緊急事態宣言の延長が決まりました。
飲食店に厳しい状況が続きますが、いま店舗の面積が狭くて小さい、いわゆる狭小店舗が続々と増えています。
コロナ禍でどうしてこうした店が増えているのか、その裏側を取材しました。
食パン専門店「高匠」
[blogcard url="https://www.shokupan-takasho.com/"]
横浜市の東急あざみ野駅。
その近くにオープンしたこちらの店「高匠あざみ野店」。
この小さな建物、実は…
高匠あざみ野店の原木冴佳店長、
もともとATMだった建物を使った食パンの専門店。
店の広さを測ると、
2メートル70センチしかない。
広さは3坪もないわずか9平方メートル。
パンは都内の工場から朝一番に配送。
この狭い店内では販売のみです。
食パン「湯種食パン Tokyo Rich」は生地を作るのにお湯を使い、モチモチとした食感が特徴だということで売れ行きも上々なようです。
狭くてもいいんじゃない。買っていくだけだから、おいしい。
毎日200本前後は売れる。
家賃は痛手でないくらい売り上げはある。
狭小店の特徴は家賃や人件費を抑えられること。
店の家賃は駅近くの立地で月15万円ほど、従業員2人で運営できます。高匠では今後もこうした店を増やす方針です。
またコロナ対策としてこんな工夫も…
この狭さなので1組だけ入ってもらい、密になる心配がない。
お客様にも安心してもらえていると思う。
小規模店を出店する動きは大手飲食チェーンでも。
サイゼリヤは先月、広さが従来の4割ほどの小型店をオープン。
冷凍食品の販売やテイクアウトに力を入れる方針です。
サイゼリヤの堀埜一成社長、
あの店は従業員3人でやれば確実に利益が出る。
小型店の物件が出てくるかどうか、コントロールできたら面白い。
こちらは都内の不動産会社が開いた飲食店の開業セミナー。
参加者の手には「小さなお店の始め方」と書かれた資料が。
開業セミナーを主催するM&Aオークションの大森智幸開業コンサルタント、
最近のトレンドは小さな店。1階、路面の店、家賃の低い店は融資が出る。
一方で大きな店は融資が厳しくなっている。
開業資金を調達する際、コロナ禍の今は固定費がかからない狭小物件が有利だといいます。
大箱(大きな店)は考えてない、小箱(小さな店)で20席から25席の1人で見られるくらい。
コロナになると従業員を多く抱えるより小箱(小さな店)の方が正解だと思う。
このセミナーを経て実際に開業した店を訪ねました。
確かにこぢんまりしていますね。私が両手を広げて、ちょうど幅が表せるぐらいの広さです。
東京・世田谷区に去年12月にオープンしたスペイン料理店「バル サンティアゴ」。
30平方メートルに満たない狭小店です。
バル サンティアゴの店主、角田正一さん、
従業員は僕ひとりでやっている。
料理は作り置きにしている。
スペインの一口料理「ピンチョス」を提供するこちらのお店、どれでも1つ330円。
店主の角田さんは昼間、料理をすべて作り、開店してからは調理はせずに接客のみです。
店ができた時からよく来ている。
ちょっと飲んで食べられるのがいい。
家賃は月15万円ほど。開業資金およそ800万円は飲食店に逆風の今でもほとんどを金融機関から借り入れできました。
この小ささを強みにしていきたい。システムとして人を使わなくて大丈夫。
しかし3回目の緊急事態宣言が発令、再び角田さんの店を訪ねるとアルコールの提供を取りやめたことでお客様の姿はありません。
お客様はきょうは1人来ただけ。
自分一人で切り盛りできるためノンアルコールドリンクを充実させるなどして営業を続けているといいます。
これで人を雇って家賃が高かったらもう死んでいた。
負けずにやってきたいと思う。