日本企業の最大の悩みとなっている人手不足の救世主となるかもしれない新たな技術についての取材です。
特に人口が減少している地方の中小企業、働き手の確保が年々難しくなっていますが、そうした中で注目を集めているのが人間に代わって事務作業などをこなすロボット社員です。
その実力とは?
日本生命保険相互会社
[blogcard url="http://www.nissay.co.jp/"]
東京・文京区のオフィスビル。
日本生命のオフィスでは銀行の窓口で販売した保険の契約事務を担っています。
ロボットを探して歩いて行くと、
こちらなんですね。パソコンなんですね。
ロボットの絵が貼られたパソコンですが、
ロボットが座って何かをやっているわけではない。ここに書いています、日生ロボ美。
日本生命保険の金融法人契約部、大岩根誠さんは、
仕事をしている担当者の間で自然発生的に名前がついた。
このロボ美ちゃん、見かけによらず凄腕の社員だといいます。
ロボ美ちゃんが担当している業務のひとつが顧客の住所変更です。以前は電話で聞き取った情報を社員が手作業で1件ずつパソコンに入力。それを紙に印刷して別の社員がダブルチェックしていました。単純ですがミスが許されない作業です。
これをロボ美ちゃんに任せてみると、画面には「ロボ実行中」という文字。約5分後、10件の住所変更を完了しました。
1件あたり30秒と人間の約10倍の速さで、しかもミスをしません。
日本生命保険は現在、新規契約や請求書のデータ入力など16の業務に6台のロボットを活用しています。
ロボット6台で20名分以上の仕事をしている。
「この職場に入って気付きましたが、空いている席が多くて、ロボ美ちゃんを導入しなければもっと人が多かったということですか?」
「ロボ美ちゃん」がいなかったら、もっと多くの人が必要だった。
人間の代わりに機械が事務作業を行う仕組みは「Robotic Process Automation(RPA)」と呼ばれています。
ロボットが手順を自動化することで早く正確に業務をこなすことで社員の負担を減らせると言います。
RPAテクノロジーズ株式会社
[blogcard url="http://rpa-technologies.com/"]
日生のロボ美ちゃんも「BizRobo(ビズロボ)」というRPA製品なんです。
最近では大企業だけでなく、地方の中小企業もRPAに注目しているといいます。
RPAテクノロジーズの大角暢之社長は、
地方に行くほど生産労働人口が減少していく傾向は大きい。RPAというデジタルレイバー(労働者)が解決策となるなら地方で進めるべき。
みどりグループ
[blogcard url="http://www.midori-gr.com/"]
地方の中小企業を数多く回っているRPAテクノロジーズの大石純司さん。
この日は広島に出張。介護施設向けの求職事業などを手掛ける会社「みどりグループ」がRPAを導入したいというのです。
サンプルのロボットを作ってきました。
ロボットに任せる仕事は食材の発注書を作る作業です。これまでは献立表を見て手作業で発注書に入力していました。
例えば味噌汁の場合、サツマイモの分量や切り方まで指定します。単純ですが手間の掛かる作業です。
発注書の担当者は、
1ヶ月分だと4時間くらいかかる。
ここでRPAが登場。人間が行う作業をそのままロボットに覚えさせます。
例えば献立表から日付や食材を参照し、データを抽出。それを発注書に入力を指示。するとアッという間に1ヶ月分の発注書が完成。かかった時間は約24秒と人間とは比べ物にならないスピードです。
実力を目の当たりにした社員からは早くもリクエストが。
勤怠管理の担当者は、
勤務表のシステムに全部ロボットが入力してくれて、人間はチェックだけすればいいとなると時短がだいぶできるはず。4日かかっている作業が1日で済めばすごくうれしい。
大石純司さんは、
ぜひ挑戦したい。
株式会社エーアイスクエア
[blogcard url="https://www.ai2-jp.com/"]
単純な事務作業以外にもRPAの活用は広がりつつあります。
AI(人工知能)を活用したコールセンターです。
石田正樹社長は、
人間とサーバーが共存する環境で実際に電話を受けながら、AIで人間をサポートする仕組みのコールセンター。
早速、実験をしてもらいました。
お電話ありがとうございます。AI自動車保険でございます。
更新したから、また保険証券が自宅に届くのかな?
お客様が話した内容をAIが認識し、画面に表示。さらに重要だと判断したキーワードを選んで3つ表示しました。
オペレーターはこれらをクリックすると関連する項目が表示されます。
更新の場合は継続証というものを送っています。
未経験者でも短い時間でお客様に応対できるようになるため、コールセンターの人手不足の解消になるといいます。
専門家はRPAの可能性は非常に大きいと指摘します。
KPMGコンサルティングの田中純一さんは、
人がRPAをうまく使うことができると生産性自体が上がることが考えられる。どんどん人が少なくなって労働人口が減っても、RPAやAIで補っていくことで問題に十分対応できる。