シリーズでお伝えしている「知っておきたい!病気予防の最前線」。
最悪の場合、命を落としてしまう心筋梗塞と脳梗塞ですが、その病にかかるリスクが分かる最新の検査方法を取材しました。
コレステロール
健康診断で気になっていることは?
コレステロールです。
コレステロールを抑えるような食生活をしている。
「脂っこいモノは?」
夜は食べないようにしている。
コレステロール。
血管が詰まると聞いているので運動は意識的に行っている。
コレステロールを気にして対策をとっている人は少なくありません。
LDLと呼ばれる悪玉コレステロールが増えすぎると血管の壁にたまって動脈硬化が進行し、最悪の場合は命を奪う心筋梗塞や脳梗塞につながってしまいます。
しかし、
悪玉コレステロールの数字だけで評価することはできない。
悪玉コレステロールが低くても心筋梗塞や脳梗塞になる人がいる。
最新の研究で心筋梗塞や脳梗塞を引き起こす新たな悪玉物質の存在が明らかになりました。
恩田メディカルプラザ
[blogcard url="https://www.onda.or.jp/"]
東京・世田谷区にあるクリニック「恩田メディカルプラザ」。
40代の浜田さんはある最新の検査を受けに来ました。
母が10年以上前に脳梗塞になり自分もリスクがあるのではと思った。
今のリスクがどれくらいなのかが分かる検査があると聞いた。
浜田さんが受けるのは、
採血します。
将来、心筋梗塞と脳梗塞になるリスクが分かるというこれまでにない血液検査です。
まず血液を遠心分離機を使って余分な成分を取り除いた血しょうにします。
その中にこの検査のカギを握るロックス・ワンという悪玉物質が含まれています。
ロックス・ワンとは一体どういうものなのか?
沢村達也教授
その物質を発見した研究者、沢村達也教授に聞くと、
体の中でロックス・ワンが増えると接着剤のように悪玉コレステロールを血管にくっつけてしまう。
これはラットの血管の画像。オレンジ色に映るのが悪玉物質「ロックス・ワン」です。
もともと血管の中にあるタンパク質の一種ですが、このロックス・ワンが増えてしまうとまるで接着剤のように働き悪玉コレステロールの一部をどんどん血管にくっつけて動脈硬化が進行してしまうのです。
これはロックス・ワンが少ない健康なラットの画像。
5週間、エサを与えても赤く映るコレステロールはほとんど血管にたまっていません。
しかし、ロックス・ワンが多いラットに同じエサを与えると大量にコレステロールがたまってしまったのが分かります。
およそ2,300人を10年以上追跡した研究ではロックス・ワンが多いだけで心筋梗塞なら2倍、脳梗塞なら3倍も起こりやすいことが分かりました。
悪玉コレステロールが少なくてもロックス・ワンが多いと脳梗塞や心筋梗塞になりやすい。
先程の検査ではロックス・ワンなどの量からロックス・インデックスという数値を弾き出します。
正常値を大きく上回り、高リスクのラインを超えるとコレステロールの量が少なくても今後10年以内に心筋梗塞が2倍、脳梗塞が3倍起こるリスクが高いということになります。
採血からおよそ2週間、浜田さんの結果は…
恩田メディカルプラザの恩田泰光院長、
数値は1万3,855。
高リスクの分類。
脳梗塞などのリスクが高いという結果が出ました。
検査していきます。
すぐさまエコー検査などで血管の状態などを詳しく調べることになりました。
脳梗塞は気づいた時には手遅れだと思うので、リスクが早く分かり対策などを医師に聞けるので良かった。
ロックス・ワン
どうすればロックス・ワンの量を減らせるのか?
喫煙や高血圧・高血糖などで血管の炎症が進むとロックス・ワンの量が増える。
塩分を控えたり運動することが大事。
ロックス・ワンは高血圧などで血管の炎症が進むと増加するため、適度な運動や減塩などでその量を減らせると考えられています。
さらに沢村教授が500種類近くの食品を調べた結果、ある成分がその働きを抑えることが分かりました。
それがリンゴに多く含まれるプロシアニジンというポリフェノールです。
プロシアニジンはロックス・ワンがたくさんあっても働かないようにする。
プロシアニジンはロックス・ワンの働きを抑え、悪玉コレステロールを血管にくっつけにくくすると考えられています。
ラットの実験ではコレステロールがたまる量がおよそ4割減ったといいます。
プロシアニジンはリンゴの果肉だけでなく皮にも含まれていて、沢村教授は1日リンゴ半分を皮ごと食べることを勧めています。
ロックス・ワンが減れば一番良い。
そのうえで同時にロックス・ワンが働かないようにするのが良い。