地域で奮闘する企業を取り上げる「輝く!ニッポンのキラ星」。
今回は小中学生の頃に理科の実験で使ったメスシリンダーやフラスコを作っている会社を取材しました。
株式会社クライミング
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小中学校の理科の実験で使われるフラスコやメスシリンダー。
理化学用ガラス製品で国内シェアトップの会社を訪ねました。
福岡県の南部に位置するみやま市。
のどかな国道沿いにあるこちらの工場「クライミング」。
燃え上がる炎、サングラス姿の職人たちが作っているものは…
クライミングの西航輝さん。
これはメスシリンダー。
他にもフラスコやホールピペットなどガラス体積計を作っている。
こちらの会社ではガラスの体積計を年間およそ70万個製作。
全国の学校や医療施設などで使用されています。
クライミングの濵地信社長。
ガラス体積計は特殊な形状をしているので正確さが非常に求められるので製作は難しい。
日本ではわずかな会社でしか作っていない。
1937年に創業したクライミング。
外国航路線の機関長だった創業者がドイツで見た計量器を日本でも広げたいと立ち上げたのが始まりです。
以来84年間、ガラス体積系を中心に製作し、去年の売上高は12億円、国内シェアは7割とトップを誇ります。
その秘密は製造工程で明らかに。
「どんな材料を使う?」
メスシリンダーは耐熱性のあるガラスの筒を使う。
素手で叩いても割れないくらいの硬さ。
液体の体積を計る時に使うメスシリンダー、まずはガラスの筒を規定の長さに切り分けます。
機械の先端にはダイヤモンドがついたカッター。
これで傷をつけると…
熱を加えるだけで簡単にカット。どんどん切り分けていきます。
実はこの機械こそクライミングの強み。
従来、手作業でしか対応できなかった工程に独自に開発した機械を30台導入。
効率化やコスト削減を可能にし、売上の増加にも貢献しています。
1日800本くらい作る。
人の手で作業だけで800本作ると2日くらいかかる。
切り分けられたガラスの筒は成形作業。
およそ1,400度の熱で真ん中を加熱。するとガラスが溶けて半分に。
同時に穴がふさがって容器の底になります。
割れないようにゆっくりと冷まします。
空いている口の部分に注ぎ口を作り、次に底に5cmほどの筒を熱を加えつなぎ合わせます。
ここは機械ではなく職人による手作業。外側に広げていくことで台座に。
より繊細さが求められる工程は熟練の手が加わるのです。
ガラスひとつひとつの大きさが若干違うので機械で作業するとどうしてもばらつきが出てしまう。
冷却して完成です。
独自で開発した機械と職人の手作業の融合により、ほかにもフラスコやピペットなどさまざまな体積計が生まれるのです。
また実験用に使う器具は目盛りを入れる作業も誤差がないよう厳密さが求められます。
ガラス管を置くだけで定量の水が自動で入る機械を開発。職人は合わせて印をつけるだけ。
誤差は1mlあたり0.006ml以内収まるそうです。
この印の位置に合わせ目盛りを印刷します。
クライミングでは従来60歳だった定年を70歳までに引き上げ。
会社の財産であるベテラン職人が培った技術を若手社員たちに伝えています。
"若手社員"の合嶋優樹さん(39歳)。
わからないことは聞けば何でも教えてくれるので助かっている。
"ベテラン社員"の堤修二さん(69歳)。
1日体も動かせて頭も使えてこちらの方が助かっている。
こちらも全部弊社で作った製品です。
ガラス体積計のほかに独自の技術を応用し、繊細なデザインを施した装飾ガラスや記念盾や表札なども製作。
ガラス製品であれば何でも希望のデザインに仕上げます。
より複雑なガラスの分析器や工業器具も製作。
ガラス業界でさらなる発展を目指します。
ガラス体積計の年間出荷量は年間で大きな変動はない。
それ以外のガラス加工品も手掛け生き残ってきたというのが強み。
ガラスのコンビニを目指している。