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[WBS]「バラバラに…どうなるのか」東芝「3分社化」へ船出![株式会社東芝]

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日本初の電気洗濯機に電気冷蔵庫、さらには世界初のノートパソコンまで、これは全て日本の総合電機メーカー「東芝」が手掛けたものです。

現在はというとエネルギーからビルやオフィスの設備など、さらにはインフラ事業も展開しています。

しかし、不正会計や事業の失敗などが続き経営危機に陥りました。その東芝が11月12日に会社を事業別に3つの会社に分割する方針を発表しました。

日本の大企業では異例となる会社3分割の再生プラン。果たしてうまくいくのでしょうか。

株式会社東芝

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午前7時。

WBSのカメラが捉えた東芝の綱川智社長。その表情は険しく緊張感に満ちていました。

午後4時。

東芝の綱川智社長。

東芝グループは未来に向かってさらなる飛躍を遂げていくため会社の形を大きく見直すことを決定した。

独立した3つの会社とする戦略的再編を行う。

東芝は事業別に3つの独立した会社へ分割する方針を発表。

エネルギー事業やビルシステム事業を手掛けるインフラ会社と電力の制御などに用いるパワー半導体や大容量ハードディスクドライブなどを手掛けるデバイス会社が独立。それぞれ2023年度後半に上場させる方針です。

残った東芝は半導体メモリー大手「キオクシアホールディングス」の株式保有などを担います。

東芝を3分割にするという決断を社員はどう受け止めたのか…

インフラ関連に従事する東芝社員。

下には話は下りてこない。

分割はあまりよくない。ばらばらになると総合力がどうなるかわからない。

社員からは戸惑いの声も上がる中。東芝を3つに分割する理由とは…

新会社はそれぞれのビジネス特性に応じた事業を展開可能。

シンプルな構造にすることで大きな価値を顕在化させる。

世界ではアメリカのゼネラル・エレクトリックも今月、航空機エンジン、医療機器、電力の3社に分割する計画を公表。

複業企業の市場価値がそれぞれの事業の価値より割安になる事態を避けるための分社化は世界的にトレンドとなる兆しがあります。

来年1月から3月の間に臨時株主総会を開催し、株主の意見を伺う機会を設けたいと考えている。

ただ分社化でそれぞれの企業規模が小さくなることで原子力や量子暗号通信といった経済安全保障上、重要な技術を維持していけるのか、研究開発体制が細ることへの懸念も広がっていますが…

雇用への影響というのはないと思うが。

拠点の閉鎖ということもあり得る。

自ら矢を弓につないで的を射るからくり人形「弓曳童子」。今から200年ほど前に作られたものです。

このからくり人形を開発したのは東芝の創業者、田中久重です。

東芝は1875年に日本で一番古い電機メーカとして誕生。日本だけでなく世界をリードしてきました。

しかし…

心よりおわび申し上げます。

アメリカの原発事業の失敗で多額の損失を出し、2017年に債務超過に陥った東芝。

上場廃止を避けるために当時営業利益の9割近くを稼ぎ出していた虎の子の半導体メモリー事業の売却に追い込まれました。

さらに転機となったのが2017年の年末。いわゆる物言う株主である外資系ファンドがおよそ6,000億円の増資の引受手に。

その後、再建を託されたのはおよそ50年ぶりに外部の出身者としてトップに迎え入れられた車谷暢昭氏でした。

収益性の高い社会インフラの保守サービスに力を入れるなど事業の取捨選択を実行。

財務体質を改善し、今年1月に東証一部に復帰したその矢先…

東芝の永山治取締役会議長。

車谷氏より辞任したい旨の申し出があった。

今年4月、物言う株主との激しい対立の末、車谷社長が辞任に追い込まれる事態に。経営の混乱が続いています。

物言う株主と対立する中で打ち出した東芝分社化案。

徹底的な議論を行い、戦略的再編がベストである。

解体ではなくて進化であると捉えている。

分社化によって株価向上につなげ、物言う株主との関係改善につなげたい綱川社長ですが、ある東芝の幹部はこんな証言をしました。

会見資料のタイトルは本当は「企業価値向上に向けた東芝の変革」だったが、物言う株主を意識した幹部が「企業価値向上じゃやない株主価値向上に変えろ」と変更させた。

株主に頭が上がらないことが東芝問題の本質だよ。

東芝の筆頭株主はシンガポールの投資ファンド「エフィッシモ」。物言う株主として東芝経営陣と激しく対立してきました。

エフィッシモの関係者に分社化について聞くと…

賛成しないよ。戦略性がない。

3つに分社化して全てもうかるんですか?様子見だよ。

また東芝がもう一つ顔色を伺う先が経済産業省。

「この分社化プランを経産省に報告したか、どんな反応か?」

事前に説明にうかっている。

特にネガティブな反応はなかったと考えている。

これについて経産省の幹部に聞くと…

ネガティブでもないけれどポジティブでもないよ。

3つに分けてそれでどうするの?ってことだ。

成長戦略、資本戦略、そして経営体制。

それらを見ないと「いい」なんて言えないよ。

東芝の分社化はうまくいくのか、早稲田大学大学院の入山章英教授は…

正直内容が薄いのでびっくりした。

3つに分けること以外何も言っていないのと変わらない。

問題は何が主力事業か、どういう戦略でどこの事業を中心にしてどう立て直すのか、リーダーは誰なのかという明確な案がない。

東芝はこの報道があった後、株価が上がっていない。

踏み込みが甘いと株主が判断していると思う。

分社化と合わせてもう一つ大きな報告がありました。東芝は物言う株主らに圧力を加えたとされる問題で11月12日に調査報告書を公表し、車谷前社長を含む幹部らに対して企業倫理に反すると指摘しました。

車谷氏は理解できないと反論しています。

この問題は去年、東芝の幹部が経済産業省と一体となって物言う株主らに対し、議決権を行使しないよう圧力をかけたとされるものです。

今年6月、物言う株主が指名した弁護士らの調査で指摘されました。

それを受けて東芝が設置したガバナンス強化委員会は11月12日の会見で経済産業省の働きかけは違法なものではなかったと指摘された内容を一部覆す判断をした一方で、車谷前社長ら3人の元幹部については「市場が求める企業倫理に反する」と指摘しました。

3人に対し法的責任は問えないとしています。

経済産業省の幹部はテレビ東京の取材に対し「違反はないと言ってきたとおりだ」と答えました。

一方、車谷氏は経済産業省の対応を問題なしとしながら「なぜ企業倫理違反を問われるのか理解できない」としています。

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