大会6日目を迎えた東京オリンピック。今日もメダル獲得ラッシュに沸いています。
柔道女子70キロ級の新井千鶴選手が金メダルを獲得しました。そして、競泳女子200メートル個人メドレーでは大橋悠依選手が優勝。400メートルに続いて二冠を達成です。
日本選手の躍進を影で支える日本メーカーの技術力を取材しました。
ミズノ株式会社
[blogcard url="https://www.mizuno.jp/"]
大橋選手の意見を取り入れながらも4年間に渡って水着を開発してきた人がいます。
大竹健司さん。スポーツ用品メーカー「ミズノ」の社員です。
こちらが大橋選手の水着。
一緒に水着をつくって寄り添ってきたので勝てる選手であることは信じていた。
ミズノは大橋選手と2017年に契約を結びました。
7月28日に着用した水着も店頭に並べられています。
その特徴はどのような泳ぎ方でも水の抵抗を最大限抑えられる水着全体の伸びやすさ。
腰から太ももにかけて水面に対して水平に泳げるように姿勢をサポートする機能を入れたところです。
大橋選手だとバタフライがポイント。大きなストロークをしやすい。
トップ選手に認めてもらえるものを作ることに集中している。
競泳用の水着として日本のトップ選手の多くが着用するミズノの水着。しかし、世界に目を向けるとスピード社などの後塵を拝しています。
日本で開催される今回の大会では特別な思いで臨んでいました。
レース水着は海外も含めたいろいろなメーカーがつくっているが、ミズノの水着が今回結果を出した。多くのトップ選手に使われているので世界一の開発をしていると思っている。
そして前回のリオ・オリンピックで銅メダルを獲得した錦織圭選手が炎天下の中挑んだ男子シングルス3回戦。ここでも日本メーカーの技術力が競技を支えています。
錦織選手はストレートで勝利し、3大会連続のベスト8入り。2大会連続のメダル獲得に向け大きな山場を迎えます。
じっくり、この勝利を自信にして明日の試合に臨みます。
この試合を固唾を呑んで見守っている人たちがいました。
次の試合でジョコビッチに勝ってほしい。
手に握っていたのは「TOKYO 2020」と書かれたテニスボール。彼女たちはオリンピックで使われるボールを作る技術者たちです。
住友ゴム工業のテニスビジネス部、鈴掛彰悟さん。
選手が自分の良さを発揮できるようなコントロールしやすいボールを目指している。
今回の大会で採用されたのは住友ゴム工業が手掛けるダンロップのボールです。
「今回のオリンピック用に開発したのか?」
住友ゴム工業の商品開発部、坂本尚桂さん。
このボールはオーストラリアンオープンで使用した実績を認められて選ばれた。
大坂なおみ選手が初めて優勝した2019年の全豪オープン。
この大会で日本企業のボールが初めて四大大会の硬式ボールに採用されました。
その品質の高さが選手や関係者から評価され、今回オリンピックの舞台に。
世界が選ぶ高品質のボールを生み出す住友ゴムの開発の現場にカメラが入りました。
こちらはボールに圧力を加え、形状の変化を見る装置。重さやバウンドの高さなどボールごとのバラツキがないことが高品質の条件。条件を変えて繰り返し実験をします。
さらに実際のプレーに近い環境でも検証。
コートでの実験を支えるのはこの機械。
テニスコート上のラリーで回転数や軌道が瞬時に計算されてPC上に表示されます。
例えば古いボールと新品のボールで比べてみると…
古いボールだと同じようにラリーしても距離がばらつくが新しいボールは長さが一定。
こうして技術開発されたテニスボール。打った時にしっかりと感触が残り、コントロールしやすいことが特徴です。
大きな大会にボールを提供することは陰ながら大会に貢献できるのでうれしい。
一方、7月27日に新競技「サーフィン」の決勝が行われた千葉県一宮町。
サーフィンの町「一宮」の名前は一躍世界に広まりました。
一宮町の海を舞台に五十嵐カノア選手が見事銀メダルを獲得。日本のサーフィン界のイメージは大きくアップし、町の知名度も一気に向上したのです。
日本の波はサーフィンを始めるのにいい波。優しい波なのかな。
ファンが増えて、世界にサーフィンのすごさを見せられたと思うので、それが本当にうれしい。
東京オリンピックを見据え、およそ6年前からサーフィンによる町おこし「サーフォノミクス」に取り組んできた一宮町の担当者は…
千葉・一宮町の企画課、高橋克佳係長。
男女でメダルを取ってくれてありがたい。
サーフォノミクスとはサーファーが集まることで経済効果を打ち出すこと。
訪れた人が一宮町の魅力を知って、それが移住につながると最高。
人口1万2,000人の一宮町には年々移住者が増えています。そのきっかけは観光からだったといいます。
駅の近くにある観光案内所を覗いてみると…
上総一宮観光案内所の小栗正樹さん。
サーフボードと自転車のレンタルをしている。
多くの人は電車利用でここにきて借りていくことが多い。
電車に乗って手ぶらで来ても手軽にサーフィンを楽しめるようにしたのです。
10年前は300人台だった転入者は2019年に1,300人余りまで増えました。
海に近い通りには新築の住宅が立ち並びます。
そして中にはサーファー向けのこんな賃貸物件も…
波乗不動産の田中愛子さん。
サーフィン帰りに砂を流すシャワーがある。
家の前でサーフボードや体の泥をさっと落とせるだけでなく、玄関に入ってすぐ横にもシャワールームを備えています。
間取りは1LDK、60平方メートルで家賃は10万8,000円ほど。
ベランダにある物置も3メートルあるサーフボードが収納できるように高さが確保されていました。
移住者が増えて、町自体がさらに活気づいてくればいい。
今回、女子代表の都筑有夢路選手も銅メダルを獲得し、盛り上がりが期待できるサーフィン。
サーフォノミクスの勢いはしばらく続きそうです。