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[WBS]ウクライナ危機の裏で…塗り替わる経済地図

ワールドビジネスサテライト(WBS)

ヨーロッパの勢力図が大きく変わる転機を迎えている中でウクライナ危機をきっかけに経済の地図も塗り替わろうとしています。

激変!世界の"勢力図"

ドイツ 脱ロシアで混乱する天然ガス

まず向かったのはロシアとウクライナの衝突の間で揺れるドイツです。

モスクワ支局の中村航記者。

ドイツの中心街の大通りです。通りを人が埋め尽くしています。これは全て「反戦争」「反プーチン」のために集まった人たちです。

10万人以上が参加したデモ行進。ドイツではプーチン大統領への批判が急速の高まっています。

デモの参加者。

ロシア産のガスや資源はボイコットしないといけない。

そうしないとこの戦争に加担したことになる。

こうした市民の声を受けドイツ政府はある重要プロジェクトについて大きな決断をしました。

ドイツのショルツ首相。

確証なしにノルドストリーム2が運転開始することはない。

ショルツ首相が停止を決めたノルドストリーム2。

バルト海の海底を通じ、ロシアから直接大量の天然ガスを運び込む巨大パイプライン計画です。総事業費は1兆円以上。

取材班は今回、バルト海に面したルブミンという小さな村に向かいました。すると目の前に広大なプラント群が…

ドイツとロシアの間である意味政治的な道具となっていたノルドストリーム2ですが、あちらのパイプラインがまさにノルドストリーム2です。

ここルブミンは海底パイプラインの終着地なのです。

稼働することなくプロジェクトが停止したノルドストリーム2を見つめる男性の姿が…

ルビミンのアクセル・フォーグト村長です

この制裁はプーチン大統領に分からせるためには絶対に必要なこと。

経済的に失うことがあっても仕方ないしことだし文句はない。

実はこの村には旧東ドイツ時代にソ連の原発がありました。東西統一に伴い廃止されたものの今も中間貯蔵庫として建屋が残っています。国家を支えるエネルギーをめぐり国際情勢に翻弄されてきたのです。

ロシアの天然ガスはこれからも長期間頼りにできるもの。

ロシア産の天然ガスはLNGと比べても価格が安い。

これからは平和的に貿易をし、社会や政治のレベルで交流しないとうまくいかない。

ドイツはこれまで天然ガスの半分以上をロシアに依存してきました。しかし今回、ロシアがウクライナ侵攻に踏み切ったことでノルドストリーム2の停止が避けられなかったのです。

近隣に暮らす市民は…

これまでロシアに依存しすぎだった。

この決定に疑問の余地はない。他に選択肢がない。

一方、こうしたエネルギーをめぐる混乱で生活には大きな影響が…

ラモーナ・マデーアさんです。夫婦2人暮らし、今ある問題を抱えています。

見せてくれたのは電気会社からの手紙。4月からの値上げの通知でした。

発電などに使う天然ガスをロシアに依存してきたドイツはウクライナ危機を受け輸入量が急減。

ロシアの攻撃が始まった日には電力価格が一時58%も上昇するなど懸念が高まっています。

かなり酷い状況だ。給料が上がるわけでもないのに。

もうショック。

私たちになにができるのか、諦めるしかない。

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