2019年問題。
家庭で太陽光発電をして余った電力を電力会社が高く買い取る制度が2019年に節目を迎えます。
この制度が始まったのが2009年のことでした。そして制度の利用期間は10年間。
この制度を初めから利用していて2019年に対象を外れる世帯が約37万世帯に上ります
その後は電力を販売する企業を自ら探さないといけないともいわれています。
タイムリミットが迫る中、これを商機と捉えた企業が本格的に動き出しました。
目次
スマートエネルギーWeek
2月28日から始まった世界最大級のエネルギー総合展。世界33ヶ国の1,580社が参加しています。
次世代エネルギーが注目される中、風力発電設備や太陽光パネルなどの展示が多く見られました。
YBM JAPAN株式会社

「これは何?」
YBM JAPANの吉川哲社長、
自然エネルギーを使ったプライベートルーム。
実はこれ、太陽光パネルや風力発電設備を搭載した自立型のエコハウスです。
さらに蓄電池を搭載することで外からの電気の供給がなくても生活が可能だといいます。
エリーパワー株式会社

移動型の蓄電池「パワーイレ」。
コンセントを挿せば電化製品がすぐに使えるのが特徴で、災害時などの利用を想定しています。
2019年問題
今回の展示会、多くの企業が力を入れているのが蓄電池です。
その理由が「2019年問題」。
2009年に始まった太陽光発電の余剰電力買い取り制度(FIT)、固定価格での買い取り期間は10年で2019年には契約が切れる家庭が出始めます。
そこに目をつける企業も。
オムロン株式会社

オムロンの大橋勝己さん、
これが2019年問題をターゲットにした蓄電システムの商品。
オムロンが2017年の夏から販売を始めたのが、すでにある太陽光発電システムに後付けできる蓄電池。
電気を売るのではなく、日中の発電で余った電力を充電し、夜間に自家消費します。
2019年問題の影響で多くのユーザーから引き合いがあるといいます。
高柳良大さん
2019年問題を一般の人はどう考えているのでしょうか。
都内在住の高柳良大さん、愛犬のサラちゃんと妻、子どもの4人家族です。
太陽光発電を導入する前の電気代は2万円を超えていましたが、今月は約1万4,000円。
昼間の電気はほとんどが自宅の太陽光発電を利用しています。
さらに、
東京電力が6,240円で買い取り、買い取り価格は48円。
高柳さんは余った電力を東京電力に1kWh当たり48円で売電。2月は6,240円で東電が買い取りました。
この48円は2009年から続いていますが、その期限が2019年に終了してしまいます。
2019年になった時にいくらになるか制度が決まっていない。
2019年以降の買取価格は決まっていません。
ただ、10円ほどになるのではといわれています。
現在、家庭用の電気料金は1kWh当たり24円、高柳さんは48円で売電しているので売ったほうが利益となります。
しかし、制度が切れて例えば売電価格が10円となった場合、売るよりも自家消費した方が安くなります。
蓄電池を買って昼にためて、夜もそこから使う。
ハンファQセルズジャパン株式会社
太陽光発電を取り巻く環境が急激に変化する中、企業は今後、新たに設置する家庭向けの商品開発に力を注いでいます。
ハンファQセルズジャパンの東洋一執行役員は、
太陽光発電の電力を高く買ってもらえなくなるのが、すぐそこまで来ている。でも今後、一番安いエネルギーになっていくのは太陽光。
ハンファQセルズジャパンは太陽光パネルのセルを従来の半分にすることで電流の抵抗を減らし、高い発電量を実現しました。
このパネルとセットに販売したいのが蓄電システムです。
電力変換効率が96.5%と業界トップクラスの蓄電システムにより太陽光から得られるエネルギーを最大限活用できるのが特徴だといいます。
蓄電池とセットにして上手に電気をためて、コントロールしながら使っていく。住宅用も大型発電システムも全部そうなる。
株式会社Looop
新電力ベンチャーのLooopも蓄電池を売り込み、買取制度の期限切れのお客様を囲い込む狙いです。
Looop蓄電池事業部の堤教晃部長は、
業界初のAIを搭載した蓄電池。電気の使用状況、電気プランなど家庭ごとにシミュレーションして最適な充放電を行う。
実証実験ではAIを搭載したことで電気代を約10%削減できたといいます。
さらに、
我々は電気小売りもやっているので当社の蓄電池を導入してもらうと2~3割、通常の電気代より安くなるプランを提案している。
2019年問題に向けて企業の生き残り戦略が加速しています。
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