
中国の上海市ではいわゆるゼロコロナ政策の一環として強力なロックダウン、都市封鎖が続いて日本企業も生産や物流面で大きなダメージを受けています。ロックダウンは6月にはようやく解除される方向となりましたが、企業の中にはこうしたリスクを避けようという動きが出ています。
中国・上海「再開」アピールも…バリケードや"脱出"する人
6月のロックダウン解除を目指して一部の地域で先行して規制が緩和されている上海市。
1家族1人、1日4時間までといった厳しい条件があるものの多くの住民が外へと出掛けています。
街では正常化に向けた準備も進められています。
上海支局
張月記者

街の中には至るところにPCR検査場が作られています。
ゼロコロナを掲げる中国。上海市は市内におよそ1万箇所のPCR検査場を整備。今後、交通公共機関の利用やオフィスビル、ショッピングモールなど人の集まる場所を利用する際、48時間以内の陰性証明を求めるとしています。
市の幹部も正常化をアピールします。
上海市副市長

大企業をけん引役として上海の産業の安定性と回復をサポートしていきます。
年間売上がおよそ4億円を超える製造業およそ9,000社のうち半分にあたる4,400社が操業を再開したと強調しました。
ただ上海市の中心部などでは少し歩くと道路にはバリケードが。出歩くことができるのは自宅周辺のみです。
店の多くは仕入れ不足や従業員が出勤できなどの理由で閉店したまま。
一方、営業再開にこぎつけたスーパーには多くの住民が殺到しました。ただ売り場には商品がなくなった棚も目立ちます。
さらに今週に入りターミナル駅に向かう通りにはスーツケースを手にした人の行列が。高速鉄道が一部再開したためいち早く上海を脱出しようとしているのです。
中国リスクで"国内回帰"!生産比率「50%に引き上げ」
経済は再開されるのか、日本企業にはこうした中国リスクの回避に向けた動きも。
全国の百貨店に出店するアパレルブランド「UNTITLED(アンタイトル)」。店内には中国産のシャツやベトナム産のジャケットが並んでいますが…
宮崎文子記者

こちらのお店では数年前までは中国産やベトナム産といった海外製品が半数を占めていましたが、今では7割が日本製のものを取り扱っているということです。
取り扱う服の多くを国内生産に切り替えていました。
このブランドを展開するワールドでは百貨店向けブランドの高価格帯商品を続々と国内生産にシフトしているといいます。
ワールド
大峯伊索グループ常務

海外のリスクは継続するもの。
特に中国は政治のトップが決断した事において一挙にロックダウンなどあることが今回分かった。
そういうリスクを踏まえて、商品を持ってこられなくなると売れない。
国内を見直していく良いきっかけ。
岡山県にあるワールドの製造工場では…
ワールド 岡山工場
河名一幸さん

このラインが海外から生産拠点を映した製品を流しているライン。
国内で私たち自身で作れる量を増やすということで、もう1ライン増設したいと思っている。
生産体制を強化するため先月には例年のおよそ2倍となる10人を新たに雇用しました。
中国などと比べると人件費は高い一方で国内生産ならではのメリットも。
ワールド 岡山工場
河名一幸さん

仕上げのアイロンの仕方一つでもシルエットは変わってくるので、店頭でハンガーにかけた状態でも全然違う。
また納品までの期間が海外生産の半分程度で済むことや店頭での売れ行きに合わせて追加発注もしやすいため輸送コストや廃棄ロスを減らせることも強みだといいます。
現在、ワールドでは高価格帯商品を国内で生産する比率は全体の35%ほどですが、今後50%ほどにまで拡大させたい考えです。
ワールド
大峯伊索グループ常務

出荷まで一貫して工場内で行うので、検品まで含めて、不良品も極めてゼロと言っていいレベルでクオリティーコントロールできる。やっぱりそこは一番。
「国内回帰」が広がる!?検討する企業620社超
こうした国内回帰の動きは広がりを見せ始めています。
帝国データバンク 情報統括部
上西伴浩部長

多いのは化学系・化学工業系とか繊維系とか一部建材系とかはデータ上出てきている。
帝国データバンクが行った調査によると生産拠点の国内回帰を検討している企業は8.1%。620社を超えました。
原材料の価格高騰への対応や数量を確保するためとしています。
帝国データバンク 情報統括部
上西伴浩部長

ウクライナ侵攻とかコロナとかだけではなく、近い将来の経済安保も含めてチャイナリスクも鑑みた上での数字だと思う。
以前は中国で生産することでコスト的に見合っていたけど、そのコスト的に見合わないのが一番大きいと思う。