2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けた受動喫煙に対策について。
2017年は政府と自民党の帰省推進派と反対派で折り合いがつかず、先延ばしにされていましたが、ここにきてまたその対立が鮮明になってきています。
今回、議論を呼んでいるのが厚生労働省のが今週発表しました新たな受動喫煙の対策案です。
旧案 | 新案 | |
---|---|---|
学校・病院 | 敷地内禁煙 | 原則禁煙 30平方メートル以下のバー・スナックは喫煙可 |
飲食店 | 敷地内禁煙 屋外に喫煙所設置可能 | 原則禁煙 150平方メートル以下の中小・個人店は喫煙可 (※20歳未満立入禁止) |
2017年に発表した旧案、元々の案では学校や病院の敷地内は全面禁煙でした。シンプルで分かりやすい案でした。
ところが新たな案を見てみると原則敷地内禁煙ではあるものの、敷地内でも屋外でついたてなど煙を遮る措置をとれば喫煙所を設けても良いということで緩和しています。
飲食店の場合を見てみるとこちらも原則は当初禁止ということになっていました。ただし30平方メートル以下のバーやスナックの場合は例外という案でした。
しかし新たな案では広がって150平方メートル以下に緩和。さらに旧案ではバーやスナックのみでしたが中小、個人が運営するお店であれば業態は制限しないという方向性で検討されています。
ただし措置としては「喫煙」、「分煙」などの標識を出す、20歳未満のお客様や従業員の立ち入りは禁止するという方針です。
ただこうやって見てみると当初目指していた規制内容からは随分と後退してしまっているということです。
自民党の規制推進派からは怒りの声が噴出していて、着地点が再び見えなくなっています。
直火焼鳥ごいち
東京・荻窪にある個人経営の焼き鳥店「直火焼鳥ごいち」。
店舗の面積は約32平方メートルと以前の案だと規制の対象になっていました。
過去には実際に禁煙にしていた期間もありました。
岡本吾一店長は、
半年間禁煙にしたが来なくなってしまったお客様もいて、売り上げも芳しくなくなったので禁煙はやめた。
ファミリー客は増えたものの、客単価が落ちたため喫煙可能にしたところ、客足が戻ったといいます。
お客様は、
「たばこくらいは」という気持ちはある。リラックスしに来てるから。
実は都内にある居酒屋などの飲食店の約9割が150平方メートル以下の店舗です。
実質、ほとんどが喫煙可能ということになります。
岡本店長は、
ホッとしている。そこまで体力のある店ではないので。
自民党たばこ規制推進派
こうした中、2月2日の国会内では自民党の規制推進派の会合が開かれました。
厚労省が禁煙の例外基準を150平方メートル以下で調整していることについて参加議員からは「広すぎて論外だ!」などと反発する声が相次ぎました。
山東昭子議員は、
恥ずかしい。国際的に見て許されざる面積だと思う。
会議に参加した規制推進派の急先鋒、三原じゅん子議員は、
逆にたばこを吸っていいというお墨付きを与える法律になる。東京オリンピック・パラリンピックに間に合わない、だから早く成立したい。
そもそもなぜ厚労省案は大幅に後退したのか?
2017年5月、厚労省案をまとめたのは当時の塩崎恭久厚生労働大臣。
しかし規制が厳しすぎるとして自民党のたばこ議連などが猛反発。議論はまとまらず先送りにされてきました。
そして2017年8月、厚労大臣は塩崎氏から加藤氏に交代。
2年後の東京オリンピックに間に合わない恐れがあるので、自民党の規制反対派の意見に近寄り対策をまとめることを優先したかたちです。
2018年1月、加藤厚労大臣は、
どこまでやるかについてはいろんな議論がある。精力的に意見の集約を図って法案の提出に向けて。
塩崎恭久氏
こうした状況を塩崎前厚生労働大臣はどう見ているのか?
塩崎氏がテレビ東京の取材に本音を語りました。
去年の3月に作った案と、なぜ後退するのか理由が書いていない。健康増進法ではなく喫煙容認法。
今の厚労省に対しては、
今の厚生労働省は国民を見ないで自民党を見ているのではないか。
前大臣が現大臣に異例の苦言を呈しました。
さらに今後、自民党の議論がまとまらない場合は国会採決の賛否を縛る「党議拘束」を外すべきだといいます。
人権問題にもかかわる倫理の問題でもあるので党議拘束を外すことは正面から考えるべき。
受動喫煙対策を巡る攻防はまだ着地点が見えません。