日本初の扇風機や洗濯機、カラーテレビ、これらを世に送り出したのが東芝です。
日本を代表する電気メーカーの東芝に4月7日、大きな動きがありました。
外資系投資ファンドなどからの2兆円を超える買収提案です。
突然の買収劇に見える今回の動きですが、その裏にはさまざまな思惑が複雑に絡み合っていました。
株式会社東芝
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伊大知明宏記者、
今日の東京株式市場、東芝の株価はストップ高まで上昇しました。
取引開始直後から投資家の買いが殺到した東芝株。
そのワケは…
今朝、東芝本社では幹部を載せたと見られる車が慌ただしく入る様子が見られました。
4月7日、東芝に対する外資系ファンド「CVCキャピタル・パートナーズ」の買収提案が明らかになったのです。
過去に「すかいらーく」の非公開化を手掛けたことでも知られるCVC。
直近では今年2月に資生堂から日用品事業をおよそ1,600億円で買収しています。
今回の東芝の買収額は2兆円を超える見通し。日本企業のM&Aとしては有数の規模になる見通しです。
買収提案を受けた東芝は、
昨日、初期提案を受領したばかりであることから今後、詳細情報を求め慎重に検討していまいります。
東芝の綱川智社長(当時)、
多大な迷惑をおかけしたことを深くおわび申し上げる。
2015年に不正会計問題が表面化し、2016年にはアメリカの原発事業の失敗で多額の損失を出し債務超過に陥った東芝。
資金繰りに苦しむ中で2017年におよそ6,000億円の増資をしました。その際に増資の引き受け手となり、危機を救ったのがいわゆる物言う株主である外資系ファンドでした。
事業の取捨選択を進めたことで財務体質を改善し、今年1月には東証一部に復帰するなど名門復活が見えてきた東芝。
しかし、株主総会の運営などを巡って物言う株主との対立が表面化。
去年7月の株主総会では車谷社長再任の賛成率が57%台まで低下していました。
東芝の株主構成はおよそ25%が物言う株主だと見られています。
彼らとの対立が続く東芝としては今回の買収が成立し、株式が非公開になればメリットもあるといいます。
日経新聞のコメンテーター、中山淳史さん、
物言う株主がたくさんいて、東芝側に焦りがあるのでは。
この買収が通れば経営陣のやりたいことが進めやすくなる。
意見を一本にして経営ができるようになる。
今回の買収で東芝は物言う株主の影響下から脱却を果たすのか…
しかし滝田洋一解説キャスターは今回の東芝買収劇に潜むある問題点を指摘します。
車谷社長とCVCの関係に違和感があります。
東芝の車谷社長の経歴を見ると東芝に来る直前、今回買収を提案しているCVCの日本法人で会長を務めていたことが分かります。
つまり自らの古巣から買収提案を受けたことになり、外資系ファンドに狙われる日本企業という単純な構図とはいえないようです。
4月7日、東芝関係者はテレビ東京の取材に応じ、こう述べました。
今回の動きは車谷社長自身が仕掛けたのではという声が社内である。
"物言う株主"との対立で車谷社長が責任問題に発展させないように率先して動いたんじゃないかとみられている。
企業統治に詳しい弁護士はこう指摘します。
GIT法律事務所の西垣建剛弁護士、
過去の経歴や取締役会の議論の進め方など総合的に見て、本当に東芝の株主の利益を考えて行動しているかが一番のポイント。
2兆円の買収提案が合理的な金額なのか。
言い値で売れば利益相反の疑いが出てくるかもしれない。
今後の展開は…
今年6月の定時株主総会が山場になるだろう。
車谷社長自身がトップとして君臨し続けられるかも問われている。
その中で買収をうまく実現できれば現体制も維持されると思うし、この案件がとん挫すれば現経営陣にはいばらの道が待っている。