日本選手のメダルラッシュとなっている今回のオリンピックですが、選手たちを襲う厳しい暑さが大きな問題となっています。
連日、気温が35度近い日が続いたため、テニスの試合開始時間は選手の健康面を配慮し、午後3時に繰り下げる措置が取られました。
そんな中、体を冷やす技術でアスリートや大会関係者を暑さから守っている日本のメーカーを取材しました。
ミズノ株式会社
[blogcard url="https://www.mizuno.jp/"]
金メダルを獲得したソフトボール。25日のカナダ戦で打者を打ち取った後藤投手がベンチに戻り、手に取ったのは赤いベスト。実は暑さ対策のアイテムなのです。
開発したのはスポーツ用品メーカーのミズノ。
ミズノの太田秀之さん。
これが選手に着てもらった「コールドチャージベスト」。
一見、普通のベストに見えますが、その特徴は…
ベストの内側はポケットがついていて、ポケットの中には保冷剤が収納されている。
広島大学と共同で開発したこのベスト、太い血管がある首すじや脇の下に当たるよう保冷剤のポケットを設置し、冷却効果を高めました。
中筋孝臣記者。
かなり体にフィットします。冷却材の冷たさが体に直に伝わる感じがします。
運動直後と15分休憩した後の皮ふの温度を測定するとベストを着用しない場合はおよそ1度しか下がりませんが、このベストを着用した場合は3度近く低下するという結果が出たといいます。
体温が上がったままプレーを続けると後半のバテや疲労につながる。
一度体を冷却することによって後半のパフォーマンス低下を抑制できる。
選手にとってポジティブな要素を引き出せるように取り組んでいきたい。
一方で選手の活躍を影で支え宇野はボランティア。
外での活動も多い彼らが暑さ対策で使っているのが"かぶる傘"。実はこれ、東京都が希望する人たちに貸し出しているもの。
帽子の上にかぶったらいいみたい。
ちょっと滑稽だけど。
当初8万人を予定していた大会ボランティア。大会の延期、そして無観客開催の決定などで観客の案内を予定していた1万7,000人は別の役割で配置転換。そしておよそ1万人が辞退しました。
賛否両論あったが選手は一生懸命やっているので、それを支えたい。
そのボランティアを熱中症のリスクから守ろうと5年前に開発を始めていたものがあります。それがこの青いユニフォーム。
開発担当者、アシックスの落合理子さんです。
暑さ対策で通気性に着目して、通気度の高い素材を採用しています。
およそ2年前、WBSはその開発の舞台裏を独占取材していました。
[blogcard url="https://lovely-lovely.net/business/asics-9"]
アシックスは服の形状や素材を研究するスペシャリストを社内で集め、プロジェクトチームを結成。
夏はメンバー自らサンプルを着用し、シャツの内側の温度を計測。実際に競技会場の近くを歩いてデータを取るなど体を張った開発を続けました。
試行錯誤を繰り返し、たどり着いたのはある形状の生地。
アシックスの松本竜文さん。
通気度や吸汗性のバランスの面で従来の「格子状」や「点」でメッシュを開けるなど比較した結果、この「六角形」が生地として優れていた。
よく見ると六角形の縁に沿って大きめの穴が開いています。この形状ならば肌が透けることなく通気性を十分確保できるといいます。
マネキンを使った通気性のテストでは従来品と開発品に風を当てます。
服の中の温度を測ると開発品の方が平均で1.1度低くなりました。
開発から5年…
いま競技会場などでは青いユニフォームを着た人が活動しています。
快適ですよ。暑い中で通気性もよい。
涼しい。
オリンピックに照準を定め、技術革新を進めてきたアシックス。今回のユニフォーム開発から生まれた生地への通気性の技術を生かし、今年一般向けのスポーツウェアを発売。売れ行きも好調です。
スポーツに関わる、する人はもちろん、見る人、支える人を支えるようなブランドになっていきたい。