佐賀市
佐賀市にあるゴミ処分場。
市内のゴミのほとんど全てを受け入れる巨大な施設です。
24時間、常にゴミを燃やし続けています。
普段は人もまばらなこの場所に多くの来賓や報道陣の姿がありました。
佐賀市の秀島敏行市長は…
清掃工場の排ガスから二酸化炭素を分離・回収して産業ガスとして使用する、全国でも例のない事業がスタートします。
ゴミを燃やした時に出るCO2(二酸化炭素)を分離・回収して民間企業に売却するという世界でも初めての試みが始まったのです。
このCO2分離施設を手掛けたのが株式会社東芝です。
自社の火力発電所で実証実験を行った環境技術を使って佐賀市から受注しました。
株式会社アルビータ
[blogcard url="http://www.alvita-saga.com/"]
そして佐賀市からCO2を購入するのはベンチャー企業の株式会社アルビータです。
配管が通っているテントの中には巨大なプール。
中に入っている水を見ると赤く色が付いています。
実は「ヘマトコックス」という藻です。
通常、ゴミを燃やした時に出る排ガスはCO2を含んでいます。
この施設では排ガスの中からCO2だけを取り出し、一旦貯蔵タンクに貯めます。
佐賀市はこれを株式会社アルビータに販売します。
藻が光合成をするためには水や太陽光のほか、CO2が必要です。
株式会社アルビータは購入したCO2を使って藻を培養し、サプリメントや化粧品の原料として商品化する計画です。
株式会社アルビータは年間10トンのCO2を購入します。これは処分場から排出されるCO2の約5%。
その分、佐賀市はCO2の排出量を削減できることになります。
さらに企業にもメリットがあります。
株式会社アルビータの松坂幸洋社長は…
CO2をメーカーから買うより安い価格で提供していただける。4割くらい安くなる。
割安な価格でCO2を購入できれば価格競争力にもつながるといいます。
売上目標について
6~8億円くらいの売り上げになるのではないか。
佐賀市は環境庁からの補助金5億円を合わせ、施設の建設に14億5,000万円を投じました。
17年間稼働すると計算し、赤字にならないようにCO2の売却価格を決めたといいます。
また佐賀市には違った狙いもあります。
バイオマス産業都市推進課
バイオマス産業都市推進課の本山剛弘課長は…
CO2で収益を上げるのではなく、雇用・税収が生まれる経済効果に期待。
佐賀では伝統的に有明海で海苔の養殖が行われているため藻類の培養に対する知識や経験が豊富だといいます。
環境対策とともにビジネス需要の創出にもつなげていく狙いなのです。
新施設が全国の清掃工場にできればCO2排出が抑制できる。ゴミ処理施設は「迷惑施設」といわれていますが、少しでも変えて地域にとって「ありがたい施設だな」というふうに変えたい。われわれにとってゴミは「宝」、資源なんですね。