地域で奮闘する企業を取り上げる「輝く!ニッポンのキラ星」。
今回は埼玉県熊谷市からです。国産100%のなたね油の製造にこだわる企業を取材しました。
国産なたね油へのこだわり
熊谷産100%なたね油
週末の昼下がり、こちらの公園「イケ・サン パーク」では毎週、埼玉県の新鮮な農産物や地方の特産品など20店舗以上が並ぶマーケットが開かれます。
中でもお客様が絶えないテントがあります。何を売っているのでしょう。
ヘリテイジリゾートの齋藤勇人常務執行役員。
こちらがおすすめの「なのはな油」です。
添加物を入れずに精製をしている。
このなのはな油は埼玉県熊谷で栽培された菜の花から作る熊谷産100%にこだわった油です。
「なぜ買った?」
炒め物をするときに油が気になる。
サラダ油もいいが体に良いものがあるなら使ってみたい。
地元で作ったもので、地元で油にしているのが良い。
国産で無添加の油はさらりとした口当たりでいつもの料理が癖なく仕上がるといいます。
2年前から数量限定で発売して以来、毎年売り切れが続く人気商品に。
製造するのは米澤製油という企業です。
埼玉・熊谷 なたね油製造
埼玉県熊谷市。市の40%近くを田畑が占める野菜の一大産地として知られています。
ここに国産なたね油の最大手「米澤製油」が。
創業1892年の米澤製油は従業員30人、なたね油一筋130年、売上高は12億円に上ります。
主力は北海道や青森県産の菜種を使った油。
海外からの輸入に頼っていた原料の菜種を国産にこだわって油づくりを始めたパイオニアです。
米澤製油の森田政男社長。
当時は輸入(菜種)に比べ約2.5倍高く、他に買い手がいない状況。
全てを買い取って国産農業の振興に役立ってもらいたい。
国産の菜種を使った油づくりは香ばしさを出すため焙煎することから始まります。
圧搾機で油を絞り出します。この時点では不純物が多く売り物になりません。
ほとんどの製油メーカーは化学合成薬品を使って不純物を取り除く。
お湯で油を洗うことで不純物を取り除く。
1975年に特許を取得した湯洗い洗浄法。
遠心分離機に油とお湯を加え、不純物を取り除きます。
この手法は食の安心安全につながると取引先から評価され、国産なたね油の国産シェアを6割まで占めるようになりました。
地元の古民家レストラン「地元・母めし食堂 のうカフェ」も米澤製油の油を好んで使っています。
作っているのはポテトサラダです。そこになんとなたね油。
母めし食堂 のうカフェの小林由紀子さん。
油のおいしさがキモ。
マヨネーズでは再現できない野菜のおいしさを引き立ててくれる。
米澤製油の油はおいしい。くどくなくあっさりしている。
大好き。
海外産のなたね油に比べコストはかさみますが、ポテトサラダ作りには欠かせないといいます。
地域密着 地元を盛り上げる
国産にこだわる米澤製油が熊谷産のなたね油を作るきっかけは何だったのでしょうか。
熊谷市の遊休農地が増えて、このままではしょうがないと。
「なんとか解消する手段がないか」と話が来た。
実は熊谷市では1年以上耕作されていない遊休農地があふれ、その活用方法が検討されていました。
その解決を探るため、米澤製油に声をかけたのは熊谷市市役所の元職員で現在は農業を営む木村進さん。
菜種は経費も手間も少なく作付けできる。
米澤製油で油にできるので地元で取り組むには一番いい。
米澤製油にとって地元産のなたね油を作れるのは願ってもないことでした。
熊谷市や農業法人と一体となり、PRをすることで知名度が上がり、市内の百貨店、JA、ホテルなどで販売されるようになりました。
究極の到達点は子供たちが種をまいて菜花として摘んで食べる。
最終的には菜種を収穫して絞って食事の油として使ってもらう。
子供たちに一貫性を持って農業に親しんでもらいたい。