金券のキラキラした部分。
これは本物と偽造を見分けるためのホログラムという印刷技術です。
紙幣や証明書などにも使われていますが、2020年の東京オリンピック・パラリンピックを前にこうしたセキュリティー印刷の技術が進化し、活躍の場を広げているといいます。
その実力を取材しました。
警視庁警察学校
東京・府中市にある警視庁の警察学校。
10月10日に開かれた学校祭にはセキュリティー関連企業など10社が招かれました。
2020年の東京オリンピック・パラリンピックを最前線で支える警察官のたまごたち。
最新の技術について学んでもらおうという狙いです。
警視庁のオリパラ総合対策本部の後藤友二副本部長、
セキュリティーの先端技術の活用・導入が期待されるので今から学生たちに慣れてもらう。
凸版印刷株式会社
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多くの警察官から特に注目を集めていたのが凸版印刷のブース。
展示されていたのは角度によって色が変わるホログラムなど、金券や証明書などに使われるセキュリティー印刷技術です。
スマートフォンと連動したこちらの技術は…
凸版印刷のセキュアビジネスセンターの渡部貴紀さん、
コードを読み取ると凸版印刷のサーバーに問い合わせが行って、コードが正しいかどうかスマートフォンに回答が返ってくる。
偽物を読み取ってみるとすぐに不正なコードと表示されました。
オリンピックで外国人の行き来が増えることで持ち込まれる可能性のあるチケットなどの偽造品を見破る技術として警視庁も期待を寄せています。
こうした活発な技術開発の背景にあるのが紙媒体のデジタル化です。
印刷関連の市場は縮小を続けていて製造品出荷額がここ10年でおよそ3割、1兆8,000億円あまり減少。
印刷業界では事業の多角化が急務となっています。
一方、セキュリティー印刷の技術は紙幣や商品の偽造が横行する海外を中心にニーズが高まっています。
その市場規模は2022年までにおよそ3兆8,000億円に拡大するという資産もあり、いま激しい開発競争が繰り広げられているのです。
紙は減っているが全部無くなるとは思っていない。
デジタルと融合させて両方やっていくことが大事。
株式会社岩田レーベル
[blogcard url="https://www.iwatalabel.co.jp/"]
こうしたセキュリティー印刷技術が急速に広がっているのが薬品業界です。
薬品に貼るラベルの製造を専門に手がける印刷会社「岩田レーベル」。
ラベルにホログラムが施されたものや剥がすと「開封済」という印字が残るものなど製品の多くにセキュリティー印刷の技術が生かされています。
こちらの新製品は粘着部分が両端だけなためカッターで開封するとラベルがそれ上がる仕組みです。
既存のラベルと比べると開封されているかどうかがひと目で分かります。
船橋英治営業部長は、
流通過程で例えば箱が開けられて異物が混入されるなどの事件が実際にある。
そういうものを未然に防ぐ意味でこのようなラベルを開発した。
開発の背景にあるというのが去年1月に日本で発覚した偽薬事件です。
奈良県内の薬局からC型肝炎治療薬「ハーボニー」の偽造品が見つかったこの事件。
中身がビタミン剤などにすり替えられ外箱のない状態で流通していました。
そのため薬が未開封であることを保証できるラベルの普及が進んでいるのです。
こうした薬の安全・安心を求めるニーズは海外でも高まっています。
市場開拓を狙い、独自の技術開発に力を入れる企業が増えてきているのです。
こういったものの必要性はさらに高まっていく。
日本でも世界でも通じるようなラベルを考えていきたい。