
関東を中心に6月としては記録的な猛暑が続いていて、気温の上昇に伴う冷房利用の増加などで電力需給がひっ迫する恐れが強まっています。政府は電力需給逼迫注意報を初めて発令して節電を呼びかけ、企業や家庭はその対応に追われました。
東電管内 初の「注意報」
都心で3日連続猛暑日
3つの地方の梅雨明けを発表した気象庁。
関東甲信では1951年の統計開始以来最も早い梅雨明けとなりました。
そして東京都心では最高気温35.7度を記録。3日連続の猛暑日となったのは6月として初めてです。
30代男性

すごく暑い。
もう駄目、外出たくない。
番組スタッフ
きょうの暑さを一言で表すと?

30代女性

もうろう。意識がもうろうとする暑さ。
異例の暑さを受け、政府による初めての要請が…
礒崎官房副長官

熱中症にならないように十分注意していただきつつ、無理のない範囲での節電・省エネのご協力をお願いしたい。
政府は東京電力管内に電力需給逼迫注意報を発令。電力を安定供給するには余力を示す予備率が最低3%必要となります。
そのため予備率が3%未満になる場合は「警報」、5%を下回る場合は「注意報」を発令。
政府はこの注意報に基づき最もひっ迫するとみられる午後3時から6時までの節電を求めました。
20代女性

冷房は絶対消せないので電気消すのを意識してみようかな。
都庁では6月から実施している午後2時の一斉消灯。明かりが必要なフロアは再点灯し、必要のないフロアを洗い出すのが目的です。
小池知事

東京都そのものが電力の大口需要家。
この本庁舎はいつも徹底して節電しているが、さらなる行動を。
"節電"要請に企業は…
節電への対応は企業でも。
イトーヨーカ堂では…
吉脇丈志記者

こちらの店舗の冷凍食品売り場では節電のためにきょうからケース内の照明を消して販売しています。
冷凍機能は維持しつつも照明は消し、電力消費を抑えることに。
飲料やほかの食品の冷蔵ケースも。
イトーヨーカ堂 経営企画室
小山遊子さん

午前中に対応を検討して昼くらいには店に通達した。
節電の踏み込んだ対応は2011年3月11日の東日本大震災以来。
一方、節電が難しいのが夕方に売れ行きが急増するお惣菜です。
イトーヨーカ堂 経営企画室
小山遊子さん

出来たてを提供するというわれわれの使命もあるので、節電はそれ以外のできるところ。
さらに横浜の髙島屋では…
髙島屋 横浜店
髙田明宏店長

本日、電力逼迫注意報が発令されたため、食料品の特に揚げ物を中心にサービスを行っています。
最大で20円引き。揚げ物を自宅で作ると部屋の温度が上がってしまいます。家庭での冷房の使用を抑えてもらおうと企画したのです。
また看板や正面玄関の一部を消灯。
6基あるエレベーターのうち2基の運転を停止しました。
今回は電力逼迫注意報でしたが、警報となってしまった場合にはさらなる対策も検討しています。
髙島屋 横浜店
髙田明宏店長

お客様の様子を見ながらエスカレーターやエレベーターについて問題がなければ午後3時から午後6時の間、さらに台数を停止することを検討している。
お客様と一緒に節電に取り組むことを継続していきたい。
家電量販店も対応に追われていました。
村上航大記者

こちらはテレビ売り場ですが、普段電源がついているテレビが一切ついていません。
壁一面に並んだエアコンも照明器具も全て電源が落とされています。
ヤマダホールディングス
清村浩一経営企画室長

今年に入って電力料金が高騰する中、経済的メリットを追求するため、通常3割くらいはカットしてディスプレイの通電を行っていた。
ここをさらに踏み込んで8割カット。
6月27日からおよそ1,000店で8割の展示品の電源をオフにしました。電源を入れるのはお客さんが見たいときだけ。
ヤマダホールディングス
清村浩一経営企画室長

ただ現時点でこれ以上の節電の内容を準備できるかというと非常に不透明なところがある。
町工場でも…
小松ばね工業
小松万希子社長

この電球はいま全てLEDに変えている。
ここも入り口でお客様を迎えるが明かりをつけるのは必要最低限で夕方になったら照明を切ってしまう。
ここでは3台あるエアコンも使っているのは1台だけ。
午後5時、従業員が席を立ちました。コピー機や照明を消し、帰宅するかと思いきや部屋を変え再び作業に。
番組スタッフ
なぜ移動した?

従業員

3階でなくてはできない仕事でもないので節電のためにここに来た。
急きょ、午後5時以降は作業場所を一ヵ所にまとめることにしました。
ただ工場の機械を止めることは難しいといいます。
小松ばね工業
小松万希子社長

工場を止めると生産調整したり、納期の調整したりをしなくてはいけない。
「もうちょっとなんとかしてください」と言われたら、どうしようかなというところ。
なぜ午後3時から節電要請?
今回の節電の呼びかけ、なぜ午後3時から6時なのでしょうか。
その理由が太陽にあります。
神奈川県にある愛川太陽光発電所。およそ8,000枚の太陽光電池パネルが並び、一般家庭およそ520軒分の電気を作ることができます。
この太陽光による発電量が日中急速に増えることで電力需要を下支えしています。
午後3時半時点の発電量は461kW。すでに太陽が傾き始めていることもあってか発電量はピークの半分ほどしかありません。
さらに…
南澤昭一記者

電力需給がひっ迫する午後4時を回りました。こちらに現在の発電電力が出ています。いまは262kWまで落ちています。
あたりは明るく気温は高いままですが、発電量は時間が経つにつれみるみるうちに落ちていきます。
午後4時半には145kWに。
太陽光による発電量が夕方にかけ急速に減少する一方で、気温が下がらずエアコンなどの使用電力は一気に減らないことが電力ひっ迫の要因になっているのです。