阪神高速道路株式会社
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2016年12月の大阪市内の高速道路。大きな工事が始まろうとしていました。
造られてから約50年経った橋脚、その上半分を取り替えるのです。
工事が始まりました。
橋脚の上の部分が切り外されていきます。
地上に下ろされた巨大なコンクリートの塊。重さは約30トン。
すると作業員たちがチョークで何かを書き始めました。みるみるコンクリートの表面が蜘蛛の巣のような模様になっていきます。
これは全部ひび割れです。1.3ミリぐらい。本来0.3ミリあると補修の対象になるが遥かに超えている。
亀裂を調べるのは阪神高速道路株式会社の技術部、茅野茂さん。
ある深刻な課題を抱えていました。
老朽化がどこまで進んでいるのか外面だけでなく中身の老朽化を知る必要がある。
コンクリートの内部の劣化が簡単に、しかも正確に分かる方法を探していたのです。
実験
1ヶ月後の2017年1月、高速道路の真下に作られた工事用の足場。その中に茅野茂さんの姿がありました。
真上のコンクリートは高速道路そのもの、車が走っています。
ここである実験が始まろうとしていました。
次々と銀色のセンサーを取り付けていきます。その全てのセンサーが下に置かれた機械につながれていました。
ともに見守るのは共同で研究する京都大学の特定教授、塩谷智基さん。
すると機械のグラフに反応がありました。
車が通ることによって上から力がかかるので、力がかかった時に中にひび割れがあると音が発生する。
車が通るとその振動がコンクリートに伝わります。すると中のひび割れが擦れて音が出ます。それをセンサーがキャッチしたのです。
音を感知することによってひび割れ・欠陥がどこにあるか推測する。
音を感知するだけでコンクリートのどの部分に損傷があるのか、その場所まで分かるはずだといいます。
解析結果
数日後、茅野茂さんが向かった先に置かれていたのは板状の大きなコンクリート。
これは高速道路の路面をそのまま切り出したものです。
取り出したのはセンサーで得たデータを解析した3Dの立体図。赤い部分がひび割れの多い場所だと推測されています。
解析通りの場所に損傷があるのか調べるのです。
特殊な機械でコンクリートの板に穴を空け、内部の亀裂を見やすくするためオレンジ色の樹脂を注入します。
そしてカメラを入れると、
結構割れている。一重、二重、三重くらい。
映し出されたのはオレンジ色に染まったコンクリート内部のひび割れ。センサーで得た情報と同じところに見つかりました。
この方法が実用化されれば老朽化対策の大きな武器になります。
造ったものをより長く守っていく。インフラの時代がいよいよ変わろうとしている。
インフラの老朽化
インフラの老朽化はいまや社会問題です。
2012年には笹子トンネルで天井の板が崩落して9人が犠牲になりました。
日本中が一気に整備された高度経済成長期から半世紀。今いたるところで重大な綻びが起きています。
暮らしに忍び寄る危機に立ち向かう。その闘いを追いました。
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