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[WBS] 高齢者が輝くジム!介護制度の「壁」破れ!

2016年11月15日

ワールドビジネスサテライト(WBS)

NewFitness

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青森県八戸市。

その中心街にある「ライフジムニューフィットネス」。

一見すると普通のスポーツジムですが、実はある目的で作られました。

にこやかに運動するのは佐々木義雄さん(69歳)。

脊柱狭窄症を患って「要支援1」の認定を受けています。

実はここ、デイサービスも兼ねているのです。

2月から週3回通っている佐々木義雄さん、成果は確実に出ています。

ライフジム運営協議会の下沢貴之さんによると

体幹の筋肉が2.7kg増えている。ものすごいこと。年を取ると一番大事なのは足と背中。足と背中で健康寿命が変わってくる。

69歳にして体幹の筋肉が23.4kgから26.1kgにアップ。

佐々木義雄さんは、

若い人と一緒に体操をするのは気持ちが若返る、楽しい。腕のたるみがなくなった。格好よくなった。

特に若い女性を見ながら運動できることが楽しいとか。

施設の横にあるのは休憩所。

疲れた時はここで作業療法士によるマッサージを受ける事ができます。

デイサービス

一般的なデイサービスといえば看護師などがついて体操をしたり入浴したり、栄養士が考えたメニューの食事を取ったりして1日をゆっくり過ごします。

ところが、ライフジムでは一人一人が率先してトレーニング。

デイサービスではほとんど見られない光景です。

表情にも自信がみなぎっています。

ライフジム運営協議会の下沢貴之さん、デイサービスとスポーツジムを融合させることが社会保障費の削減につながると考えています。

社会保障費も安くできる。安くできる仕組みはリハビリからトレーニングへのシフト。リハビリと言うと医療保険、介護保険などお金がかかってしまうのでトレーニングにしてしまおうと。

例えば「要支援2」の場合、リハビリ料金は約3万3,000円と決められています。

しかし、下沢貴之さんはリハビリではなくトレーニングにすることで介護福祉士の人件費などを上乗せしても1万5,000円から2万5,000円くらいに減らせるというのです。

健康になって自立支援という大きな柱をまさに実践できる。事業者もウィン、お年寄りもウィン、自治体もウィンという状況を作れる。

問題点

しかし、これにはある問題があります・

一般の人がデイサービスに入ってはダメ。その反対もダメ。

スポーツジムとデイサービスを隔てる見えない壁。

介護保険上、要支援者がいるスペースはデイサービス施設のため、一般の人は行き来ができません。

下沢貴之さんは将来はこの壁をなくし、スポーツジムとデイサービスの利用者が交流できれば介護予防意識が高まり介護給付費の削減につながると考えています。

患者、要介護者だけでなく一般の人にも予防のための医療専門職が身近にいる状況を作る。介護事業を一般の人にもオープンにしていきたい。

総合事業

これを可能にするのが2017年4月から始まる総合事業。

総合事業とは介護度の軽い人が受けているサービスの内容や価格を市町村ごとに決められるようになる制度です。

すでに総合事業に移行している自治体もありますが、全国でまだ3割しかありません。

そこで下沢貴之さんが訪れたのは公益財団法人日本財団。

スポーツジムとデイサービスの融合を総合事業として全国に広げるため各社の社会福祉法人に太いパイプを持つ公益財団法人日本財団に相談しに来たのです。

ソーシャルイノベーション本部の花岡隼人さんは

日本財団は毎年30億円の福祉車両を支援していて、そういう所に対して集中的に案内できる。

公益財団法人日本財団は下沢貴之さんの取り組みが社会的課題を変えていく可能性があるとして2016年にライフジム運営協議会に1,000万円を助成しました。

松戸市

すでに総合事業を始めているのが千葉県松戸市。

ここでは昔ながらの地域コミュニティを復活させることで社会保障費を削減していこうとしています。

毎週火曜日、近所の高齢者が集まるのは町内の施設。

こうしたご近所付き合いは心身を活性化させる効果があり、中長期的な介護予防につながるといいます。

松戸市は運営費として3年間で20万円を補助。

条件は週1回、2時間以上集まることと、その内10分は介護予防体操を行うというもの。

「地域のコミュニティが壊れていると感じるか?」

感じる。ここに来るまでは隣人はあまり分からなかった。

「こういう場は必要?」

思います。楽しく過ごせるのが精神衛生上一番いい。

町内会長の佐藤良治さんはこのような集まりがきっかけで高齢者各々に社会参加の意識が生まれてきているというのを感じています。

1日でも3日でも自立した生活を維持するためにも、こういう場が必要。元気のない人を元気のある人が連れてきてくれたら。

さらに松戸市は総合事業で新たな試みを始めました。

11月2日、千葉大学予防医学センターと組み、自治体などの住民活動が介護予防にどれだけ効果があるか科学的に分析。

3年かけて「都市型介護予防モデル」を開発すると発表しました。

松戸市はこのプロジェクトが長期的に介護費用削減に大きな効果をもたらすと考えています。

介護制度改革課の中沢豊課長は、

自身がやる気にならなければ自分の健康が管理できないのと一緒。地域のことを自分事として考えなければ発展していかない。松戸市がやろうとしているのは介護需要を抑え込み、抑制する仕組みを作ること。住民と一緒に考えながらやることが重要。

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