仮想通貨取引所大手のコインチェックから仮想通貨のNEMが流出した問題は、2月2日に発覚から1週間となりました。
日本円で約580億円分、巨額の仮想通貨が消えたこの問題ですが、金融庁は2月2日にコインチェックに対する立入検査に踏み切りました。
警察も捜査に乗り出すなど実態の解明に向けた動きが本格化しています。
今回流出した仮想通貨NEMですが、このNEMの普及を担うNEM財団という国際的な団体があります。
このNEM財団はNEMを使った取引の動きを監視し続けています。
WBSは今回、NEM財団の幹部に対してTVカメラでのインタビューに成功しました。
犯人の特定、それから流出したNEMを取り戻すことはできるのでしょうか?
コインチェック株式会社
[blogcard url="https://coincheck.com/ja/exchange"]
2月2月の午前8時頃、コインチェックが入る東京・渋谷のオフィスビルに金融庁が立入検査に入りました。
不正送金されたNEMの保有者26万人に460億円を返金するとしているコインチェック。
金融庁は返金の原子を確保しているかなど、不透明な実態を調査しています。
麻生太郎金融担当大臣は、
利用者の保全等々を確実にする観点から立入検査に入った。
コインチェックは先週、流出が発覚して以降、日本円の出金を含めたほとんどのサービスを停止。再開の目処は立っていません。
事態の進展がほとんどないまま再び週末に入ります。
580億円相当もの巨額な仮想通貨NEMは一体どこへ行ったのでしょうか?
NEM財団
[blogcard url="https://nem.io/"]
その在り処を追う団体、NEM財団に注目が集まっています。
2月2日、中国南部の大都市、深圳市。あるオフィスビルでNEM財団がある会合を開いていました。
NEM財団の幹部、ジェイソン・リー氏は、
コインチェックは日本の取引所でハッキングを受けた。しかしNEMの仕組み自体は世界で最も安全だと言える。
これは財団が開く投資家との交流会。
NEMを普及させようと世界各地でこうした草の根運動を続けています。
中国人投資家は、
交流のいい機会だった。NEMの発展に役立つと思う。
この技術にとても興味がある。将来性があると感じている。
NEM財団の主要メンバーは世界各国に100人あまり。ネットで知り合った技術者などが2015年に仮想通貨NEMを開発したのが財団の始まりまです。
草の根の普及活動をした結果、いまでは数ある仮想通貨の中で時価総額がトップ10に入るまでに成長しました。
日本では「nem bar」まで登場しました。
このNEM財団の幹部、ジェイソン・リー氏がWBSの単独インタビューに応じました。
ジェイソン・リー氏
財団は不正送金されたNEMの動きを追うため独自のソフトを開発したといいます。
新たな情報としてアメリカなどの取引所にハッカーが送った形跡が確認された。
さらにNEMを現金に変える動きがあれば、そこからハッカーの身元を割り出せる可能性があるというのです。
今回のソフトはこの事件を解決するために開発された。事件から学びもあった。事件を機に投資家はセキュリティーに目を向けるようになったと思う。
NEM財団の幹部は実はこういったことを言っています。
- 盗まれたNEMは追跡できる
- アメリカやニュージーランドに送られた。
これは一体どういうことなのか、仮想通貨に詳しい弁護士に話を聞きました。
三平聡史代表弁護士
みずほ中央法律事務所の三平聡史代表弁護士は、
どこの口座からどこの口座にいつ、いくら移ったかは全部公表されています。どこまでも追跡可能な状態。
NEMのような仮想通貨はブロックチェーンという仕組みで管理運営されています。
ブロックチェーンに特定の管理者はいません。ユーザー同士が取り引きをお互いに監視している状態です。
例えば口座同士で取引があった場合には、必ずそこに取引の履歴が残る仕組みになってます。
今回盗まれたNEMが繰り返し取り引きをされても、必ずここには履歴が残るので追跡をすることは可能です。
ただし、口座の持ち主が一体どこの誰なのか。ここまでは現時点では分かりません。
さらに専門家はこう指摘しています。
参会者全員が平等。特定の人がマスターキーで自在に動かすことはできない。
誰かの信用に依存しなくていいのか、仮想通貨の根本思考。
仮想通貨の利点は管理者がいなくても、自由に通貨の取引が行えるという点にあります
しかし逆に言うと、差し押さえなどをする管理者もいないということで、取り戻すのはなかなか難しいという指摘です。
こうした中でより安全な保管に向けて新たな取組が始まっています。
株式会社三菱東京UFJ信託銀行
[blogcard url="http://www.bk.mufg.jp/"]
三菱東京UFJ信託銀行は4月以降の導入を目指し、世界初のサービスを開発しました。
三菱UFJ信託銀行の齊藤達哉さん、
信託で大きいところは倒産隔離。法律で定められた分別管理が真に実現できる。
現在の仕組みでは仮想通貨取引所が利用者からあずかった資産を自社で管理しています。
この時、取引所が破綻したり、不正なアクセスで通貨が盗まれてしまった場合、利用者の資産がなくなってしまう可能性があります。
しかし、新たなサービスでは取引所が信託銀行と契約をして手数料を支払うことで利用者の資産を銀行が管理するようになります。
取引所が破綻したり、不正なアクセスを受けた場合でも利用者の通貨は銀行が管理しているため守られるのです。
現在、金融庁は仮想通貨は法律で保護される「財産の一種」は検討しています。
サービスは利用者の多いビットコインから取り扱う予定です。