビュー調査を毎月200人以上に行い、Z世代の消費の変化を分析し続けているのです。
SHIBUYA109ラボ
長田麻衣所長

きちんと向き合って熱量を確かめて、それを施策に生かすことができるのが109ラボの強みだと思っている。
ラボ設立の翌年にはSHIBUYA109の来客数はギャルブーム時代を超える年間970万人に急増。徹底的なリサーチがZ世代の聖地を作り出しているのです。
109が読む"若者消費の新潮流"
佐々木明子キャスター
トレンドの最先端を調べる方法が徹底した聞き取り。
意外にアナログな方法なんですね?

SHIBUYA109エンタテイメント
石川あゆみ社長

実際に商品の購買や来店を結果全体で知ることは大事だが、若者の消費の行動として、どうして買おうと思った、行こうと思った理由とか背景を知ることで、背景がわからないとどうしてこの物を買ったのかがたどり着けない。
それがあって初めてトレンドが理解できる。
佐々木明子キャスター
若者の消費行動が買うだけではなく、一連のストーリーができているということ?

SHIBUYA109エンタテイメント
石川あゆみ社長

こういう世界を体験したい、体験から逆算したものを買いたいというものがないと、背景にそういうものがないと本質的なニーズがわからない。
佐々木明子キャスター
その分析の結果をまとめているということで、どんなものが最新のトレンドなのか見ていきます。

Z世代がZ世代から公募した今年のトレンド大賞の候補です。
カフェ・グルメ部門 | アーティスト部門 |
---|---|
カヌレ | IVE |
町中華/ガチ中華 | Mr.ふぉるて |
JKケーキ | 水曜日のカンパネラ |
コンテンツ部門 | 体験部門 |
マリマリマリー | ゲーセンフォト |
SPY×FAMILY | 顔タイプ診断 |
おぱんちゅうさぎ | 韓ビニ |
ファッション部門 | ポーズ部門 |
ピンクコーデ | ちゅきちゅきポーズ |
ルーズソックス | ギャルピース |
メンズネイル | ぷにぷにハート |
カフェ・グルメ部門ではカヌレやJKケーキなどがノミネートしています。
佐々木明子キャスター
色々ありますが、私ほとんどわからないです。

SHIBUYA109エンタテイメント
石川あゆみ社長

私もお恥ずかしながら、社員のみんなは理解していますが、私はほとんどわからないです。
佐々木明子キャスター
それだけどんどん新しいものがスピードアップして出てくるということですね。
ホッとする言葉を一つ見つけました。「ルーズソックス」?

SHIBUYA109エンタテイメント
石川あゆみ社長

2000年代のものが平成リバイバルという形で流行っています。
当時の写真のチェキであえて撮ってみるとか。
今はスマホで何でもスマートにできていまうが、それをあえて手触り感のあるものを作ったり、そこから派生をしてファッションも今も若者には当時のものが非常に新しく映っているようです。
佐々木明子キャスター
SNSで情報があふれていると、何が彼らの心を掴むのかデータを取るのが大変だと思う。
例えば昔、アムラーという一大ブームが起きたがそういうことはこれから起きないか?

SHIBUYA109エンタテイメント
石川あゆみ社長

今はSNSを中心に若者の憧れの対象は非常に細分化していて、テレビで見かけるアイドルよりもInstagramの中のインフルエンサーだったりするので、趣味が多様化・細分化しているので、みんなが憧れて、みんなが同じファッションをするようなアイドルみたいなものは出てこないと思っている。
佐々木明子キャスター
ああいうデータを欲しいと思う企業はいるのではないか?

SHIBUYA109エンタテイメント
石川あゆみ社長

Z世代の情報、正解がわからないので教えてほしいとか、一緒にリサーチをして欲しい、商品開発をしてほしいといった企業からのお声がけをたくさんいただいています。
佐々木明子キャスター
109の戦略としてものを売る、場所を提供するだけでなく、データを提供することなどもビジネスになる?

SHIBUYA109エンタテイメント
石川あゆみ社長

仰るとおりです。
佐々木明子キャスター
Z世代の聖地となっている109ですが来年の春に大型改装に踏み切るんですか?

SHIBUYA109エンタテイメント
石川あゆみ社長

若者の消費意欲の高いエンタメ関連は引き続き強化をしながら、トレンドに合わせてファッションの感度を高めていきたい。
もう一つは若者がより参加、一緒に体験ができるようなスペースを広く作っていきたいと考えている。
佐々木明子キャスター
完成後を考えるとZ世代より若い世代を取り込んでいかないといけない?

SHIBUYA109エンタテイメント
石川あゆみ社長

アルファ世代は今のZ世代よりもさらにデジタルネイティブ。
リアルとメタバースを組み合わせた新しい消費体験を提供など、そういったところに積極的にチャレンジしていく。
佐々木明子キャスター
最後にこれからこれが来るという「推し」を教えてください。

SHIBUYA109エンタテイメント
石川あゆみ社長

あえて次のトレンドの1つで言うと昭和のアイドル。
佐々木明子キャスター
昭和のアイドルと言えば聖子さんとか?

SHIBUYA109エンタテイメント
石川あゆみ社長

いま若者に色々話を聞いていると聖子ちゃんカットやチェッカーズのファッションのマネをする若者が徐々に増えている。
昭和アイドルの絶対無二の存在感を自分の個性を大事にしている若者が憧れてファッションとして取り入れていることが徐々に出ている。
これが次のトレンドとして来ると思っている。
佐々木明子キャスター
今の若者の推し、自分これだという存在感を示すもののちょうどよい存在なんですか?

SHIBUYA109エンタテイメント
石川あゆみ社長

自分らしさを大切にしている世代なので、自分らしさ全開の昭和のアイドルのスタイル事態に憧れるところがあると思う。