地域で奮闘する企業を取り上げる「輝く!ニッポンのキラ星」です。
今回は兵庫県姫路市からです。革のダイヤモンドと呼ばれる希少な革を日本で唯一、一貫して加工する企業を取材しました。
有限会社新喜皮革
[blogcard url="https://shinki-hikaku.jp/"]
日本最大の売上を誇る百貨店、伊勢丹新宿店。
紳士用革製品売り場の一角に国内生産の商品を集めたコーナーが…
ウォームスクラフツ伊勢丹新宿店担当の足立秦明さん、
こちらの財布がおすすめの商品。
内装まで全て馬の革のみを使用。
人気の商品で入荷から完売までが早い。
使われているのはコードバンという馬の臀部から取れる希少な革。
価格は通常の6倍。革のダイヤモンドとも呼ばれています。
薄くて軽く、高い強度を持ち、使えば使うほど光沢が出て美しくなるため、一生モノの製品としてビジネスマンからの人気を誇っています。
兵庫県姫路市。播磨と呼ばれる地域は革製品で有名。国内シェア7割を誇る産地です。
この地にコードバンを作る企業が…
1951年に創業した新喜皮革。従業員17人、売上高は5億円に上ります。
70年間、馬の革の加工を専門に行い、日本で唯一、コードバンを一貫して生産しています。
新規皮革の新田芳希専務、
ヨーロッパから送られてきた馬の原皮。
希少価値は他の部分と比べたら高い。腐らないように加工していく。
保存のため皮は塩漬けのまま運ばれてきます。
まず大型の機械を使い、毛など不要物を洗い流します。
そして皮の劣化を抑えるため茶にも含まれるタンニンが入った特殊な液体におよそ1ヵ月漬け込みます。
コードバンは繊維が緻密。
タンニンが通りにくいので時間をかけないとできない。
その後、タンニンを十分に洗い流し、厚みを整えるため皮のシワを丁寧に伸ばします。
一枚ずつ吊るし、およそ10日間かけて乾燥。さらに3~4ヵ月寝かせます。この工程によりタンニンが繊維によく馴染み、時間が経つと味わいが出てくるのです。
皮を染色した後、色がきれいに出ているところだけを使います。
表面を磨くグレージングという工程。
ギズが付かないようにガラス玉を使って丁寧に磨いていくと、きれいな艶が浮き出してきます。
通常は1ヵ月程度で済む作業をコードバンは10ヵ月かけて仕上げているのです。
皮は生き物。
季節により仕上げ方を変えないと年間通して同じものが仕上がらない。
気が抜けないのがコードバン。
コードバンの製造には高価な設備や高い技術力が必要で、職人は一人前になるのに10年以上かかるといわれます。
そのため国内で一貫生産を行うのは1社のみ。新喜皮革が馬革の最高峰であるコードバンを作りたいと試験製造を始めたのが50年前。
その後、研究と技術の向上に30年以上かけ、ようやく安定して製造できるようになりました。
2010年には自社ブランドでの製品作りに挑むため、バックや小物を作る関連会社「コードバン」を設立しました。
全てのデザインを手掛けるのは米田浩専務。
コードバンの良さは唯一無二。
自分のエゴを出すというよりも革の良さを引き出すのを大切にする。
皮革のカットや縫製などは全て手仕事。国内だけでなく海外からも受注が舞い込んでいます。
そして新たな事業に…
冷凍されたこれは一体?
ブラックバスの皮。
身を取った後の皮は肥料になったり捨てられたりしていた。
何か利用できなかと小物などの革製品にしている。
ブラックバスの皮を加工し、2017年に販売を開始。
さらに今年4月からは琵琶湖で大量に増え、漁業などで問題になっていた水草を占領として使うことでシックで高級感が感じられる色合いに。
いま大手百貨店から相次いで声がかかっています。
革作りは食べられた後のものに、もう一度命を吹き込むサステナブルなもの。
日本の革と言えば新喜皮革の革。
世界中にもっと有名になれば。