金沢大学
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石川県の金沢大学。
准教授の菅沼直樹さん。
大学内のガレージに向かいます。
そこにあったのはトヨタ自動車株式会社のプリウスを改造した実験車両です。
見たことのない大掛かりなセンサーが付いています。
普通に走り始めた菅沼直樹准教授、約2時間で石川県の最北端、珠洲市に到着しました。
自動にします。
菅沼直樹准教授、ハンドルから手を離しました。
これはさらに進んだ自動運転車。全ての操作が自動です。
右折する交差点に差し掛かると、自動的に減速し対向車が通り過ぎるのを待ちます。
そして完全な手放しで交差点を曲がりました。
結局、珠洲市に入ってからは全て自動運転で目的地まで到着しました。
珠洲市
能登半島の最北端、石川・珠洲市。
人口は約1万5,000人、約半分が65歳以上の高齢者です。
2005年には市内を走っていた電車が廃線に、バスは1日数本しか走りません。
この過疎の町を走る金沢大学の自動運転レベル3のクルマ。
2015年3月から全国初の公道での実証実験が始まっています。
自動運転レベル3
開発した菅沼直樹准教授、この町を選んだのにはワケがありました。
自動運転車が公共交通機関で導入されれば地域の人々が元気に活躍するツールになる。
キモとなるのがクルマの上に取り付けられたセンサー。
360度レーダーを飛ばし続け、クルマの位置と周囲を把握します。
ただ、これではレベル3以上は実現できません。
人は運転しながら、あらゆる情報を入手しています。
信号の場所、道路の車線、レベル3以上はその全てをあらかじめ把握する必要があるのです。
その為、必要なのが地図データ。右に曲がる車線、信号待ちの場所など細かい情報が必要です。
高度な自動運転で地図の重要度は、これまでの役割とかなり違って大きな役割を持つ。地図メーカーのノウハウが必要。
インクリメントP株式会社
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東京・文京区。
ここに金沢大学の自動運転車のため地図データを作っている企業、インクリメントP株式会社があります。
カーナビ大手、パイオニア株式会社の小会社です。
担当の新規事業開発部の大石淳也さん(41歳)。
地図をやっているのであれば、要求されるものに対して、どこまでできるか考えてみたい。自分たちのノウハウや知識がどれだけ役立つのかチャレンジしてみたい。
問題発生
再び、石川・珠洲市。
この日、大石淳也さんが呼び出されました。
ある問題が発覚したと金沢大学の菅沼直樹准教授から連絡を受けたのです。
2人は自動運転中である交差点に向かいます。
見えてきたのは信号のない交差点。
クルマが一時停止しました。
そして再発進した瞬間…
自動運転を終了します。
菅沼直樹准教授が急ブレーキをかけ、自動運転を停止させたのです。
何が起きたのでしょうか?
車載カメラで見ると「止まれ」の標識の下で一時停止、その後再発進した瞬間に菅沼直樹准教授が急ブレーキをかけたのです。
車から降りて確認します。
そこには「止まれ」の標識と「この先17m」という文字が書かれています。
標識の下にある停止線、しかしこれは横断歩道のためのもの。
交差点の停止線は17m先にありました。
どっちが正しいんですかね。17mと書いてあるから、そっちが正しいんですよね。
人間の目でも勘違いしてしまう標識。
早速、この問題について話し合います。
人間でも迷うところだからこそ地図が重要。
ここは落とせない。
地図メーカーさんの技術の見せどころ。
全て機械任せの自動運転。完璧な地図を作らなければ重大な事故につながります。
地図データ
8月12日、岩手・盛岡市。
完全自動運転に欠かせない地図データを作っているのがインクリメントP株式会社の東北開発センターです。
その開発センターでは約220人のスタッフがカーナビに使われる地図データの更新作業に日々追われていました。
国土交通省などが発行している資料、新しい道路の情報が書かれています。
こうした資料を全国から取り寄せ、1つ1つ入力し更新していきます。
一方、女性が確認していたのは地図と現地の写真です。
実はインクリメントP株式会社では、全国すべての道路を定期的に走り、5メートルおきの画像を撮影しています。
その画像から、どの道に、どんな標識があるかを自動的に抽出しているのです。
すると地図データに自動的に表示されるシステム。
カーナビはこうした地道な作業によって更新されていたのです。
この開発センターに現れたのが自動運転用の地図を作る大石淳也さん。
実験で誤作動が起きた原因を探りに来ました。
実際、この場所って地図データと停止線の位置が違う。
なかなか珍しいケース。「補助標識」までは見落としがち。
問題となった石川・珠洲市の交差点、カーナビの地図データを利用していました。
表示されていたのは「止まれ」だけ。「この先17m」の補助標識は表示されていません。
今のカーナビはそこまで必要が無いからです。
「止まれ」の標識は珠洲市内だけで296ヶ所、補助標識があるか、ないか、1枚1枚画像を確認するしかありません。
いちいち見るのは大変な作業。
これを見ながらは難しい。
データの更新
1ヶ月後の9月1日、大石淳也さんが再び盛岡市にやってきたました。
補助標識を自動で抽出するソフトを開発したというのです。
9月6日、石川・珠洲市。
大石淳也さん、補助標識まで認識する新たなソフトを開発。
地図データを更新しました。
そのデータを実験車両に入れます。
そして、以前問題があった交差点に自動運転で向かいます。
迫る「止まれ」「この先17m」。
果たして…。
いい場所に止まりましたね。
前回、止まってしまった横断歩道は、人がいないのでそのまま通過。
その先の停止線でしっかり止まりました。
大石淳也さん、今度は外に出てクルマの動きを確認します。
こうした小さな一歩が自動運転を進化させていくのです。
自動運転が一般的になって普及していくとなると、もっといろいろな問題を解決していかないといけない。今見えていないものも含めて対応する必要があるので責任も重い。
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