パスタや菓子パン、サラダ油などこの秋はさまざまなものに値上げの波が押し寄せています。
プロテインもそのうちの1つです。
このプロテインはタンパク質のことで筋肉や内臓など人間の身体を作るのに欠かせない栄養素です。
それを効率良く摂れる栄養補助食品がいま注目されています。
このプロテインが値上げとなる背景の一つに中国の食事情がありました。
日成共益株式会社
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渋谷区にあるドン・キホーテ「MEGAドン・キホーテ渋谷本店」。
店内には…
中筋孝臣記者。
こちらの棚に並んでいるのは全てプロテインです。
コラーゲンやヒアルロン酸が入ったプロテインに子供向けのプロテインなど、その数は200種類以上。
なかでも人気だというのが…
MEGAドン・キホーテ渋谷本店の高橋拓己副店長。
一番人気の商品。飲みやすくリピーターが非常に多い。
ココアにヨーグルトに抹茶、さまざまな味が楽しめます。
しかし、なぜこれほどまでに多くの種類を取り揃えているのでしょうか?
コロナ前に比べて1.6倍売り上げが上がっている。
1.6倍上がった年は記憶にない。
売り場にはプロテインを買い求めるお客様の姿が。
「いつも飲んでいる?」
初めて。チャレンジしようかなと、太ってしまって。
夜食べ過ぎたときとか、次の日に1食置き換えて飲もうかなと。
健康でいたいから体づくりをする。6キロ太ったので。
最近ではダイエットのために筋トレをする人の購入も増えているといいます。
今までは8割が男性、2割が女性。現状は男性が6割、女性が4割。
女性の比率が高くなってきている。
プロテイン市場はこの10年で3倍以上に拡大。今後も成長が見込まれています。
しかし、そんな中で気になる動きが…
値上げの動きが続々と出ています。
グロングは7月に400円値上げ。
エクスプロージョンは6月、9月と今年に入って2度の値上げを実施しています。
販売元のホームページには…
ホエイ原料の需要供給バランスや価格高騰のため、良質で安価なホエイパウダーが入手困難な状況にございます。
パッケージを見るとそこには確かに「ホエイ」という文字が。
入手困難なホエイとは一体何なのでしょうか?
こちらは都内にあるチーズの専門店「シブヤ チーズスタンド」。
出来たてモッツァレラとリコッタです。
看板メニューがこちらの「出来たてモッツァレラ&リコッタ」。毎朝作っている出来たての新鮮なチーズです。
こちらのチーズは24時間以内に搾乳された東京産の牛乳を発酵して作ります。
このときチーズと分離してできる半透明の液体が乳清(ホエイ)です。
タンパク質が豊富で店ではドリンクとしても提供。
多くのプロテインがこのホエイを原料に使っています。
そのホエイ、プロテイン以外の用途でも重宝されています。
取材班が向かったのは北海道中標津町にある養豚場。
家族で養豚場を経営する大山陽介さんです。
およそ900頭の豚を飼育しています。
中でもこだわっているのがエサ。
大山さんがトラックで調達してきたのは…
これがホエイの粉、エサに混ぜている。
自家配合したえさにふりかけて一緒に与えている。
「どう違う?」
脂身が甘く肉質も良くなる。
乳製品の製造が盛んな北海道ではホエイで育った豚をブランド化して販売しています。
大山さんは毎週4トンほどのホエイを乳業メーカーから買い取っていて、付加価値のある豚肉のためにホエイは欠かせないといいます。
そしてホエイをめぐってはある国の存在が価格に大きく関わっています。
それが中国です。
中国の養豚場ではここ最近、ホエイの使用量が急増しています。
中国では2018年、飼育頭数を大幅に減らしました。
回復を急ごうと国を挙げて豚の生産に力を入れています。
こちらの子豚、食べているエサの中にはホエイが含まれています。
中国では消化能力が低い子豚の栄養を補うためホエイを使う傾向があります。
20年の中国の輸入量は大幅に増加。今年も前年を上回るペースで伸びているのです。
それに伴いホエイの価格も急上昇。
ホエイをプロテインの原料として仕入れている商社も警戒しています。
日成共益の奥山暁取締役。
生産量は微増で推移する中、ホエイプロテインの需要が増えた。
価格は20年の10-12月と比べると2倍に跳ね上がっている。
さらに新型コロナによる世界的な物流の遅れと運賃の値上がりが価格上昇の一因となっています。
需要と供給のバランスが整うには時間がかかる。
海外物流の混乱もコロナの収束がポイント。最低でも1年は混乱が続くと考えている。
在庫を確保しようという動きは今後も続くと見られ、プロテイン価格は高値の状態が続くと見られています。