毎年開かれている世界一おいしい日本酒を決める「SAKE COMPETITION」。6月のグランプリ発表を前に5月14日、審査会が行われました。
今年特に注目なのは海外で製造された酒です。伝統にこだわらない製法が日本業界に新たな風を吹き込んでいます。
SAKE COMPETITION 2019
[blogcard url="https://sakecompetition.com/"]
日本酒世界一を決める品評会の審査会。
純米酒や純米大吟醸、スパークリングなど7部門に過去最多となるおよそ1,900点が出品されました。
中でも注目は今年から本格的に導入された海外出品酒部門です。
海外出品酒部門
海外6ヵ国から13蔵、28銘柄が出品されていて、欧米に加え、メキシコやブラジル産の酒も…
実はいま日本酒人気を背景に海外の酒蔵が年々増えてきているのです。
海外産の酒には大きな特徴が。
審査員を務めるせんきん十一代目蔵元、薄井一樹専務、
日本の酒造技術では出ないフレーバーがたくさん出ている。
日本でつくる日本酒は酸味を出すのに苦労するが簡単に出しているイメージ。
ワインの酵母を使って醗酵させることで酸味を強く出しているものもあるといいます。
また、バニラやシナモンなど日本酒のイメージからかけ離れた風味付けをしているものも。
日本の伝統にはこだわらない製法を用いりながらも酒のレベルは年々向上しているといいます。
いいブランドのコメを使うだけでは日本の酒は戦えなくなってきている。
つくり方や酒の設計自体を大きく変えていく時代になる。
株式会社WAKAZE
[blogcard url="https://wakaze.jp/"]
そんな新しい時代の酒造りに挑んでいる会社があります。
なんと東京・三軒茶屋の商店街のど真ん中に酒蔵を構える日本酒ベンチャー「WAKAZE」。
WAKAZEの稲川琢磨社長、
4.5坪の狭いスペースで酒をつくっている。
醸造用のタンクを4つ備え、年間でおよそ7.2キロ相当の酒をつくっています。
少し酸味のある、ちょっとヨーグルトのような香りがしますね。
日本酒になる前のどぶろくの段階で果物の皮や花などを混ぜて醗酵させることで従来の日本酒にはない風味や香りづけを行っています。
試しにバラやハイビスカスなどをブレンドしてもらうと…
酸味もありますけど、花の香りが強いですね。日本酒特有のツンとした感じがない。かなり飲みやすいです。
こうして、さまざまな組み合わせをテストして少量生産。併設するレストランなどで提供し、評判が良かったものは山形にある酒蔵に委託して本格的に商品化しています。
和食にも合うし、酸味もあるので洋食にも合う。
海外市場
意識しているのはやはり海外市場。
今年の夏の立ち上げを目指して現在、パリに新しい酒蔵を建設中です。
「なぜパリに酒造を?」
世界の食文化の中心に日本酒の文化を広げたい。
日本酒を飲んだことない人に受け入れられて新しいマーケットを開拓できるんじゃないか。
ただ、WAKAZEの酒は日本酒の伝統的な製法でつくられていないため「その他の醸造酒」に分類されるなど日本にはさまざまな規制があります。
そうした成約が無い分、日本酒の新しい試みは海外のメーカーが先行しているといいます。
日本酒は海外にもメーカーがあり、いろいろなタイプの酒をつくっている。
そこから勉強して日本の酒づくりに生かしたい。
そういうムーブメントが起きれば日本酒のマーケットが広がると思う。