8月20日、南米ベネズエラが実施した通貨単位の切り下げ、デノミネーションの様子です。
通貨の単位を従来の10万分の1にするという荒療治で経済を立て直そうとしたのです。
しかし危機的状況はいまも続いています。
国連の調査ではベネズエラ国外に脱出した国民の数は4日までに160万人を超え、その多くが難民になっていると見られます。
背景には深刻な物資の不足により生活に必要なものだけでなく、病院の機能まで崩壊しつつあるという厳しい現実がありました。
ベネズエラ中央銀行
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ベネズエラの銀行。
現れたのはマドゥロ大統領です。
手に握っているのは1.5gの金塊。
実はベネズエラでは9月3日、貯蓄制度の一つとして金塊を裏付けとする証券の発行が始まりました。
安定した価値の保存手段として導入されたのです。
国営病院
テレビ東京の取材班が向かったのはベネズエラの首都カラカスにある国営病院。
医師のアルベルトさん(仮名)が深刻な状況を世界に伝えて欲しいと取材を許可してくれました。
ここは点滴を置く棚ですがもうほとんど残っていません。
点滴はわずか5本。
補充の目処も立っていません。
消毒用の脱脂綿を入れる缶も空っぽです。
病室に行くとベッドのマットが剥がされていました。
宇井五郎記者、
病院なのにマットレスはほとんど盗まれてしまいました。
また断水、あるいは水不足の影響で病院の中のトイレはほとんど機能していません。悪臭が立ち込めています。
病院では1日に何度も断水が発生、水道の蛇口も盗まれてしまいました。
この病院には140床ほどのベッドがありますが入院しているのは30人。
これ以上は受け入れられないといいます。
空っぽの病室にただ1人横たわる女性。心臓の病気を患っています。
薬はかろうじて処方されていましたがほかの必要なものは家族に頼っているといいます。
あちこちで水が出なくなるので市販のペットボトルの水が必要です。
脱脂綿や消毒液もないので全て家族に買ってもらい病院に持ってきてもらう。
それでも貧しい人たちはお金がほとんどかからない国営の病院に居続けるしかないのです。
アメリカやメキシコなどのNPOから余った医薬品などを送ってもらい病院の維持に努めているアルベルトさん。
国民の生命を脅かす事態を招いたマドゥロ大統領への怒りを隠しません、
マドゥロ大統領を好きだというベネズエラ人はいないでしょう。
「好きだ」と言う人はコネがあったり政府の援助を受けたりしている人だけ。
外貨不足による物資の不足が解消されない以上、デノミをしてもベネズエラの経済を立て直すことは難しそうです。